コラム

信頼して託してくれた社長と会社のために、自分ができることを全力で

吉丸 彰一郎

著者

吉丸彰一郎

日本M&AセンターM&Aコンサルタント(2016年12月時点)

M&A全般

⽬次

[表示]

M&Aコンサルタントの目 「信頼して託してくれた社長と会社のために、自分ができることを全力で」 吉丸 彰一郎

神奈川県で70名ほどの社員を抱えるT社のオーナー M社長が日本M&Aセンターの門をたたいたのは2013年のことでした。今回は、M&A成約までの道のりをM社長と二人三脚で進めたM&Aコンサルタント、日本M&Aセンター吉丸のインタビューをお届けします。

後継者は息子?それとも第三者?

迷っているオーナー社長が具体的な判断ができるようなアドバイスを

―M社長から初めて相談を受けたときは、どのようなアドバイスをしましたか? 「まだ具体的に考えているわけではないのですが…」と、事業承継についてのご相談を受けました。今すぐに事業承継をしなくても会社としては問題なかったので、M&Aによる事業承継ありきではなく、会社の現状をよく理解させてもらったうえで、M社長が判断できるような材料をできるだけご提供しようと心掛けました。 初回面談では、事業承継の他社事例などをお伝えしたところ、それまでの漠然とした懸念や先入観もなくなり、検討すべきことや判断すべきことが明確にしていただけたようです。“事業承継”というテーマは、偏った見方や限られた情報だけで判断すべきものではなく、会社の現状や将来を客観的にとらえ、情報を集め、あらゆる選択肢を先入観なく検討したうえで判断すべきものです。その経営判断に必要な材料をご提供することが、私たちM&Aコンサルタントの役割の1つだと考えています。

「成功するM&A」の流れ

ニッチな業界のお相手探しは慎重に。

日本M&Aセンター社内に豊富な情報があるので安全に探せる

―M&Aの依頼を受けて、お相手探しはどのように進みましたか? T社は関東圏の産業機器メーカーです。売上高は約10億円ですが、技術力が高く、大手電機メーカーや研究機関など優良な取引先を有していました。かなりニッチな業界でしたので、特徴を伝えただけで会社が特定されてしまう可能性もあり、お相手探しには細心の注意を払いました。 一から候補先を探し打診していくのではなく、既に当社で具体的なニーズを把握している多数の候補先企業の中から確度の高そうな先を選定し、M社長とも協議しながら提案先を選び、個別に提案していくという、慎重な進め方をしました。 ―秘密保持のためですね。でも、非効率ではないのですか? 日本M&Aセンターの社内システムには、当社社員が直接会って把握した膨大なM&A希望企業のニーズが登録されており、その豊富な情報をもとに最初の段階から具体的な候補先を選定することができます。セキュアな状態で多くの情報量を確保できるのが当社の強みです。 ―今回のお相手とのマッチングはどのようなきっかけだったのでしょうか? お相手は上場会社のメーカーで、コア技術が共通する関連業種の強化のためのM&Aを検討していました。そのM&Aニーズが社内システムを通じて当社大阪支社のコンサルタント今井より寄せられました。組み合わせとして、技術面、取引先、販路、海外展開等、双方に相乗効果も期待できそうでした。

M&A案件情報

譲受け企業は株主への説明責任が必要な上場会社

―マッチング後の進行はどうだったのでしょうか。 買い手企業に対するサポートは先ほどの今井が務めました。今回のM&A(=投資)で、将来どれだけの利益を生むのか、その為の投資金額として適切か、が特に関心の強い点だと思います。
そこで、T社の強みやこれまでの研究機関との取引実績、他社と比較した場合の優位性などマーケティングの視点からの提案資料をまとめ、また、決算書などの財務的な数字だけではなくM&A実施後の事業上の想定シナジー効果を可視化するなど、ロジカルな裏付け資料の作成をサポートしました。こうした論理的な裏付けを伴う資料のサポートが必要になる場面もかなりあります。 単に引き合わせるだけではなく、組み合わせの相手によって価値を見出す部分も違うので、的確に顧客ニーズを把握したうえで的を射た提案、サポートをすることが重要です。こうした対応力は、M&Aコンサルタントとして、そしてM&A仲介会社としてのノウハウや経験がものを言うと思います。

最後のアドバイスはディスクロージャー。

必ず社長自身の言葉で

―M&A終了後、最後のアドバイスはどんなものでしたか? 最終契約の締結後、ディスクロージャー(社員・取引先への発表)についてです。内容はもちろん、社長自らの言葉で会社と社員の将来の発展のために、今M&Aを決断したことの意義を伝えてください、とアドバイスいたしました。譲受け企業側からも社長自ら従業員説明会の場に参加していただき直接話をしてくれたことが、さらなる後押しになったと思います。結果として社員の方々にもM&Aの全体像をよく理解していただくことができ、社員の皆様は今でも従来どおり活躍されています。 ―M&Aコンサルタントに求められる姿勢は。 M&Aの支援をするコンサルタントとしては、「冷静に事態を見極める」面と、「情熱と自信を持って交渉を進める」面の両方を持ち合わせていないといけないと思います。さらにM&Aは、相手あっての取り組みでもあり、関係当事者も複数あるため、思った通りに進まないこともよくあります。従って、ポイントとなるであろう事項やタイミングをできるだけ事前に想定し、それに対する対処策まで考えておかなければなりません。 そして何よりも、クライアントファースト。信頼してM&A仲介を託してくれた社長に対して、自分ができることはすべて、全力でやりきることが私の使命、責任だと思って取り組むことが重要です。

