[M&A事例]塗料業界を魅力ある業界に!高付加価値の提供で変革を続ける榊原の挑戦

株式会社近藤塗料×株式会社榊原(愛知県)

譲渡企業情報

  • 社名:
    株式会社近藤塗料(新潟県)
  • 事業内容:
    塗料及び塗装用器具・機械の卸小売・塗装工事業
  • 売上高:
    約5億円(2022年3月期)
    従業員数:
    11名

譲受け企業情報

  • 社名:
    株式会社榊原(愛知県)※1
  • 事業内容:
    塗料販売・塗装工事・消防設備保守点検
  • 売上高:
    約5.2億円(2022年12月期)
    従業員数:
    18名

※1 「榊」の字は、きへんに神
※2 企業情報はM&A案件進行当時

榊原(愛知県半田市)は戦前から続く塗料販売の企業です。メーカー規格の塗料を卸すだけだった事業を、顧客の困りごとに応えることで高付加価値のビジネスモデルに変革し、収益性の高い事業に変えてきました。3代目の榊原 卓哉社長は、同社の考えに賛同する企業をM&Aでグループインすることで業界を魅力あるものへと、変えていこうとしています。2023年3月に譲り受けた近藤塗料(新潟県新潟市)の近藤 丈修社長とともに、M&Aの経緯をお聞きしました。(取材日:2023年7月19日)

業績は毎年好調だが、新しい血を入れ近藤塗料をもっと良くしたい

――近藤塗料も榊原も塗料を扱う会社ですね。

譲渡企業 株式会社近藤塗料 近藤様: 近藤塗料は1973年に私の父が個人で始めてちょうど50年になります。創業以来、この新潟の地で塗料の卸売をしてきましたが、私の代からは塗装工事も請け負うようになり、施工自体は外注ですが年間5,000から6,000万円ほどの売上げがあります。
塗料については自社で調色工場をもち、ニーズに合わせた色の塗料を提供します。新潟で調色工場をもつ会社はあまりありませんので、そこが当社の強みの一つです。

譲受け企業 株式会社榊原 榊原様: 榊原は1947年に私の祖父が愛知県半田市で創業しました。当社も塗料の卸売で始まった会社で、「商品・サービスを通じ、『夢』と『感動』をお届けする」を社是に掲げ、お客様のお困りごとに誠実に対応することを信条として事業を発展させてきました。現在は、塗料の卸売のほか、塗装工事、消防設備の保守点検を事業の柱にしています。

塗料については、工業用から自動車補修、構造物や建築物などあらゆる分野に対応した塗料を扱うほか、当社も調色設備と技術をもち、お客様が求める色を必要な量だけすぐに提供できる体制を整えています。
塗装工事も自社で職人を抱えて内製化し、直接施工管理を行っています。お客様からの塗装の相談に応えるかたちで先代の父の代から手掛けるようになりました。
消防設備の保守点検は、一見、当社とのつながりが感じられないかもしれませんが、1981年に消防法が大きく変わり、建築の基準が大きく変わったんです。実は、当社は1951年からガソリンスタンドの経営もしていましたので、消防設備士の資格を取得して塗料販売の傍ら点検業務も行うようになりました。
現在は、ワンストップでお客様の建物に関するお困りごとを請け負う会社として、おかげさまで知多半島でシェアナンバーワンの支持をいただいております。

榊原の事業内容

――近藤社長はM&A検討時に50代でした。検討の経緯をお聞かせください。

近藤様: あと20年くらいは十分頑張れると思ってはいましたが、後継者がいなかったんです。私には息子が2人いますが、いずれも国家公務員になって後を継ぐ意思はありませんでした。

当社はありがたいことに新潟市内で知名度もありますし、業績も好調で毎年最高売上げを更新しています。創業以来一度も赤字になったことがなく、無借金経営です。それを支えてくれているのが従業員たちです。本当にいい従業員に恵まれて皆よく働いてくれています。私は30代で近藤塗料に入社しましたが、これまで誰一人辞めていません。最近では若い従業員も増えて、彼ら彼女たちにこれからも不安なく働いてほしいという思いがありました。

もう一つは、近藤塗料をもっと良くしたいとの気持ちからです。30年ほど経営をしてきましたが、自分のしてきたことが正しかったのかどうかと考えるようになりました。もしかしたら、私とは違うやり方でより会社を良くしていくことができるかもしれない。新しい血が入ることで近藤塗料が良くなるのであればと思い、日本M&Aセンターに相談してみることにしました。

