コラム

人口減社会で、地方が生き残るには。 地域活性化は人のアイディア次第

経営・ビジネス

⽬次

[表示]

日本M&Aセンター経営支援室の笹といいます。経営支援室では、通常、黒字企業であれば実現できるM&Aが難しい、赤字・債務超過の企業の再生を担当しています。 私自身、かつて建設会社の2代目息子として育てられ、父の建設会社を継いで事業を拡大したのですが、結果的に38歳の時、会社経営が行き詰まった経験をしています。しかしその経験が、今の企業再生支援の仕事につながっています。 この仕事は、主に地方銀行などの地域金融機関から取引先の企業再生についてご相談を受けることが多く、全国を飛び回る毎日です。企業再生支援を通じて地方を直接見て回る中で、最近は地方創生とまちづくりの重要性を痛感しています。

2040年までに企業数は3割も減る

将来、日本の人口や企業数がどうなるか知っていますか? たった22年後の2040年までに、日本の人口は13%減り、働く人は21%減るといわれています。働く世代の人口が減ると消費も減りますから、企業数が27%も減ると試算されています。

すでにマイナス金利の影響で多くの金融機関の経営が苦しくなっており、従来のビジネスモデルでは適正利益を確保することが困難になっています。まして、人口減少が続く中で、企業経営は国内マーケットだけでは成り立たず、企業の収益構造は大きな変化を迎えています。 2019年10月には消費税増税が予定されていますし、2019年のラグビーワールドカップ、2020年の東京オリンピック、2025年の大阪万博開催などを控え、イベント後の景気後退が予想されます。 そして、景気の悪化による経済への打撃は、地方に行けば行くほどより深刻な問題になります。

「スタバはないけどスナバはある」から着想し大ヒット

過疎化が進む地方で、経済を活性化するのはハードルが高く感じるかもしれません。 しかし、人のアイディア次第で、衰退しているものや地域が成功をおさめた事例は多数あります。

日本M&Aセンター 経営支援室長 笹雄一郎

たとえば人口が減って地域の学校が廃校になっても、その廃校をカフェや宿泊施設などに変え、人を呼び込むことに成功しているケースはいくつもあります。 鳥取県では、県知事の「鳥取にはスタバはないけど、日本一のスナバがある」という発言に着想を得た地元企業が「すなば珈琲」というカフェをオープンさせ、大ヒットしました。今、鳥取の空港や駅前にはすなば珈琲があり、人気を誇っています。 北海道の帯広市は冬になると-15℃にもなりますが、街中の空き地等に冬季限定で手作りのスケートリンクをつくり、にぎわいの場をつくりだす取り組みが行われています。この「TOKACHI ICE PARKプロジェクト」では、スケート王国十勝帯広の魅力の再構築を目指しているといいます。 何が言いたいかというと、気づいていないだけで身近なところに地域活性化のために活用できる資産はたくさんあるのです。街を生かすことは、地域特性を生かすこと。生かせるかどうかは人の発想力にかかっており、成功した企業や地域には、必ずキーマンといえるようなリーダーが存在するのです。 新潟県酒造組合では、「にいがた酒の陣」というイベントを開き人気を集めていますが、本来ライバルであるはずの企業同士が地域をよくしようと手を組み開催しています。企業と地域とファンを結びつけるのも、やはり人なのです。 「アイディアを出すのは難しい」と思う方もいるかもしれませんが、一方で、誰でもできる可能性があります。感性を磨き、視点を変えて考えることで、誰でもアイディアを出せる可能性はあるといえます。

変化する時代を生き残り、イノベーションを起こすには

企業の収益構造が変わっていく時代を生き残るために必要なことは、2つあると考えています。 ・国内外のマーケットを俯瞰し、今後のビジネスの動向を見極める ・自分(自組織)の強みと弱みを知る 業界動向を見極め、伸ばしていくべき自社の優れた部分はどこで、弱みはどこなのか客観的にわかっている企業は、弱みを補完してくれる企業とM&Aで一緒になり、会社を強くすることができます。新たな組み合わせの中から今までにない発想、イノベーションが生まれる事例も何度も見てきました。 地域活性化のベースは“人”です。人のアイディアと行動次第で地方の衰退はとめられるはずです。経済的幸せと地域のつながりの幸せのバランスを保ちながら、活性化を実現する地域が増えていけばと願っています。

東京都市大学 都市生活学部の授業「都市デザイン」(川口英俊教授)にて講演する笹

※本記事は、東京都市大学 都市生活学部の授業「都市デザイン」(川口英俊教授)にて、当社 笹が行った講義「人口減少の中で、都市・建築と金融と地域活性化のヒントを考える」の内容を抜粋・再構成したものです。 日本M&Aセンターでは、これからも「地方創生」についての情報発信をしていきます!お楽しみに。

