
[M&A事例]Vol.118 後継者への株式の贈与問題をM&Aで解決。移住先で充実のセカンドライフを満喫
プラスチック製品の製造を手掛けるケー・アイ・ピーは、外部から社長を招聘し事業承継を行いましたが、株式贈与と将来的な成長戦略の課題にぶつかります。その後M&Aによる譲渡を行い、現在は新天地でセカンドライフを送る創業者に話を伺いました。
譲受企業情報
※M&A実行当時の情報
当社がお手伝いして3件のM&Aを実行された株式会社電研社 代表取締役社長 野村 明宏様に、M&Aによる成長を選択した最初のきっかけや、M&A後の効果、譲り受ける際に気を付けていること、今後の戦略などをお伺いしました。
新たな収益の柱を模索中、日本M&Aセンターのセミナーに参加
野村様: 当社は、1950年に大阪市北区に「関西電話工業株式会社」として設立され、1953年に商号を株式会社電研社に変更しました。電力・通信用機材の製造を行う会社で、ケーブルハンガーやラセンハンガーと呼ばれるケーブル吊架材は、テレビやインターネット通信に欠かすことのできない電線を支えています。競合企業が少ないニッチな業界で、中には高いシェアを誇る業界標準品も数多く存在し、長年にわたって安定成長を遂げています。
しかし、インフラの成熟によって本業が頭打ちとなってきたことをきっかけに、業態転換も視野に入れた経営改革を考えるようになりました。そんな折日本M&Aセンターのセミナーに参加し、M&Aを活用して新たな収益の柱を探すという選択肢があることを知ったのです。セミナーを受けた当初はまだ漠然としていて、M&Aは選択肢の一つとして捉えていましたが、日本M&Aセンターの藤田さんより北越電線をご紹介いただき、本格的に検討することとなりました。
3件のM&Aにより製造・工事・特殊加工をワンストップで可能に
1.株式会社北越電線を譲受け(2011年8月)
野村様: 北越電線は、電線の製造・加工の分野で業歴60年を超える東大阪の老舗企業です。大手企業が展開しにくい少量多品種の加工を受託しているため、販売先が多岐にわたっており、利益が確保しやすい体制でした。しかし、後継者不在問題を抱えていたため、日本M&A センターからご紹介がありました。若干ではありますが北越電線と過去に取引があったことや、納入先の業種が異なるため、販路の共有によるメリットがあることなどから譲受けを決断しました。M&A後は、当社の主製品である通信機材の他、電線の販売もできるようになり、商材の拡大を実現することができました。
本社:大阪府東大阪市
設立:1963年12月
事業内容:電線製造加工
売上高:約290百万円
従業員数:15名
(M&A実行当時)
2.株式会社テレトニーを譲受け(2014年4月)
野村様: 当社の身を置く通信工事の業界では、建物等の建築業と同じく、実際に作業をする前段階の「設計」や工事を開始して竣工するまでの「施工管理」が重要な作業として存在します。設計では、使う資材の選定や仕様決定等も行われ、資材の開発製造を行う当社にとっては、お客様ニーズを探る場所であります。また、実際に手を動かす作業者(業者)を適切に管理する(施工管理)能力を有する会社は意外と多くなく、重宝がられます。製造業だけにとらわれず、業界全体を眺めた時、工事の設計・施工管理は、情報収集とお客様満足の追求に非常に寄与する分野と考え、設計・施工管理を行える工事業者をグループ化するにいたりました。通信工事会社は、商流における弊社のお客様の位置。まだまだ大きなシナジーが生まれるまでには至りませんが、そのお客様の位置にいる会社を組み入れた事によって、元請の大手ゼネコンとのパイプも増え将来に期待が持てます。
本社:東京都千代田区
設立:1968年12月
事業内容:電気通信工事
売上高:約430百万円
従業員数:19名
(M&A実行当時)
3.株式会社O-KEI樹脂を譲受け(2014年12月)
