[M&A成功事例]コロナ禍におけるクロスボーダーM&Aでのマレーシア進出

株式会社サンコーシヤ

譲渡企業情報

  • 社名:
    L.V.Control Sdn.Bhd(マレーシア)
  • 事業内容:
    配電盤・電力制御装置製造業
  • 売上高:
    約3.3億円
    社員数:
    43名

譲受企業情報

  • 社名:
    株式会社サンコーシヤ(東京都)
  • 事業内容:
    電子部品・回路・デバイス製造
  • 売上高:
    約108億円
    社員数:
    226名

※M&A実行当時の情報

海外のM&Aといえばこれまでは欧米が主流と考えられていましたが、昨今注目されるのが中堅・中小企業による東南アジアでのM&Aです。今回、株式会社サンコーシヤは長引くコロナ禍で渡航が制限される2021年10月、日本M&Aセンターの現地拠点やオンラインを駆使してマレーシアの企業を譲受けました。クロスボーダーM&Aのご経験も多いサンコーシヤに、コロナ禍における海外M&Aのポイントをお聞きしました。

M&Aを活用して「雷」に特化したビジネスで世界に展開

サンコーシヤは、観測から防護まで「雷」に関するビジネスを展開する世界的にも珍しい総合企業です。1930年の創業以来、自然災害である雷と向き合ってきました。サンコーシヤの前身である山光社が開発した国内初の避雷器は、雷対策はもちろん電線の接触等による施設への損傷も防護するとして、戦後復興期の電力線・通信線ネットワーク構築に大きく貢献しました。

その後、雷防護技術を中心に、高度情報化とグローバル化の波に乗って、「雷防護」「通信網」「環境情報」の3事業分野を柱に成長してきました。今では、鉄道関係など重要なインフラ設備を中心に中国、タイ、ベトナムといった東南アジアから、アメリカ、南米、ヨーロッパの国々まで幅広くサンコーシヤの製品が採用されています。

サンコーシヤの海外展開の歴史は古く、1995年にアメリカの雷関連会社を譲受け、「グローバル・アトモスフェリックス社」を設立したことに始まります。その後、インドネシア、中国、韓国、ベトナム、タイと、順調に拠点を広げていきました。そのスムーズな拠点づくりに活用したのがM&Aだったのです。技術レベルが高かったこともあり、日本規格から国際規格への切り替えはスムーズに行うことができました。

動画やWEB面談を駆使してコロナ禍でもスムーズに成約

調印式でのサンコーシヤの皆様。日本とマレーシアの旗を持つ伊藤眞義社長から右に岡林親志常務、佐藤正明取締役、酒井和康担当部長(役職はM&A実行当時)

調印式でのサンコーシヤの皆様。日本とマレーシアの旗を持つ伊藤眞義社長から右に岡林親志常務、佐藤正明取締役、酒井和康担当部長(役職はM&A実行当時)

今回サンコーシヤは、マレーシアの携帯基地局で使用される電源用SPDおよび分電盤・キャビネットで高いシェアを持つ、L.V.Control Sdn.Bhd.(本社:マレーシア クアラルンプール:以下LVC社)を譲受けました。経緯について、サンコーシヤの伊藤眞義社長、岡林親志常務、酒井和康担当部長にお聞きしました。

――マレーシアでM&Aを検討された理由をお聞かせください。

「マレーシアは代理店での展開のみで拠点がありませんでした。日本人の老後の移住先としても人気が高い国ですし、医療や教育体制も整っている。英語教育もしっかりしているので、今後の成長を見込んで拠点を作りたいと考えていたんです」

――LVC社をお相手に選ばれた理由は何ですか。

「一番は、当社のビジネス領域とLVC社のビジネス領域が合致していたことです。取扱製品や顧客層、マーケット環境も似ていましたので、事業拡大が見込めると思いました。企業規模も大きすぎず、小さすぎず、当社でマネジメントできる程よい規模感だったことも判断材料の一つになりました」

LVC社の社内風景と主力商品

LVC社の主力商品

――貴社はこれまでもクロスボーダーM&Aをご経験されていますが、国内と海外とではM&Aに違いはありますか。

「言語や文化の違いはありますが、お相手の会社を決める上では国内も海外も判断基準に違いはありません。今回、お相手を探す上で重要視した点は、事業性が当社のニーズにいかに合致しているかというところでした。その点、携帯基地局で使用される電源用SPDおよび分電盤・キャビネットで高いシェアを持つLVC社は魅力的なお相手でした」

――2021年10月25日に成約式を行いましたが、リモートでの開催となりました。成約式だけでなく、コロナ禍で渡航制限もあり、一度も対面することなく進んだM&Aでした。お話しを進める上で心配はありませんでしたか。

