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出生数、初の80万人割れで予測より11年前倒し  人口減で企業の生産性向上も待ったなし

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日本の少子化に歯止めがかかりません。厚生労働省は、2022年の国内の出生数(速報値)が、前年より5.1%減少の79万9728人だったと発表しました。80万人を下回ったのは統計を開始した1899年以来初めてとなります。人口減少がこのまま加速していけば、日本の企業の生産性向上も待ったなしといえるでしょう。

日本の出生数は、第1次ベビーブーム期には約270万人、第2次ベビーブーム期には約200万人でした。以降は増加と減少を繰り返し、2016年からは過去最少を更新し続けてきました。国立社会保障・人口問題研究所が2017年に発表した推計では、80万人割れとなるのは2033年としており、想定より11年早く少子化が進んでいることになります。

出生数が減れば、当然ですが労働生産年齢人口(15歳以上65歳未満の人口)の減少予測も前倒しされていくでしょう。2000年に約8000万人だった労働生産年齢人口は、2035年に6500万人、2065年には4500万人になるといわれています。
岸田政権は「次元の異なる少子化対策」を掲げ、対応策を検討していますが、出生数が急激に回復するかどうかに関しては懐疑的な見方も多いのが現状です。今後も少子化が進めば、将来の働き手の減少をもたらし経済の縮小にもつながるため、社会保障の維持も難しくなるかもしれません。

出典:総務省 「令和4年版 情報通信白書」をもとに当社作成

急がれる企業の生産性向上に向けた取り組み

人口減少は、当然ながら経済成長に大きな影響を及ぼします。市場の成熟化やグローバル化への対応といった構造的な課題に直面している中小企業では、これまでに比べて経営判断はさらに難しいものになってくると考えられます。新事業の展開や事業規模の拡大を図り労働生産性を向上させるために、成長戦略が重要性を増してくるでしょう。

M&Aによる事業の再編は、労働生産性を向上させることもできます。M&Aで他社の経営権や事業を取得して自社の成長力を高めたり、不採算の事業から撤退したりすることが、企業の成長に寄与する場合もあります。
さらに、新型コロナの移動制限がほぼ撤廃され、今後はグローバルでのビジネス展開も加速していくとみられ、海外企業とのM&Aも選択肢の一つになってくるかもしれません。

また、中小企業の多くは人手不足に課題を抱えています。いうまでもなく企業収益の源泉は、「人」であり、人手不足が続けば、企業の収益は低下し、事業の継続ができなくなってしまいます。そうした事態を避けるためには、あらゆる選択肢を視野に入れながら、課題の解消に努めなければなりません。ただ、人材の育成には費用や時間がかかります。

M&Aならば、質の高い技術者を抱える会社を自社のグループとして迎え入れることができ、人手不足の解消につながります。譲渡企業側も同様に、他の大手グループ傘下に入ることで、新たな経営体制のもとで、大手企業のリソースを使いながらさらなる発展を目指すことができます。成長戦略だけでなく、後継者問題の解決にもつながるのです。

少子化により、労働生産年齢人口も想定より前倒しで減少することが予想される中、企業も前倒しで対策を進めていくことが求められ、生産性の向上に向けた動きは待ったなしの状況が続きそうです。

著者

M&A マガジン編集部

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