M&Aは現在、事業承継はもとより企業の成長のための有力な手段として、様々な業界で活用されています。ここでは、M&Aをめぐる最先端の動きや考え方を、当社が日々携わっているM&Aの現場の実例や実際にM&A・事業承継を経験された方の事例などを交えつつ、最新の業界動向を分析・解説します。
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現在のM&A業界について
中小企業庁のデータによると、2025年には中小企業・小規模事業者の経営者の64%に当たる約245万人が平均引退年齢の70歳を超えるといわれています。その245万人の約半数にあたる127万人、つまり、日本企業全体の3分の1にあたる経営者は後継者が決まっていない状態にあります。中小企業における経営者の高齢化は、まさに猶予のない状況といえます。
また、この後継者未定の127万社のうち約半数の60万社が黒字廃業の可能性があり、後継者不在を起因とした中小企業の廃業が増加し続ければ、10年間で累計約650万人の雇用と、約22兆円のGDPが失われる危険性があるというデータ*も出ています。この事業承継問題を解決するためには、第三者承継、つまりM&Aが鍵になっているといえます。
参照:「中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題」 *2025年までに経営者が70歳を越える法人の31%、個人事業者の65%が廃業すると仮定。雇用者は2009年から2014年までの間に廃業した中小企業で雇用されていた従業員数の平均値(5.13人)、付加価値は2011年度における法人・個人事業主1者あたりの付加価値をそれぞれ使用(法人:6,065万円、個人:526万円)
日本企業が関わったM&A案件は、年々増加傾向にあります。2012年から2019年までは、8年連続でM&A件数が増加傾向にありました。コロナ禍の影響を受け、2020年は一時的に減少しましたが、その後、2021年の4280件、2022年に4304件と、2年連続で、過去最多を更新しています。これらは公表されている件数ですから、開示義務のない未上場企業のM&Aを含めれば、さらに活発化していると推察されます。
これは、従来からあった事業承継M&Aだけでなく、会社を成長させる手法としてM&Aを活用する経営者が増えてきたことにもよります。会社を買うということ、会社を売るということ。いずれの業界でもM&Aは活発になってきており、今後も増加していくことが見込まれています。
2025年上半期のM&A 振り返りと予測
2025年上半期のM&A市場は、過去最大の約31兆円に達し、前年同期比で3.6倍という急成長を見せました。この背景には、各業界での再編や国内市場の閉塞感を感じた企業の海外進出が挙げられます。特に大型案件が多く、豊田自動織機の約4兆円の再編もその一例です。
上場廃止の動きも急増しており、上場企業がM&Aや経営統合を通じて上場を取りやめるケースが目立っています。特に2025年8月時点で75社が上場廃止を発表し、初めて3桁を超える見込みです。上場廃止の理由には、企業の破綻、経営統合、M&A、経営陣によるMBO、ファンドのMBOなどがあり、M&Aによる上場廃止が最も多く38社を占めています。
カーブアウト型M&Aも増加傾向にあり、企業が事業の見直しを行う中で、不要な子会社や部門を売却するケースが数多く見られます。さらに、ロールアップ型M&Aを目指す企業も増えており、GENDAや技術承継機構などがその代表です。
2025年下半期の展望としては、M&Aの流れは変わらず続くと予測されています。市場の不安定要素や企業業績の厳しさを考慮し、カーブアウトのニーズも高まるでしょう。従って、企業は非公開化やMBO、カーブアウトなどの戦略を検討する必要があります。
M&Aにおける業界と業種の定義
「業種」とは
「業種」とは、企業が携わっている事業や営業の種類のことを指します。「業種」の分類にはさまざまな種類がありますが、なかでも総務省統計局が定めた「日本標準産業分類」*1の「産業」に準拠したものが一般的です。日本標準産業分類は、国際的な標準産業分類に準拠した日本国内における統計の標準的な分類体系で、大分類・中分類・小分類・細分類から構成されています。
