
[M&A事例]Vol.118 後継者への株式の贈与問題をM&Aで解決。移住先で充実のセカンドライフを満喫
プラスチック製品の製造を手掛けるケー・アイ・ピーは、外部から社長を招聘し事業承継を行いましたが、株式贈与と将来的な成長戦略の課題にぶつかります。その後M&Aによる譲渡を行い、現在は新天地でセカンドライフを送る創業者に話を伺いました。
譲渡企業情報
譲受企業情報
※M&A実行当時の情報
株式会社ゴーウェル 加藤裕通元代表取締役社長は、当社がお手伝いをし、2015年にM&Aによって株式会社トランザクションに会社を譲渡されました。M&Aを決意された経緯や心境、現在の様子などをお聞きしました。
加藤様: ゴーウェルは、京都市にて旅行用品の企画卸業を営む会社です。“旅の安全・快適・充実を図るための商品、サービスを旅行者に提供すること”を経営理念としています。私は大学卒業後、服飾系の会社で営業職をしていました。仕事をしながら「これからは輸入の時代が来る、その波に乗って起業しよう」と思っていました。そんなある時、当時日本にはなかった折り畳み式のラゲージカートの存在を知り、輸入して日本で販売しようと、ゴーウェルを1976年に創業しました。
海外旅行ブームも相まって、企画した製品は好調な売れ行きで、会社の業績も順調に推移していました。
ゴーウェル様商品
「バックとめるベルト(左上)」「トラベルクッション(右)」「トランクベルト(左)」
実の子供に後を継がせる難しさを実感
加藤様: 私には娘がおり、海外の大学卒業後はゴーウェルに勤めていました。しかし、経営者として苦労させたくない思いもあったので、結局娘に会社を継がせることはできませんでした。娘には自分のやりたいことを尊重させ、別の会社に転職させました。実の子供に会社を継がせることの難しさを実感しましたね。
“非上場の中小企業でもM&Aできる”という驚き
加藤様: それ以降、会社の後継ぎを考えながら経営してきましたが具体的な案もなく、65歳を迎えていました。
同じくして、長年経理・総務として会社を支えてきてくれた妻が体調不良になり、業務の負担を軽減する必要を感じ始めていました。
ちょうどその頃、会計事務所主催のM&Aセミナーを知りました。それまでM&Aは大企業がするものというイメージがあったので、興味本位での参加です。そのセミナーで、私の意識は180度変わりました!“ウチのような売上4億円・非上場の中小企業でもM&Aができる”ということを知り、ただただ驚きでしたね。セミナー後、すぐに日本M&Aセンターの森口さんが面談に来てくれ、私の抱えている事業承継の悩みを理解してくれた上で「M&Aで良い後継者を探しましょう」と言ってくれました。この言葉に勇気をもらい、M&Aによる会社譲渡を決意しました。
加藤様: ゴーウェルは社員の平均年齢(当時)が30歳と若い会社なので、若い社員がM&A後も成長していけるような会社を希望しました。ゴーウェルというブランドが今後も発展していけるお相手がいいなと思っていました。
理想の相手を日本M&Aセンターに紹介してもらえた
加藤様: 多くの会社に手を上げてもらったことは光栄でしたが、M&A交渉が進む中で、買い手企業側の理由で見送りになってしまうということが続きました。「M&Aは縁のもの、とはいえこのまま相手が見つからなかったらどうしよう」と不安になることもありました。そんな時に日本M&Aセンターの森口さんは、これまでの見送りを踏まえて“ゴーウェルに合う買い手の会社像”について一度詳細な分析をして提案してくれました。この分析があったからこそ、私と森口さんで理想のお相手像についての共通認識が出来上がりました。そして出会ったのがトランザクション様です。これは運命のお相手でした。これまでのブレイクがあったからこそ、最良のお相手に出会えたと思いましたね。
M&Aで会社の新しい時代を築いていけると確信する相手