1社目のM&Aの経験から、より良い会社にできると確信がもてた

――2020年9月に提携仲介契約を結び、相手企業探しが始まりました。榊原社長とのトップ面談は2023年2月ですね。

近藤様: 担当コンサルタントの今屋 翔太さんからは何社も企業を提案いただき、そのうちの数社とはトップ面談も行いました。ただ、お話をさせていただいても、何か違う気がして踏み切れずにいました。それまで長い時間をかけて相手を探していたのに、榊原社長とのトップ面談時には、お会いした瞬間から「この人とだったら一緒にやっていきたい」と思ったんです。出会いって不思議なものですね。「巡り合えた」と思いました。

榊原様: 私もお会いした瞬間に「この人だな」って思ったんです(笑)。トップ面談後、その日のうちに担当コンサルタントの秀徳 篤生さんに「また会いたい」と連絡を入れたほどです。

――トップ面談ではどんなお話をされましたか。

榊原様: 当社は近藤塗料が二度目のM&Aになります。一度目は2020年で、同じ愛知県内の塗料販売会社を譲り受けました。その会社は長らく赤字経営だったのですが、立地と会社がもつマーケットが魅力でした。その後、榊原のノウハウを投入してお客様のニーズに合わせた塗料の提供はもとより、当社のDNAである「お客様の困りごとに誠実に応える」を愚直に実践し続けることで黒字に立て直すことができました。

実は、近藤塗料のお話を最初にいただいたのは2020年です。ちょうどこれから一度目にM&Aをした会社を立て直すという時でしたので、そこでは断念したんです。そして、2023年に再度ご提案をいただきました。近藤塗料は資料を拝見しただけでも素晴らしい会社でしたが、当社が提供する範囲までサービス提供ができればもっと近藤塗料は良くなると思いました。その確信がありましたので、1社目での経験も踏まえて近藤社長にお伝えしました。

近藤様: 榊原社長の率直な言葉が素直に嬉しかったですね。当社のことを真剣に考えてくれて、M&A後の明るい未来が感じられたんです。「絶対に新潟で一番になりましょう。なれます!」と力強く言っていただいて、さらに会社を良くしていけると思えました。

「私の目指す会社のあり方は社是でもある『和』です。今回、和をもって会社を良くしてくれる人を求めていたところ、まさにそういう方に出会えました。M&Aで相手企業を探す際には、自分が大事にしているものを明確にして取り組まれるといいと思いますね」(近藤社長)

「私の目指す会社のあり方は社是でもある『和』です。今回、和をもって会社を良くしてくれる人を求めていたところ、まさにそういう方に出会えました。M&Aで相手企業を探す際には、自分が大事にしているものを明確にして取り組まれるといいと思いますね」(近藤社長)

会社の「文化」は変えないが、より良くなるために「やり方」を変えていく

――トップ面談から約1ヵ月後の2023年3月に最終契約を交わされました。近藤社長は従業員開示でどんなことをお伝えになりましたか。

近藤様: 全員を集めて報告したときは、従業員の動揺を感じました。当然のことだと思います。そこで、みんなで昼食をとりながら夕方まで思ったことを話してもらう時間を設けました。私からはM&Aに至った経緯を詳しく話すとともに、当面は社長として残るので、ゆっくり変えていきながら両社がお互いに良くなっていこうと伝えました。

――成約からまだ4ヵ月ですが、P M I(M&A後の統合プロセス)をどのように進めていらっしゃいますか。

榊原様: 当社は基本的な考え方として、単に売上高を上げて規模を拡大することはまったく考えていません。そこを目指すと薄利多売や、営業に高いノルマを課して件数を追いかけさせることになってしまいます。そうではなくて、当社は適正な利益率でお客様に納得して購入していただく。そのためには納得できるだけの付加価値を出さなければいけません。

私はまず、従業員の皆さんに「圧倒的なナンバーワンになって、近藤塗料という確固たるブランドを築こう」と伝えました。その実現には従業員の皆さんにも新しいチャレンジをしていただく必要があります。
現在は、月に一度の訪問時に全従業員と昼食をとり、そのあと全員でミーティングを行っています。ある回では、近藤塗料の強みや弱みは何か考えようとみんなでSWOT分析に取り組み、出た意見をまとめて私が翌月に1枚のマインドマップにまとめて伝えるといったことを行いました。
ミーティングでは、毎回、私の想いをお伝えするようにしています。中には厳しい内容もあります。そうした時には私が帰った後に近藤社長が「榊原社長が言いたいことはこういうことなんだよ」と理解を促してくれています。

