
[M&A事例]Vol.118 後継者への株式の贈与問題をM&Aで解決。移住先で充実のセカンドライフを満喫
プラスチック製品の製造を手掛けるケー・アイ・ピーは、外部から社長を招聘し事業承継を行いましたが、株式贈与と将来的な成長戦略の課題にぶつかります。その後M&Aによる譲渡を行い、現在は新天地でセカンドライフを送る創業者に話を伺いました。
譲渡企業情報
譲受企業情報
※M&A実行当時の情報
2013年2月に、当社がお手伝いしてM&Aを実行された2社の代表、安藤様(横浜テープ工業)と児島様(三景)をお迎えし、M&Aを決意された理由や当時の心境などをお聞きしました。
安藤様: 横浜テープ工業は、衣料用副資材(値札、下げ札、洗濯ラベル等)の製造販売会社です。1961年に日本で初めてプリントネームの生産を始めました。国内では東京・大阪・函館の3拠点、海外では上海(太倉)・東莞・香港・バングラデシュの4拠点を保有し、世界各国のアパレル企業との取引を通じて、全世界のアパレルの物作りに携わっています。
当初はM&Aの譲受けを検討しており、2008年頃日本M&Aセンターのセミナーに参加し森山さんにご相談させていただいておりました。しかし、兄であり創業者である安藤克彦が他界したことを機に、後継者不在問題や私自身の健康問題に不安を感じ、2011年に自社の譲渡を検討し始めました。私は今年で73歳になりますが、社内にいる息子は社長を継ぐ意思がないようでした。
外部環境としても、アパレル業界を取り巻くビジネス環境は厳しく、当社は海外に拠点を持つグローバル企業ではありますが、将来的には単独で生き残るのは難しいことが予想されました。海外拠点で活躍できる人材を確保して安定した業績を上げ続けるため、どこかシナジーのあるお相手に譲渡したいと森山さんにお伝えしました。
児島様: 三景は1955年に創業し、服飾資材全般の生産・販売をトータルに手がけています。設立以来半世紀の歴史に育まれた技術やノウハウをベースに、国内トップメーカーとして品質・サービス向上に努めています。現在は、伊藤忠商事の100%子会社として、アパレル及び服飾資材の分野で多くのブランドやメーカーとの接点を持ち、グローバル展開を加速しています。
しかし、ファッション・アパレル業界では、アジア諸国の影響が拡大し国際レベルでの競争激化が進んでいます。伊藤忠グループとしても、グローバル戦略を強化するためアジアにおける新たな生産基盤の拡充を進めていました。そうした時期に、日本M&Aセンターの吉丸さんから横浜テープ工業さんのお話を伺い、当社の顧客に横浜テープ工業さんの高品質な副資材を供給することで海外展開を加速できればと考えました。
安藤様: 世界各地のブランドと取引を持つ伊藤忠グループと資本関係を締結することにより、新たな顧客を開拓することができ、大きな相乗効果を発揮できると思ったからです。シナジーが明確なので従業員にも説明しやすく、また将来横浜テープ工業を成長させてくれる企業だと感じ、三景さんにお任せしたいと思いました。
安藤様: 役員も社員も活き活きと働いており、非常に安心しております。私は、今年の6月末に約4ヶ月間にわたる業務の引継ぎを終えました。横浜テープ工業は、伊藤忠グループとしてグローバル展開に組織で対応していく体制を整えつつあります。早めに意思決定して基盤のしっかりした企業に譲渡することができ、本当に良かったです。
海外の企業は税務や法務の体系が国によって大きく異なるなどリスク要因が多いため、譲渡先が見つかるか不安でした。結果として良いお相手をご紹介頂いた上に、専門的なアドバイスを下さり成約まで導いてくださった森山さん、吉丸さんには大変感謝しています。
児島様: 海外での生産拠点を拡充したことにより、国内・海外ともに販売先を広げることができ、相乗効果を得られています。また、ラベル等の服飾副資材の海外生産は当社ではほとんど手がけていなかったため、製造から販売まで一貫したサービスを提供できるようになりました。
今後は、生産から販売までサプライチェーンを更に強化し、各分野で高付加価値を追求していくことで、衣料用副資材の業界最大手としてグローバル展開を加速していきたいと考えています。
メディアで紹介されました
M&A成功インタビューは、
日本M&Aセンター広報誌「M&A vol.33」にも掲載されています。
プラスチック製品の製造を手掛けるケー・アイ・ピーは、外部から社長を招聘し事業承継を行いましたが、株式贈与と将来的な成長戦略の課題にぶつかります。その後M&Aによる譲渡を行い、現在は新天地でセカンドライフを送る創業者に話を伺いました。
コロナ禍で業界全体に停滞感が広がるなか「新規顧客獲得を実現するには、加工技術の多角化を図るしかない」と企業の譲受けを検討していたハリガイ工業。最終的に選んだお相手は、同じ製造業で異なる技術と事業をもつ企業でした。
2022年2月に初めてのM&Aを実行した株式会社イノベックス。同社は、M&A成約前から譲渡企業側の経理体制の早期整備を意識し、成約から1年超にわたって日本PMIコンサルティングがサポートしました。同社 執行役員 経営企画室管掌 野田 芳明様と、親会社のウェーブロックホールディングス株式会社 経理財務部担当部長 兼 同部 経理課長 牧山 竜一様に、経理体制構築におけるPMI(M&A後の統合プロセス)を進めるうえで特に重視したポイントや、コンサルティングを受けた効果について伺いました。
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譲受・買収のご相談
役員室上席課長 森山 隆一
安藤社長は譲渡を決断するにあたり、社員の継続雇用と事業の継続・発展を最優先されていました。三景社という業界大手かつ伊藤忠グループの傘下に入ることで、社員の皆様も安心され、また様々なシナジー創出・相互連携が可能になりました。グローバル化している市場において、世界で打ち勝っていく企業になりますことを祈念しております。
吉丸 彰一郎
本件は、中堅企業の事業承継というテーマにおいて、典型的な成功事例だと思います。専門領域で基盤を築き上げてきた横浜テープ工業社を、業界大手の三景社がグループに迎え入れることにより、企業の存続が実現し、かつ三景社としても、商材や海外製造拠点の拡充が図れ、グループの更なる発展にも寄与することが期待できます。両社の今後益々のご発展を祈念しております。