コラム

北海道企業の「成長戦略型M&A」と「事業再生型M&A」について|北海道M&A

伊藤 海

著者

伊藤海

日本M&Aセンター 北海道営業所

業界別M&A
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こんにちは。日本М&Aセンター北海道営業所の伊藤海です。
日本М&Aセンターの北海道営業所メンバーが北海道M&A事情の最新情報を執筆しております。
今回は、北海道企業における「成長戦略型M&A」と「事業再生型M&A」についてご案内させていただきます。

若い経営者による成長戦略型M&Aのトレンド|北海道

ここでは、若い経営者による成長戦略型M&Aについて記載させていただきます。
なお、あくまで「戦略的な譲渡」によるM&Aについて考察させていただきます。

昨今、全国的に若いオーナー経営者による会社譲渡の件数が増えています
5年以上前までは、ご相談いただく内容のほとんどが後継者不在による事業承継のお悩みでした。

もちろん、年齢や体力的な限界から引退を見据える一方で、後継者不在による事業承継課題を抱えている企業はまだまだ多く、特に北海道においては70%以上の会社が後継者不在という状況です。

そのため、事業承継によるご相談が全体の半数以上を占めている状況ではありますが、一方で着実に増えているのが「若いオーナー経営者による戦略的な譲渡」です。

M&Aというものが世間に浸透してきたことにより、「企業買収」や「乗っ取り」のようなネガティブなイメージが軽減され、成長戦略を検討する上で、M&Aが戦略の1つとして当然のように選択肢に入っているという企業が増えました。

それは北海道M&Aにおいても例外ではありません。
私がお手伝いさせていただいた直近3年の成約事例を振り返っても、その約3分の1が40~50代のオーナー経営者による成長戦略的な譲渡事例でした。

それらの事例におけるほぼ全ての案件が、M&A後も経営者がそのまま在任しており、この点が成長戦略型譲渡によるM&Aの最大の特徴と言えます。

もちろんそれが双方にとってベストな選択であるため用いられているスキームですが、それにはどのような背景があるのでしょうか。
まずは、そもそもM&Aを行う目的でもある「事業上の相乗効果」について整理したいと思います。

事業上の相乗効果(シナジー効果)|北海道M&A

  • 販路を広げたい
  • 新規エリアに進出したい
  • 新たな人材を獲得したい
  • 新たな技術・ノウハウを獲得したい
  • グループ力を強化し、対外的なブランド力や信用力を高めたい等

上記のように、M&Aを行う背景は企業によって多種多様です。
実際、M&A後に上記のようなメリットを教授し、会社を大きく発展させている企業を沢山見てきました。

譲渡企業としても、自社単独では叶えることができなかった戦略が、M&A後に具体化することも多いため、譲渡企業側の経営者が、他社のノウハウを活用しながら成長させる有効な手段となります。

若い経営者が、自身が引き続き会社の先頭を走りながら、今までにはなかった会社の成長を感じられることもあり、戦略的な譲渡事例が増えていると感じます。

ただ、これまでお手伝いさせていただいた案件を振り返ると、上記のようなメリットだけではないように感じます。

印象的な譲渡企業の経営者のコメント「優秀な経営人材の獲得」

以前、北海道M&A後に私が譲受企業に行った経営者インタビューで印象に残っている回答がありました。

「今回のM&Aで最も大きな収穫は何ですか?」という問い掛けに対して、「ここまで会社を経営し発展させてきた経営人材が、当グループに加わってくれたことが最大の収穫」と回答されました。

販路やノウハウにおける相乗効果や、新たな人材確保はM&Aでは当然大切ですが、「優秀な経営人材」の獲得は、譲受企業からすると非常に大きなメリットであるということです。

大事なことは「どこに売るか・どこを買うか」ではありません

「どこに売るか・どこを買うか」ではなく「どこと組むか」というイメージが、現在のM&Aマーケットでは最も大切な発想です。

経営者同士がビジョンを理解し合い、同じベクトルで目標を共有することで、さらに大きな相乗効果が期待できるため、今後も若いオーナー経営者による成長戦略的な譲渡事例は増えていくものと感じております。