標準的な業種として広く利用されているものとしては、日本標準産業分類に準拠し、証券コード協議会が分類した「33業種分類」*2があります。この業種分類に基づいて、東京証券取引所が業種別の株価指数等を公表しているため、この33業種を「東証33業種」と呼ぶこともあります。ほかにも、会社四季報で用いられている「東洋経済業種分類」や、東京商工リサーチ(TSR)の「TSR業種コード」などがあります。
- 33業種分類(東証株価指数33業種)
- 水産・農林業、鉱業、建設業、食料品、繊維製品、パルプ・紙、化学、医薬品、石油・石炭製品、ゴム製品、ガラス・土石製品、鉄鋼、非鉄金属、金属製品、機械、電気機器、輸送用機器、精密機器、その他製品、電気・ガス業、陸運業、海運業、空運業、倉庫・運輸関連業、情報・通信業、卸売業、小売業、銀行業、証券、商品先物取引業、保険業、その他金融業、不動産業、サービス業
*1 分類に関する統計基準等|総務省より「日本標準産業分類」
*2 業種別分類項目及び業種コード | 日本取引所グループ
日本標準産業分類とは
「日本標準産業分類(JSIC)」とは、日本における産業分類のうち、統計調査の結果を産業別に表示する場合の統計基準である「全経済活動に関する国際標準産業分類(ISIC)」*3の日本版を指します。日本標準産業分類は、日本の公的統計における産業分類を定めた総務省告示として、1949年(昭和24年)に制定されて以降、改定が重ねられ、広く利用されています。現在の日本標準産業分類は、2013年10月改定版*4が最新となります。
*3 全経済活動に関する国際標準産業分類 第4次改定版
*4 日本標準産業分類(2013年(平成25年)10月改定/2014年(平成26年)4月1日施行)総務省|統計基準・統計分類|
証券コード協議会とは
証券コード協議会とは、日本の公開企業等に付番される証券コード及び業種を、公共性の観点から統一的な基準に基づいて設定することを目的に、全国の証券取引所(東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、福岡証券取引所、札幌証券取引所)及び証券保管振替機構から組織・運営されている協議会です。
日本標準産業分類を基準に、各企業の事業内容等からその企業がどの分類に該当するかを証券コード協議会が判定し、業種別分類項目を定めています。この分類では、10の大分類の下に33の中分類が定められており、一般的に「業種」というと、この33の中分類のことを指しています。
「業界」とは
「業界」は、同じ産業に従事する人や組織の集合体を指しています。「業種」と違うのは、事業や営業活動そのものより、そこで働く人や企業に焦点を当てた表現である点でしょう。「業種」と違って「業界」に明確な定義はなく、「業種」とほぼ同じ意味で扱われる場合もあります。
モノを作る「製造業界」、モノを売る「卸・小売業界」、モノを運ぶ「物流業界」。同じ業界内の企業であれば類似商品・サービスを取り扱っているため、おおむね仕事内容なども似ています。ただ、ひと括りに「○○業界」と称していても、業界が異なるからといってそれぞれに関りがないわけではありません。たとえば、ひとつの製品が作られ消費者へ届くまでの流れを考えてみても、製品を作るメーカー(=製造業)、メーカーから製品を仕入れて小売業者に販売する卸売業、メーカーや卸業者から仕入れて消費者に販売する小売業、製品を消費者に届ける物流業など複数の業界が密接に関わっています。また、土地を買い上げ、ビルやマンションを建て、その売買・管理を一貫して扱うような業務内容の広い企業であれば、ひとつの企業が建設業界・不動産業界など複数の業界にまたがっていることもあります。
当サイトでは、取り扱う商品やサービス、業務内容をもとに、M&Aにおける専門性や親和性などを加味して、「IT業界」「不動産業界」「建設業界」「製造業界」など10個の大きなカテゴリーに分類しております。さらに、「建設業界」では「ゼネコン・建築工事」「戸建て住宅建設」や「リフォーム工事」、「製造業界」では「木材・木製品・家具製造業」「繊維製造・アパレルメーカー」などのように、さらに細分化したカテゴリーに分けて、各業界のM&A・事業承継についての最新情報、近年の市場環境や事例などをご紹介しております。
当社の業界別M&A支援について
あらゆる業界に精通したM&Aのプロが、最適な選択肢を提供