著者

笹 雄一郎

ささ 雄一郎ゆういちろう

日本M&Aセンター 提携統括事業部 経営支援室 室長

1984年3月、武蔵工業大学(現東京都市大学)建築学科卒。一級建築士。 実家の建設会社経営に携わったのち、企業再生コンサルティング会社にて、自身の経験を活かして経営改善を基本とした企業再生業務に取組む。 2012年に日本M&Aセンター入社以降、経営課題を抱え悩む全国の中堅・中小企業や金融機関から相談を受け、M&A手法を用いて企業の様々な問題解決に取組む。 最悪の状況でも経営者が安易に廃業・清算の道を選ぶのではなく、地域での雇用と企業の強みを残すことに配慮した「再生支援型M&A」を提唱し、実践している。

この記事に関連するタグ

「イノベーション・地方創生」に関連するコラム

人口減が全国に15年先行して始まった高知。 都会から人を呼びこみ新ビジネスを支援!

経営・ビジネス
人口減が全国に15年先行して始まった高知。 都会から人を呼びこみ新ビジネスを支援!

日本M&Aセンターは2018年9月に高知県と提携しました。人口減が全国に15年先行して始まった高知県。その高知県を活性化するため、日々奔走する人々がいます。今回お話を伺ったのは、坂本龍馬好きが高じ、広告代理店を退職して高知に移住したという吉冨慎作氏。NPO法人土佐山アカデミー事務局長で、内閣府の認定する「地域活性化伝道師」でもあるそうです。地元の人と都会に住む人をつなぐ役割―土佐山アカデミーでは、

テストでは測れない“生きる力”を育てる、限界集落の挑戦

経営・ビジネス
テストでは測れない“生きる力”を育てる、限界集落の挑戦

日本M&Aセンターは2018年9月に高知県と提携しました。今回インタビューしたのは、高知県土佐町という人口4000人の町で教育支援などを行うNPO法人SOMAの代表理事瀬戸昌宣さんと、副代表理事大辻雄介さん。お二人とも県外出身で土佐町とは縁もゆかりもないとのことですが、なぜ土佐町に移住し、何を目指しているのかお伺いしました。ニューヨークから4,000人の町に移住―ニューヨークのコーネル大学で10年

【大盛況 申し込み受付中!】全国サテライトオフィス開設記念セミナー全国22カ所で好評開催中!

広報室だより
【大盛況 申し込み受付中!】全国サテライトオフィス開設記念セミナー全国22カ所で好評開催中!

コロナ禍で全国にサテライトオフィス開設全国22カ所で開設記念セミナーを開催中日本M&Aセンターは、11月16日より、「アフターコロナを生き抜く経営戦略セミナー」と題して全国各所にて全国サテライトオフィス開設記念セミナーを全国22カ所で開催しており、中堅・中小企業の経営者を中心に多くの参加・申込をいただいています。コロナ禍は、経営者の皆様との対面での面談を難しくしました。しかし、当社は、地方の経営者

M&Aウーマンの働き方

経営・ビジネス
M&Aウーマンの働き方

M&Aを通じた社会貢献中小企業庁の「中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題」によると、今後日本は2025年までに127万社(日本企業全体の1/3)の中小企業が後継者未定になるとしています。これを放置するとこれらの企業は廃業を余儀なくされ、その結果2025年までの累計で約650万人の雇用が失われ、約22兆円のGDPが消失する可能性があると言われています。M&Aは、中小企業が廃業という選択を

シナジー追求のための PMI取り組みの必要性

PMI
シナジー追求のための PMI取り組みの必要性

シナジーは自然体では得られないM&Aは「企業の成長」という目的を達成する手段だ。オーガニックグロース(自力成長)では成し得ないドラスティックな(レバレッジの利いた)成長を、両社(売り手企業と買い手企業)が実現していくのがM&Aと言える。そういった意味では、両社がM&A後のシナジー効果を得て初めて「M&Aの目的を成就した」と言えるものであって、書類上M&Aが成立したとしても、シナジー効果を実現或いは

事例にみるシナジー創出のポイント

M&A全般
事例にみるシナジー創出のポイント

シナジーは「創出」するものシナジーの実現を考える上でまず認識しなければならないことは、シナジーは買収を行えば自然に湧いて出てくるものではない、ということだ。シナジーは、買収企業が「創出」しなければならない。M&A戦略の策定から、買収価格の決定、買収後の事業計画の策定に至る一連のプロセスは全て買収企業が主導する。買収後は強力なリーダーシップを発揮し、対象会社と二人三脚で事業計画を実現していかなければ

コラム内検索

人気コラム

注目のタグ

最新のM&Aニュース