著者

吉丸 彰一郎

吉丸よしまる 彰一郎しょういちろう

日本M&AセンターM&Aコンサルタント(2016年12月時点)

早稲田大学政治経済学部卒。大手証券会社グループでの勤務を経て、1999年よりM&Aアドバイザリー業務に従事し、2009年に日本M&Aセンターに入社。中堅中小企業から大手上場企業の案件まで様々な形態のM&Aを幅広く手掛け、これまで150件以上の案件成約に関与。M&A後のオーナー社長との関係も大切にしており様々な業種にも精通。

この記事に関連するタグ

「後継者」に関連するコラム

サーチファンド・ジャパンが経営者候補の募集説明会を開催

広報室だより
サーチファンド・ジャパンが経営者候補の募集説明会を開催

黎明期を迎えた日本のサーチファンドに新しい人財を求む―。サーチファンド・ジャパンはM&Aを活用して経営者を目指すサーチャー(経営者候補)の募集に向けた説明会を2022年7月26日、日本M&Aセンター東京本社で開催しました。平日夜にも関わらず経営者志望の数十人が出席し、サーチファンドの仕組みやサーチファンド・ジャパンの特徴について耳を傾けました。当日はマスコミの撮影もあり、広がりつつあるサーチファン

後継ぎが足りない!後継者不足の現状、その解決に向けたヒント

事業承継
後継ぎが足りない!後継者不足の現状、その解決に向けたヒント

経営者の高齢化にともない「後継者がいない、見つからない」といった後継者不在の問題は年々深刻化し、社会問題として取りざたされています。本記事では、後継者不足の現状や事業承継を成功に導くための後継者育成のポイントなどについて解説していきます。後継者不足の現状現在、日本は超高齢社会に突入し、経営者の平均年齢は60歳を超えています。経済産業省の発表によると70歳以上の経営者が245万人、その半分の127万

業種特化セミナーがスタート

広報室だより
業種特化セミナーがスタート

日本M&Aセンター業種特化事業部によるオンラインセミナー「全17コマ9月横断業種特化セミナー」が2021年9月10日から始まりました。高い専門性を駆使してM&Aを成功に導くコンサルタントがIT、物流、調剤、建設、食品、製造の業種別に最新M&A事例や成長戦略を解説します。(※当セミナーは終了しました)IT業界M&Aからスタート「売上20億円以上の受託開発ソフトウェア業におけるM&A戦略」をテーマに、

日本M&Aセンター初の"売らなかった経営者”が語るオンラインセミナー

広報室だより
日本M&Aセンター初の"売らなかった経営者”が語るオンラインセミナー

創業以来、セミナーを企業文化としてきた日本М&Aセンターで史上初めてとなる、M&Aを検討しながら譲渡しなかった経営者が体験談を語るウェビナー「成長戦略セミナー私が会社を売らなかった理由」が2021年8月25日に開催されました。逆説的でありますが、М&A仲介のリーディングカンパニーだからこそできる話題のセミナーとなりました。結果的に当社をM&A仲介ではなく“経営コンサル”としてご活用した経験談となり

未上場会社の値段はどうやって決まる?「会社の株価や税金」を解説

M&A実務
未上場会社の値段はどうやって決まる?「会社の株価や税金」を解説

中小企業庁の発表では、2025年までに、平均引退年齢である70歳(平均引退年齢)を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人となり、うち約半数の127万社が後継者未定と言われています(2019年11月中小企業庁「中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題」より)。中小企業・小規模事業の経営者の皆様の多くは、ご自身の会社の事業をどのように継承していくか、考えられたことがあるかと思います

【連載】「経営者と家族のための事業承継」現場でみる最新の考え方と進め方 ~第3回「後継者について知ってほしいこと」~

事業承継
【連載】「経営者と家族のための事業承継」現場でみる最新の考え方と進め方 ~第3回「後継者について知ってほしいこと」~

中小企業庁の発表では、2025年までに、平均引退年齢である70歳(平均引退年齢)を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人となり、うち約半数の127万社が後継者未定と言われています(2019年11月中小企業庁「中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題」より)。中小企業・小規模事業の経営者の皆様の多くは、ご自身の会社の事業をどのように継承していくか、考えられたことがあるかと思います

「ニッポンには、跡継ぎが足りない。」テレビCM放送中

コラム内検索

人気コラム

注目のタグ

最新のM&Aニュース