ファンドは嫌われ者?

竹内 直樹

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竹内直樹

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「IPOしたいと思っているけれど、自社だけではちょっと難しい・・・」 「モノとカネは何とかなるけれど、ヒトの問題が解決できない・・・」 「サポートはしてほしいが、事業のことについてはあまり口を出されたくない・・・」 近頃、このようなご相談が増えてきました。 「ファンドの活用はどうでしょうか?」とお聞きすると、経営者の多くの方が怪訝な顔をして、「ファンドはちょっと・・・」おっしゃります。

確かに、ひと昔前は、ファンドといえば、ネガティブな言葉で表現されていました。 しかし、日本でも近年はさまざまなファンドが作られ、連日紙面にも登場しています。 行政機関や上場企業がファンドを作る時代になったのです。

そのようなファンドは、投資先を成長させることや地方を創生させることをミッション(使命)としています。 「ファンドをうまく利用しようと思っているんです。竹内さん、ちょっと私の考えを聞いてもらえますか?」 1年ぶりにご相談にいらっしゃった社長のお考えは、前回お会いした時と少し変わっていました。

ファンドのミッションは“成長させること”

大企業じゃなければ人は来ない?

「前に相談したときから約1年経って、私なりにいろいろ考えました。 この1年で売上は30%増、利益も15%増えました。自分自身の力で、もう少し伸ばすことはできると思いますが、それではいまの延長線上に限られてしまう。

だから、他の方へのバトンタッチが必要なんです。 中堅中小企業としては悪くない会社だと自負しています。でも、優秀な人材はなかなか確保できない。 『IPOに挑戦してみよう』とも思いましたが、上場に耐えられる人員体制を構築できないんです。監査法人も引き受けてくれない。」

ファンド特有の良さがある

ネガティブイメージが強いためパートナーとして毛嫌いされがちなファンドですが、良い所もたくさんあります。 ・いろいろな方面から優秀な人材をひっぱってこられる ・事業会社と違って色がつかない ・IPOを実現させるノウハウを持っている ・必要以上の口は出さない 確かに、事業シナジーの大きさは、事業会社をパートナーとする場合に劣るかもしれません。

でも、自社の事業に成長性がある会社こそ、ファンドを利用することも選択肢とすることができるのはないでしょうか。なぜなら、ファンドもまた、成長性がある会社にしか投資をしないからです。

ファンドは“使う”もの

「ファンドをパートナーにして、人員の補強と上場のノウハウを享受して、数年後には上場したいと考えています。竹内さん、それを実現してくれるファンドは見つかりますか?」 それが、前出の社長の出した結論でした。 当社開催のセミナーでは、ファンドをパートナーに選んだ社長の体験談を語っていただく機会もあります。
「ファンドはちょっと・・・」というイメージが、少しは変わるのではないかと思っています。

書籍『どこと組むかを考える成長戦略型M&A』

著者

竹内 直樹

竹内たけうち直樹なおき

1978年生まれ。広島県出身。2007年日本M&Aセンターに入社。主に中堅・中小企業と上場企業に対して買収提案を担う部署の責任者として、上場後のブリッツスケール(爆発的成長)に貢献。譲受企業だけではなく譲渡企業の成長も実現する「成長戦略型M&A」を提唱し、日本経済におけるM&Aの普及・啓発に尽力。2018年から取締役となり、全社の戦略立案と実行を指揮して、連続的な業容拡大を実現。2024年4月より現職。日本M&Aセンターホールディングス取締役も兼務。著書に「どこと組むかを考える成長戦略型M&A」(プレジデント社)がある。

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