野村様: O-KEI樹脂は、国内でも数少ないCFRPの加工専門企業です。同じ「樹脂」を取り扱うメーカーという点で当社と共通点があります。カーボン、FRP加工は非常にニッチで新規参入が難しいうえ将来性のある事業です。稀少性の高いCFRPの加工ができるということは顧客に対しても相当なインパクトがあるようで、営業活動に役立ったことも何度もありましたので、今後は新たな事業の柱にしていくつもりです。また、テレトニーと併せて関東エリア強化という面でも期待しています。
本社:横浜市港北区
設立:2004年9月
事業内容:カーボン、FRP加工
売上高:約174百万円
従業員数:12名
(M&A実行当時)
M&Aの譲受け先として業界で存在感
野村様: やはり人材育成面での効果が大きいです。マネジメントのポストが増えたことから、社員の活躍の場が格段に拡がりました。3件のM&Aの実績は社外にも大きなインパクトがあり、M&Aの譲り受け先としてのイメージが浸透してきたようで、中小企業家同友会などでM&Aについて講演する機会が多くなりました。取引先からM&Aに関する情報が入ることも多くなり、実際に「取引先の海外子会社を譲り受けてくれないか」との話を持ちかけられたこともあります。M&Aを実施したことで不都合を感じたことはなく、資金に余力のある限りはどんどんM&Aを実行していきたいと思います。
※CFRP:樹脂の中に炭素質を入れて強度を向上させた複合材料。金属材料よりも低密度でありながら、軽くて強度が高いのが特徴。
電研社 岡山工場内の様子
今後は海外のインフラ整備など成長分野へ積極投資したい
野村様: 今後の成長が予測される分野には積極的に投資をしていく考えです。経営理念にある「雇用の創出」を実現するためにも、M&A の活用は有効だと考えています。
成長分野への投資という点では、インフラの整備状況が途上で今後の持続的成長が見込まれる海外、特にベトナムなどに注目しています。ノウハウのない海外に進出するにはM&Aが必須です。日本M&Aセンターの海外支援室と情報交換を行っていて、国内で得たリソースを海外で活用したいと考えています。
当面はグループ全体で売上30億円を達成することが目標です。これまでは周辺業種とのM&Aが多かったのですが、今後は、本体と業態が近く、収益を直接カバーしてくれる案件を積極的に検討したいと考えています。
M&A成功インタビューは、
日本M&Aセンター広報誌「NEXT vol.4」にも掲載されています。
プラスチック製品の製造を手掛けるケー・アイ・ピーは、外部から社長を招聘し事業承継を行いましたが、株式贈与と将来的な成長戦略の課題にぶつかります。その後M&Aによる譲渡を行い、現在は新天地でセカンドライフを送る創業者に話を伺いました。
コロナ禍で業界全体に停滞感が広がるなか「新規顧客獲得を実現するには、加工技術の多角化を図るしかない」と企業の譲受けを検討していたハリガイ工業。最終的に選んだお相手は、同じ製造業で異なる技術と事業をもつ企業でした。
2022年2月に初めてのM&Aを実行した株式会社イノベックス。同社は、M&A成約前から譲渡企業側の経理体制の早期整備を意識し、成約から1年超にわたって日本PMIコンサルティングがサポートしました。同社 執行役員 経営企画室管掌 野田 芳明様と、親会社のウェーブロックホールディングス株式会社 経理財務部担当部長 兼 同部 経理課長 牧山 竜一様に、経理体制構築におけるPMI(M&A後の統合プロセス)を進めるうえで特に重視したポイントや、コンサルティングを受けた効果について伺いました。
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事業法人部 大阪支社 藤田 知己
電研社様は本業の見通しが立ちにくい中で、次の柱となる事業を積極的に模索し、弊社と情報交換を重ねたことが3件のM&Aの成約に繋がりました。譲受けした3社とも野村社長のもとで順調に拡大しております。
今後は、本業である電力・通信用機材の販路拡大のため海外へ活路を見出そうとしておられ、そのお手伝いができればと思っています。