先行き不安を抱える企業の再生型M&A

1つ目の項目で記載したような、今後の更なる成長戦略を見据えたM&Aが増えている一方で、すでに業績が悪化し、自社単独では成長どころか会社経営を継続することすら危ぶまれる企業が増えています

ここでは、そのような経営難の企業を救済する再生型M&Aについて記載させていただきます。

北海道内で経営難の企業を救済する、再生型M&A

業績が悪化する背景は会社により様々です。

  • 単純に事業活動が苦戦しており赤字が続いている
  • 国の政策や為替・物価の影響
  • コロナによるダメージが残っている
  • 突発的な売掛金不回収により資金繰りが悪化した等

上記以外の要因も多くありますが、いずれにしても何らかの理由で経営難に陥っている会社は北海道でも増えており、このような企業が全て倒産してしまうと、たくさんの雇用が失われ、北海道経済全体における損失となってしまいます。

そのため、このような企業を、資金力や事業基盤が安定している優良企業が譲り受けることにより、今後も事業を存続させていくことは、雇用の保全にもつながるため、社会的意義が非常に大きいと言えます。

しかし、M&A仲介を行う弊社の立場としては、経営難による譲渡の依頼を全て受けることは難しいのが現状です。

再生型M&Aが成立するための必須条件として、譲受企業にとってメリットがあることが大前提となるからです。

そもそもM&Aは、双方にメリットがあって初めて成約に至るものであり、決してボランティア精神のみで取り組むことはできません。

では、どのような場合に再生型M&Aは成立しているのでしょうか。

業績悪化要因の分析が必要

ここで必要なのは、譲渡対象企業の業績が悪化している要因分析です。

譲受企業のグループに入り、何かメスを入れることで今後の業績が改善すると見込める場合に初めてM&Aを進めることができます。
過去にお手伝いさせていただいた再生型M&A事例について、いくつか概略をご紹介します。

①同業種M&A|北海道M&A

コロナの影響により業績が悪化したホテル運営会社が、M&A後に同業である譲受企業のマーケティング力や企画力により利益率が向上した

②営業強化・周辺事業会社とM&A|北海道M&A

プラント工事をメインに行う建設会社が、土木・建築・設備・解体など、幅広い工事ノウハウを持つ譲受企業の営業力を頼り、売上が伸びた

③販路拡大・領域拡大を狙うM&A|北海道M&A

食肉加工の工場を営む卸売会社が、なかなか販売単価を上げることができず、利益を上げることができなかったが、飲食店をチェーン展開している譲受企業のグループに加わることで、販売先の幅が大きく広がり、増収増益につながった

上記に記載しきれなかった事例もまだまだありますが、結論として、いずれも勝算があってM&Aを行っているということです。

また、再生型と呼ばれるM&Aにおいては、株式譲渡ではなく、事業譲渡や会社分割など、様々なスキームが用いられます。

債務が重すぎる場合は、金融機関と協議のうえ債権カットしていただいた事例もあります。その場合は弁護士にも間に入ってもらう必要があり、非常に綿密に計画を立てる必要があります。

つまり、再生型M&Aは社会的意義がある一方で、全ての会社が成約できるわけではなく、難易度も当然高いものになります。

とはいえ、弊社としては多くの道内企業の存続と発展を目指して日々動いているため、まずは是非ご相談いただければと思います。

日本M&Aセンターでは、事業売却をはじめ、様々な手法のM&A・経営戦略を経験・実績豊富なチームがご支援します。詳しくはコンサルタントまでお問合せください。

著者

伊藤 海

伊藤いとう かい

日本M&Aセンター 北海道営業所

大手証券会社から2019年1月に日本M&Aセンターに入社。入社以来、会計事務所様と連携する部署にて、建設、製造、食品、警備、ホテル、人材派遣、医療等幅広い業種のM&Aを支援。

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