
[M&A事例]Vol.123 将来の廃業をとりやめM&Aをして5年。新社長が入社し、安心できる体制へ
北海道留萌市で建築設備の管工事業を手掛けるハチロは、1961年の創業以来、地域に根差した事業で地元の信頼を得る会社です。2018年9月の譲渡から5年、2023年7月に会長に就任した譲渡オーナーからお話を伺いました。
譲渡企業情報
譲受企業情報
※M&A実行当時の情報
2012年1月、当社がお手伝いしてM&Aを実行された2社の代表、渡辺様(エスカルラボラトリーズ社)と中村様(クオール社)をお迎えし、M&Aを決意された理由や当時の心境などをお聞きしました。
渡辺様: エスカルは、食品CROの会社です。特定保健用食品(特保)の申請目的や機能性食品のエビデンス検証を目的の食品に関するヒト臨床試験を支援します。試験計画作成から被験者確保、試験経過管理、統計解析、報告書提出までトータルでサポートします。
十数年前に起業した当時、食品CROは、5社程度しかありませんでしたが、現在では大学のベンチャービジネスをはじめとする異業種からの参入も多く、100社が競合しておます。そのような業界で、受託した仕事は結果にこだわり、労を惜しまず徹底的にサポートを遂行するポリシーで続けてきた結果、業界内で確固たる地位を築くことができました。
会社としては順調に成長している中でのM&Aを決意した理由は2つあります。
1つ目は、「後継者問題」です。創業者である私が62歳になり、私に万が一のことが起こった場合、会社はどうなるだろうと考えました。従業員もいるし私を信頼し、業務を委託されたクライアントに迷惑をかけるわけにはいかず、会社を存続・継続させなければなりません。まず義理の息子への承継を考えましたが、まだ若く経験も浅いため、親族への承継はあきらめました。次に、役員に継がせることも考えましたが、株式の買い取りや個人保証の問題や社長業の大変さなど、承継は現実的には難しく、断念しました。そんなときにM&Aという選択肢があることを知りましたが、小さい企業ですしM&Aの対象になるのだろうかと不安でした。数年前の新聞に掲載された会社継承の記事を思い出し、日本M&Aセンターに相談しました。いろいろ話を聞いていくうちに、M&Aによる承継が十分可能だということがわかり、前向きに考え始めました。
2つ目は、エスカルが受託する仕事の量が多くなってきて、事業体制を強化しなくてはならないと感じていたことです。仕事量が増えすぎて、現体制では対応できなくなりつつあると考えていたところでした。10数名の従業員では業務対応が困難で、さまざまな方法で人材確保を試みましたが、増加する仕事に対してスピードが追いつきません。体制を強化してくれる会社と提携して、事業インフラを強化したいと考えたことが、M&Aを決意したもうひとつの理由です。
中村様: クオールは、1992年の会社設立以来、「真実と誠実をもって」を企業理念に掲げ、保険薬局経営を中核に企業活動を行って参りました。地域社会の健康を担う一員として、地域の一人ひとりへ健康で快適な環境を提供することこそが使命と考えております。
日本M&Aセンターから、エスカルラボラトリーズ様のお話を伺い、その場ですぐに是非取り組みたい、一緒に拡大させたい事業だと思いました。当社グループに参画して頂くことで、地域社会に、より上質なQOL(クオリティ・オブ・ライフ)をお届けすることができます。「食」と「医薬」は、地域社会の健康にとって、切っても切れない関係があります。フェーズオンという子会社で医薬品のSMOはすでに取り組んでおりましたので、相乗効果も期待できると考えました。ただの利益云々だけではなく、地域社会への貢献のためにも取り組むべきお話だと直感致しました。
渡辺様: M&Aの相手を選ぶ際、どこでもいいというわけではありませんでした。エスカルはニッチな事業内容でかつ独自の考え方で経営してきたので、事業内容や運営の難しさを理解してくれ、更に伸ばしてくれるような相手を望んでいました。クオール様を紹介してもらい理念や方向性を伺い、クオール様との提携であれば、グループ内でのエスカルの存在意義を見出してもらい、将来性のある形で承継することができると思い決意しました。
渡辺様: M&Aをするのは少し早いかもしれないと考えていましたが、結果的にはいい形で会社を承継することができ、経営者として最後の任務をやり遂げた思いです。多くの中小企業経営者同様、休みらしい休み無しで走り続けてきましたので、初めてゆとりのあるライフスタイルになりました。業務をサポートしてくれた妻には、海外旅行に行きリフレッシュしてもらいました。
今後もこれまでの経験を活かして「健康」をキーワードに微力ながら社会に貢献できるよう、ガーデニングをしながら構想を練っています。
中村様: 社員の皆さんと一丸となって非常に良い雰囲気です。エスカル社の経営課題である人員補強についても着々と進んでおります。採用強化のため、本社を埼玉県内の主要拠点である大宮駅前に移転いたしました。
その他、クオールの様々な経営資源を活用して、全社一丸となって新しい取組みを始めています。社外からエスカル社に合う経営者を招聘できたことも良い結果となっております。また、お客様である食品メーカー様からは、クオールの流通経路(調剤薬局店舗、ローソンとの併設店舗)の活用を見込んだ依頼も増えてきております。
今回のM&Aは当社にとって非常に有意義なお話であり、今後も「食」を通じて地域社会に貢献できるような企業様と手を携えていきたいと強く願っております。
M&A成功インタビューは、
日本M&Aセンター広報誌「M&A vol.28」にも掲載されています。
北海道留萌市で建築設備の管工事業を手掛けるハチロは、1961年の創業以来、地域に根差した事業で地元の信頼を得る会社です。2018年9月の譲渡から5年、2023年7月に会長に就任した譲渡オーナーからお話を伺いました。
自動車関連事業を主力事業とするGLIONグループは、これまでM&Aで92社もの会社を譲り受け、国内外で成長を続けてきました。各社の独自性を活かしながら、グループ全体で業績を上げる具体的な取り組みについてお話を伺いました。
レンタルサーバー事業を中核事業に持つカゴヤ・ホールディングス株式会社(京都府)は、積極的にM&Aを推し進め、2021年12月から約9カ月間に3社を譲り受けました。M&Aを活用して「総合DXカンパニー」を目指す北川貞大社長に、最初の譲受け企業となったエスケイワードとのM&Aについてお聞きしました。
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今回のM&Aは、エスカル社にとっては事業承継問題をクリアーし、かつ企業として更なる成長・発展につながる、とても有効なM&Aでした。クオール社にとっても「食」と「医薬」というコンセプトにマッチした意義のある取り組みとなりました。
両社ともに満足いただけるM&Aを実現でき、とても嬉しく思っております。今後の両社の益々のご発展を祈念しております。