30年以上M&Aに携わってきた日本M&Aセンターは、M&A業界の中でも老舗の仲介会社です。金融機関や会計事務所と独自のネットワークを持ち、中小中堅企業から上場企業まで多数の成約実績があり、あらゆる業種・業界で事業承継やM&AやPMI(成約後のサポート)の支援を行ってまいりました。2020年にはM&A世界No.1*としてギネス世界記録™に認められ、その後、5年連続でギネス世界記録™に認定されています。
業界によっては独自の規制や商習慣が存在するため、会社の売り買いや事業提携等を検討するうえでは、それぞれの業種・業界の特性を正しく理解していることが非常に大切です。当社には、各業界に精通したコンサルタントが所属しているため、専門性の高いサービスを提供させていただくことが可能です。例えば、上場しているM&A仲介会社で初めて、IT業界に特化したチームを立ち上げ、これまでに350社を超えるIT企業のM&Aを支援してまいりました。ほかにも、建設業界・製造業界・医療介護業界など、各業界のエキスパートが専門チーム体制でサポートを行っております。
* ギネス世界記録™:2024年 M&Aフィナンシャルアドバイザリー業務の最多取扱い企業 2020~2023年に続き、5年連続でギネス世界記録™に認定
上場企業向け企業戦略サービス
日本M&Aセンターでは、上場企業の成長を実現するM&Aのサポートメニューをご用意しております。戦略実現のための仕掛型の買収(プロアクティブサーチ™)や企業組織再編など、高度なスキーム提案を上場企業専門チームが行います。経営課題の解決を図り、企業価値を効果的に向上させるために、ぜひ当社のサポートをご活用ください。
戦略的M&Aサービスノンコア事業・子会社の売却のご支援
「カーブアウト」
カーブアウトとは、ノンコア事業・子会社の切り離しのことを指します。事業が多角化している企業においてコア事業を明確にし、限られた経営資源を集中的に投下するために、ノンコア事業に位置づけられた事業や子会社を売却する手法です。
当社では、カーブアウトに向け、方針整備からM&Aの成立に至るまで、適切なプロセス管理と各種専門的なサービスの提供を行います。また、独自のネットワークを駆使し、相応しい候補企業を選定の上、弊社で直接アプローチし、ニーズ確認や条件交渉サポートを行います。その他にも、買収監査の受入準備や必要書類の草案作成など、各種必要手続きに関する助言・支援を行います。
仕掛型の買収のご支援
「プロアクティブサーチ™」
プロアクティブサーチ™とは、貴社の成長戦略に沿ったM&A要件を整備し、得たい効果想定シナジーに合致する企業に積極的にM&Aを提案していく、当社の買収支援サービスのひとつです。
一般的なM&A仲介は、「すでに譲渡のご意思がある企業様」の中から、企業の成長戦略との整合性やシナジー効果が期待できる候補先を検討します。プロアクティブサーチ™では、企業の成長戦略を前提に「まだ譲渡のお話がない企業様」を含めて、買収ニーズ・期待するシナジーに合致する候補先を絞り込み、アプローチしていく戦略型M&Aです。
*プロアクティブサーチ™は株式会社日本M&Aセンターホールディングスの登録商標です。
プロアクティブサーチ(仕掛型の買収)のご支援クロスボーダーM&A
当社では、国内のM&A仲介だけでなく、クロスボーダーM&A(海外企業とのM&A)の支援実績がございます。2013年にクロスボーダーM&A支援に特化した海外支援室を設立してから、海外拠点としてシンガポール現地法人、インドネシア現地法人、ベトナム現地法人、マレーシア現地法人、タイ現地法人などを開設しております。海外M&Aに特化した専任チームが、海外企業買収支援(IN-OUT)、海外拠点撤退・売却支援 (OUT-IN/OUT) などの支援業務に対応いたします。
海外・クロスボーダーM&A(海外進出・拡大/再編・撤退)各業界のM&A・事業承継について
近年は、企業規模にかかわらずあらゆる業界でM&Aが積極的に利用されています。当サイトでは、取り扱う商品やサービスなどを加味して、10個の大きな業界カテゴリーに分類。さらに細分化したカテゴリーに分けて、各業界のM&A・事業承継についての最新情報、近年の市場環境や事例などをご紹介します。
株式会社日本M&Aセンター
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