[M&A事例]Vol.105 人気商品をもつ食品会社2社が手を組み それぞれの強みを活かした新商品開発に挑む
佐賀県小城市にある竹下製菓株式会社は、有名アイスクリーム「ブラックモンブラン」の製造などを手掛ける会社です。同社は、2020年10月にアイス製造会社のスカイフーズ株式会社(埼玉県幸手市)を、2022年1月に主力商品「生クリームパン」をはじめとするパン製造の株式会社清水屋食品(岡山市)を譲り受けました。竹下製菓の3代目、竹下真由社長に、積極的に資本提携を進める理由をお聞きしました。
譲渡企業情報
※M&A実行当時の情報
株式会社ドリームサークルは神奈川県小田原市で海鮮居酒屋「SAKANA CUISINE RYO」を営んでいました。小田原駅前という好立地に加え、「プロの味をカジュアルに」をコンセプトに観光客や地元の方に愛される人気店でした。味も折り紙付きで、食べログやトリップアドバイザーでも高評価を得る名店です。そんな経営も順調だった2018年に、石井社長はM&Aを決意されます。それはなぜか。譲渡から約3年が経った今、あらためて経緯や心境をお聞きしました。
このまま自分が先頭に立ってリーダーシップを
発揮していくことがベストなのか
石井社長はもともと寿司職人として「まるずし」という小さな店を12年経営していました。その後、2000年に海鮮居酒屋「SAKANA CUISINE RYO」をオープン。足掛け30年にわたって料理人、経営者として店に立ち続けてきました。
石井様: 「プロの味をカジュアルに」をコンセプトにした海鮮料理店です。1店舗でしたが1階から4階まで250席ありました。小田原駅の目の前ということもあって観光客や地元企業の方を中心に、M&Aをした2018年には年間約11万人ものお客様にご利用いただきました。開店以来、ずっと社長業をやりつつ店にも立っていました。調理場に立ってお客さんの喜んでいる顔を見るのが飲食業の原点だと思っていましたから。
石井様: M&Aを決断したのは2015年です。その年に65歳になり、将来のこと、店のことを考えたときに、このまま自分が先頭に立ってリーダーシップを発揮していくことがベストなのかと考えるようになったんです。また、店が繁盛してどんどん従業員が増えていくなかで「働き方改革」が叫ばれるようになり、飲食店として厳しい課題に直面した、ということもあります。
私には息子が2人いて、どちらも社内で働いていましたが、「息子には自分の力で独立してほしい」という思いと、従業員の安定、箱根の玄関口である小田原の活性化を考え、M&Aで他社と組むことを決断しました。
M&Aをすると決めてからは
家族や従業員とともにワンチームで進めた
石井様: 周囲の説得ですね。M&Aについて詳しく知っている人はほとんどいませんでしたし、私自身、M&Aにいいイメージをもっていませんでした。経営も順調でしたから、「なんでこんなにお客さんが入っているのに譲渡するの?」と言われたりもしました。でも、将来を見据えたときに、従業員のためにも小さな船で航海するのは危険が伴うと思っていました。だからこそ、M&Aをすると決めてからは家族や従業員に私の意図を伝え続けながらワンチームで進めてきました。
石井様: まずは従業員の将来を保証してくれること、そして家族の理解が得られる相手であるということです。さらに、お客さんがもっとも大切な存在であることはもちろんですが、地域の人たちが迎え入れてくれる相手かどうかを重視しました。
というのも、「僕の店」ではなくて「小田原の店」だったんですね。たくさんの人がうちの店で結婚式の二次会をしてくれました。そこに住む人の節目を共に過ごしてきた店なんです。
成約までの1年間は人生の中でもっとも
密度の濃い体験、良い社会勉強ができた期間でした
石井様: 小田原で影響力の大きな会社でしたし、その会社さんがうちの店を営業してもらえることによって、さまざまな地域の発展につながります。そして何より従業員に優しい社風に魅力を感じていました。取引業者さんも地元ファーストで取引してくださいますし、みんなが成長できる。そんなM&Aが実現できるお相手だと思いました。
石井様: 成約までの1年間、日本M&Aセンターのコンサルタントの方には私の身に沿って活動していただきました。私の苦悩を共有していただき、ときには叱咤激励をされながら進んできました。私にとってこの1年は人生の中でもっとも密度の濃い体験、良い社会勉強ができた期間でした。
企業に大切なのは存続と発展。 発展は新しい血、新しい思想が入らないとできない
2018年7月31日に日本M&Aセンター東京本社にて成約式が行われました。奥様、2人のご子息も同席され、それぞれに石井社長に感謝やねぎらいの言葉が伝えられ、感動の涙に包まれました。譲受企業の社員さんのなかには「SAKANA CUISINE RYO」のファンもいらっしゃるそうで、石井社長が大切に育て上げてきた店を受け継ぐ重みを感じていらっしゃるようでした。
石井様: ええ。目を見張るほどの店に成長させてくれていますし、私の要望、思いをすべて満たしてくれています。企業に大切なのは存続と発展です。発展というのは新しい血、新しい思想が入らないとできないと思うんです。そういう意味でも、M&Aによって新たな仕入れ先も含めて、地域の協力も得ながら新しい会社、店になっていっています。
そして何より、従業員の安心感が一番大きいですね。特に今回、新型コロナの影響は飲食業に大きな打撃を与えましたが、厳しい状況のなかでも従業員の保証をすべてしてくれたそうです。今も誰一人やめることなく楽しそうに元気に働いてくれています。一つの重荷をおろして、本当にほっとしているというのが今の正直な気持ちです。
佐賀県小城市にある竹下製菓株式会社は、有名アイスクリーム「ブラックモンブラン」の製造などを手掛ける会社です。同社は、2020年10月にアイス製造会社のスカイフーズ株式会社(埼玉県幸手市)を、2022年1月に主力商品「生クリームパン」をはじめとするパン製造の株式会社清水屋食品(岡山市)を譲り受けました。竹下製菓の3代目、竹下真由社長に、積極的に資本提携を進める理由をお聞きしました。
「プラチノ」は30年以上地域に愛されてきた老舗洋菓子店。60歳を目前に後継者不在に直面した田勢克也社長は、事業承継とさらなる成長のために譲渡を決意しました。50代から検討したことで時間をかけて納得のお相手と出会う事ができたとM&Aを振り返ります。
社長を入れて従業員は6人という小さな会社ながらも、顧客視点に立ち、よりよい住宅を適正価格で提供することに徹し、地域に信頼を築いてきたM・G建装。創業者である松本昭文社長が、コープさっぽろとのM&Aを決意した、その思いといま————。
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譲受・買収のご相談
戦略統括事業部 ダイレクトマーケティング部 上席課長 縄田 桂介
(株式会社ドリームサークル様担当)
最初から最後までブレずにこのご縁を成就できたのも、石井様の「地元小田原の地域経済に貢献する」という強い信念があったからだと思います。M&A後すぐにスムーズなスタートが切られたのも、社員や家族にもこれが会社と小田原の未来のための選択であるということを早い段階から誠実に丁寧に伝えていたからでしょう。両社の一層の飛躍、発展を祈念しております。