調印式もオンラインで実施。LVC社からは創業者ご夫妻(左から2番目がLeong氏、中央がLilian氏)、ご子息のCalvin氏(左)、従業員2名が参加されました

調印式もオンラインで実施。LVC社からは創業者ご夫妻(左から2番目がLeong氏、中央がLilian氏)、ご子息のCalvin氏(左)、従業員2名が参加されました

「そうですね。マレーシアではロックダウンや渡航制限もあり、現地に行くことができませんでした。ただ、日本M&Aセンターの現地拠点がマレーシアにありましたので、私たちが現地に足を運べない分、日本M&Aセンターのスタッフの方が工場の動画を撮影したり、WEB面談のセッティングをしてくれるなどタイムリーな情報提供をしてくださったので、安心してお話しを進めることができました。 送られてくるデータや動画を多くの社員が何度も見て共有することができたので、これまでのように主要メンバーだけが訪問するよりかえって効率的で良かったぐらいです」

今後も拠点を増やして国内トップから世界のトップを目指す

――成約式後もコロナ禍の状況は変わりませんが、PMIをどのように進めていらっしゃいますか。

「オンラインを活用してメールや月次会議で密にコミュニケーションをとっています。これまでも海外企業とのM&Aを経験していますが、M&A後は互いに理解し合い信頼関係を築くことが重要だと思っています。今はまだ訪問がかないませんが、コロナが落ち着いたら現地を訪れて親睦会を開くなどして、社員一人ひとりとコミュニケーションを図りたいですね」

――現地へ派遣する人材の育成や仕組みについては、どんなお考えをお持ちですか。

「経営は基本的に現地スタッフに任せるようにしています。日本から派遣する場合は『成長の場』ととらえて30歳前後の中堅社員を送り込んで、多くを学んでもらっています」

――今後の展望をお聞かせください。

「今回のM&Aを通じて、東南アジアでの販売強化に向けて次世代携帯システム5GやITS領域を広げるとともに、LVC社の生産能力を生かすことでグループにおけるサプライチェーン強化、グループ内事業のポートフォリオの最適化を進めていきます。
これからも事業拡大のタイミングでご縁があれば、M&Aを使って効率的に事業展開を進めていきたいと考えています。1カ国に1拠点とまでは言いませんが、今後も海外での拠点を広げていくことで国内トップから世界のトップを目指していきます」

――最後に、初めてクロスボーダーM&Aを検討する企業へアドバイスをお願いします。

「1つ目は、自社の身の丈に合っているかを判断の軸にする、ということでしょうか。金額面で言えば、具体的な金額設定をしているわけではありませんが、金額が大きすぎるとそのぶんリスクが出てくるので注意が必要です。
2つ目は、もしダメだったら時には早期撤退する勇気があるか、です。ただ、たとえ赤字が続いても改善の兆しが見えるようであれば継続すべきです。その見極めの期間を自分の中で決めておくといいですね」

日本M&Aセンター担当者コメント

Nihon M&A Center Malaysia Sdn. Bhd. 尾島 悠介

Nihon M&A Center Malaysia Sdn. Bhd. 尾島 悠介
Nihon M&A Center Malaysia Sdn. Bhd. 尾島 悠介

サンコーシヤ様が明確な協業イメージやシナジーを対象会社に共有することで、買収監査や交渉もスムーズに進行できました。国は違えど、「この会社・この経営陣であれば譲渡したい、同じグループになって事業を拡大させたい」というように、対象会社を惚れさせることが非常に友好的だと感じた案件でした。ご両社のこれからの発展をお祈りいたします。

海外事業部 In-Out推進課 福島 裕樹

海外事業部 In-Out推進課 福島 裕樹
海外事業部 In-Out推進課 福島 裕樹

明確なビジョンと目的をもって本件に取り組んで頂いたことで、譲渡オーナーにとって譲渡後の自社の成長イメージが描きやすく、通常神経質になりやすい株価交渉や、契約書交渉の場面でも友好的に話し合いを進めることができました。また専門家に任せる部分、自社で判断する部分の線引きを行っていただいたことでディール全体の運びもスムーズに行うことができたと感じています。

成長戦略事業部 成長戦略部 坂本 遼介

成長戦略事業部 成長戦略部 坂本 遼介
成長戦略事業部 成長戦略部 坂本 遼介

M&Aを行う大義をしっかりと保持されながらも、譲渡オーナーの気持ちに寄り添いながらディールを進めていただいた印象です。コロナ禍で完全リモート進行となったものの、Zoomの利用、クラウド上での買収監査、動画での実地紹介など次世代のM&Aを体現するディールでした。世界No.1の雷総合企業を目指す新生サンコーシヤグループの更なるご発展をお祈り致します!

※役職は取材時

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