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事業承継はネガティブな話!?

事業承継

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「後継者の問題を考え始めたら、会社の成長が止まってしまった」 「事業承継のことを考えるとちょっとネガティブな気持ちになってしまう」 とあるオーナーとの面談で聞いた言葉です。 事業承継問題に悩みはじめたら、人材を採用しようにも無責任に採用を推進することはできないし、設備投資をしようにも将来が見えないので大きな資金投下に踏み切れなくなってしまったそうです。 将来への不安が先に立つと、積極的な手を打つことができず、結果、会社の成長が止まってしまう― あてのない事業承継のことを考えると「どうしよう」と暗い気持ちになり、考えるのを後回しにしてしまう― そんな負のループに陥っていらっしゃいました。 この話を聞いた時、私の中で「事業承継の本質とは一体何なのだろうか?」という疑問が生まれました。事業承継問題を考えることで、会社の成長が止まり、オーナー自身が暗い気持ちになってしまう…“事業承継”の捉え方はそんなネガティブなものしかないのでしょうか? いろんな経営者の方にお会いして、私は自分なりにひとつの答えを見つけました。

事業承継を考える上で大切な視点とは?

事業承継問題の解決策は、親族承継・社員承継・M&Aの3つのどれかです。 そのためほとんどの方は、「子供は継ぐか?」「親族は継ぐか?」「役員や従業員に後継者になれる人はいるか?」と順番に検討し、「いないのであれば第三者への承継を考えよう」と考えを進めていきます。 同時にオーナー自身の引退をいつにするのかを決め、逆算して進めていこうとします。しかし、この進め方ははたして正しいのでしょうか?

ゴールに何を置くかでステップは変わる

事業承継とは、読んで字のごとく“事業”を“承継”するということです。 それが、“事業承継問題”となると、「事業そのものを将来どうしていくのか?」という発想が置き去りになってしまい、「誰に承継するか?」ばかりを考えてしまいます。 「子供がいるかどうか」や「オーナーが高齢になってきたから」など“承継”だけに気をもんで事業承継問題を捉えてしまうと、どうしても不安でネガティブな気持ちになってしまいますよね。 「事業を今後も成長・永続させていくためにはどうすべきか?」を考えると同時に、事業承継について考え始めてはどうでしょうか。 戦略的に将来を検討することは、前向きな気持ちになるのではないでしょうか。

ポジティブに考えていくことが最良の解決策に導いてくれる

事業を成長させるための事業承継を検討するようになると、オーナーは3年後、5年後、10年後の成長ビジョンを描くようになります。 その上で、今の会社には何が足りないのかという話になると、「M&Aで他と一緒になったほうが成長できるし、事業承継問題も解決できる!」と顔色はパッと明るくなり、事業承継を前向きなものとして捉えて考えていただけるようになります。 ポジティブに考えていくことで、悩んでいた課題解決に向けてクリアな思考になるようです。 事業承継問題は、企業の成長を止めるものでも、暗い話でもありません。 この感覚が、もっと多くのオーナーに広まっていけば、“事業承継”のイメージも明るい方向に大きく変化するでしょう。

関連コラム:10/6付 日本経済新聞記事「大廃業時代の足音 中小「後継未定」127万社」を受けて

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著者

上夷 聡史

上夷かみえびす 聡史さとし

日本M&Aセンター コンサルタント戦略営業部 部長

大学卒業後、法律事務所にて9年間勤務した後、2011年に日本M&Aセンター入社。これまで携わったM&Aの成約実績は100組以上、『事業承継問題は成長戦略を考えることである』という『戦略的事業承継』といった考え方をはじめ、数々のイノベーションを起こし、会計事務所ネットワークとともに多くの企業の事業承継に関わってきたトップクラスのコンサルタント。

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