加藤様: 社長に会って、その温かい人柄に“ 会社の今後を任せられる人だ”と思いました。実際にゴーウェルに来る方も紹介してもらいましたが、若くパワフルな人で、これからの若いゴーウェルを引っ張っていくのに最適なリーダーだと感じましたね。
事業面でのシナジーについては、トランザクション様はデザインから製造・品質管理・販売までの雑貨事業を営むグループ企業をまとめている大きな会社です。グループを通じて海外製造拠点や販売先が多岐にわたっているので、当社が一緒になれば、製品の製造コストを抑えることもでき、さらには拡大する販路を活かしてゴーウェルブランドをさらに広めることができる。今は昔と比べて海外旅行がメジャーになってきた時代ですので、新しい事業展開も必要になります。トランザクション様とならその時代も乗り越えられる、新しいゴーウェルの時代を築いていけるお相手だと確信しました。
加藤様: 今このようにうまくいっているのは、トランザクションの皆様が“一緒にやっていこう”という仲間意識をもち、お互いを尊重し合う姿勢でいてくれるからだと思います。そのおかげで、ゴーウェルの社員も、前向きに新たな気持ちで仕事に取り組むことができています。創業者として、こんな嬉しいことはないですね。
M&Aでできた家族との時間に感謝
加藤様: 2016年2月に引退し、第2の人生を始めています。結婚生活の大半が会社経営の日々だったので、今ようやくきちんとした夫婦の時間を満喫できるようになりました。娘も新しい道でやりたい仕事ができ、そこで生涯のパートナーも見つけ、今年の春には孫が生まれました。娘の幸せそうな笑顔を見て、これでよかったんだなと改めて思いました。
経営者時代と違って今は時間がありますから、孫の面倒をじっくりみてやりたいので夏休みが楽しみで仕方ありません。M&Aをしなければこんな家族の時間は持てませんでしたから、家族一同M&Aに感謝ですね。
M&A成功インタビューは、
日本M&Aセンター広報誌「M&A vol.45」にも掲載されています。
プラスチック製品の製造を手掛けるケー・アイ・ピーは、外部から社長を招聘し事業承継を行いましたが、株式贈与と将来的な成長戦略の課題にぶつかります。その後M&Aによる譲渡を行い、現在は新天地でセカンドライフを送る創業者に話を伺いました。
コロナ禍で業界全体に停滞感が広がるなか「新規顧客獲得を実現するには、加工技術の多角化を図るしかない」と企業の譲受けを検討していたハリガイ工業。最終的に選んだお相手は、同じ製造業で異なる技術と事業をもつ企業でした。
2022年2月に初めてのM&Aを実行した株式会社イノベックス。同社は、M&A成約前から譲渡企業側の経理体制の早期整備を意識し、成約から1年超にわたって日本PMIコンサルティングがサポートしました。同社 執行役員 経営企画室管掌 野田 芳明様と、親会社のウェーブロックホールディングス株式会社 経理財務部担当部長 兼 同部 経理課長 牧山 竜一様に、経理体制構築におけるPMI(M&A後の統合プロセス)を進めるうえで特に重視したポイントや、コンサルティングを受けた効果について伺いました。
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森口 忠之
「思い返すとM&Aセミナーへの参加が人生の転機の第一歩だった」という加藤様の言葉が心に残っています。後継者問題を抱えていた加藤様は、従業員の未来や、情熱を込めて開発した商品をご購入頂くお客様のことを第一に考え、会社を存続・発展させる手段として、M&Aを決断されました。その想いは十分にトランザクション様に伝わり、今の新生ゴーウェルがあると思います。成約式で今後のゴーウェルの成長を願うと共に、長年ともにゴーウェルを支えてきた奥様への感謝を述べられた加藤様の姿を忘れません。
家族との時間が持てたと喜ばれる加藤ご夫妻の笑顔を見て、私も嬉しく思っております。加藤様の“人生の転機”の決断に敬意を表すとともに、これからもコンサルタントとして邁進してまいります。