――M&A後も近藤社長が従業員と榊原社長の間をつなぎながら、じっくりとPMIに取り組まれているんですね。

榊原様: そうです。M&A後も近藤社長に5年間は継続勤務いただくというのが当社側の条件でもありました。近藤社長あってこその近藤塗料ですから。また、私は常に近藤塗料にいられるわけではありませんので、私の思いをかみ砕いて伝える役割も担っていただいています。

近藤様: 榊原社長がやろうとしていることは、正しいことを正しくやっていくということです。それが会社の利益につながり、利益が上がれば給料として従業員に還元できます。そのことを従業員たちも少しずつ理解し始めています。

榊原様: 近藤塗料の従業員は皆さん真面目で、非常によく働いてくださる方ばかりです。これは先代から続く近藤塗料の素晴らしい文化であり、これからも大切にしていってほしいと思います。会社の文化は変えないけれど、より良くなるためにやり方を変えていく。そこは誤解してほしくないと思っています。

「塗料は半製品と言われていて、既製品をただ販売するだけではだめなんです。私たちは豊富な経験と知識から現場の状況に合わせた塗料を製造、施工する能力をもっています。非常に奥深い業界で、そこが楽しいしやりがいがあります」(榊原社長)

「塗料は半製品と言われていて、既製品をただ販売するだけではだめなんです。私たちは豊富な経験と知識から現場の状況に合わせた塗料を製造、施工する能力をもっています。非常に奥深い業界で、そこが楽しいしやりがいがあります」(榊原社長)

良いところを伸ばしながら、従業員が安心して働き続けられる会社に

――近藤社長は今後の近藤塗料にどんな期待をおもちですか。

近藤様: 私の夢は、「近藤塗料に勤めたおかげで家を建てられました」「子どもを大学に通わせることができました」と言ってもらえる会社になることです。とにかく従業員の幸せを一番に経営してきましたので、榊原社長には従業員のいいところを伸ばしていただきながら、安心して働き続けられる会社にしていってほしいですね。

近藤塗料では建築塗装の会社向けに新たにインスタグラムを始め有益な情報を毎日発信している

近藤塗料では建築塗装の会社向けに新たにインスタグラムを始め有益な情報を毎日発信している

――最後に、榊原社長から今後のビジョンをお聞かせください。

榊原様: この業界はM&Aが増えていて、毎月のようにニュースが耳に入ってきます。今後ますますM&Aが加速すれば、規模の経済を働かせて仕入れを見直していくといった流れも生まれてくるかもしれません。そうした当社と同じ考えをもち後継者不在の企業があれば、今後も積極的にM&Aを検討していきたいと思っています。
先ほども言いましたが、当社はただ規模を拡大すればいい、売上を伸ばせばいいという考えはもっていません。それよりも従業員の成長や適正価格で適正利益を得ることが大事なんです。業界全体がそうした考えになっていけば、今よりはるかに発展していくと思います。

こちらのM&A事例インタビューは動画でもご覧いただけます。

日本M&Aセンター担当者コメント

提携統括事業部 金融法人部 シニアチーフ 今屋 翔太
(株式会社近藤塗料担当)

提携統括事業部 金融法人部 シニアチーフ 今屋 翔太(株式会社近藤塗料担当)

近藤塗料は新潟県内において業歴の長い塗料卸・塗装工事会社です。「新しい血」が入ることで近藤塗料を良くしていきたい近藤社長のご意向に沿ったお相手様との資本提携であったと実感しております。初回トップ面談後に「お会いした瞬間から『この人とだったら一緒にやっていきたい』 と思った」と近藤社長がおっしゃっていたのが一番印象に残っています。

法人事業部 東日本事業法人一部 秀徳 篤生
(株式会社榊原担当)

法人事業部 東日本事業法人一部 秀徳 篤生(株式会社榊原担当)

榊原は1947年創業の塗料卸売・塗装工事・消防設備保守を行う会社です。榊原社長は塗装職人の社会的地位向上を目指し、地域の職人に向けてのSNS発信や新商品のセミナーを積極的に実施されるなど、業界内で先駆的な取り組みを行っています。同じく業歴の長い近藤塗料とのトップ面談時には、自社の蓄積されたご経験から具体的なシナジーをお伝えになっていたのを鮮明に覚えております。ご両社様のさらなるご発展を心より願っております。

※役職は取材時

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