同じ価値観を持つ会社を求めてやっと出会えた異業種の海外パートナー

Qool Enviro Pte Ltd(シンガポール)

譲渡企業情報

  • 社名:
    Qool Enviro Pte. Ltd.(シンガポール)
  • 事業内容:
    仮設トイレレンタル事業
  • 売上高:
    約9.7億円(2023年12月期)
    従業員数:
    60名(2025年1月末時点)

※M&A実行当時の情報

Qool Enviro Pte. Ltd.( 以下、Qool社)は、シンガポールに拠点を置く会社で、約20年にわたり仮設トイレのレンタルサービスを提供しています。需要の増加もあり、現在は3,000台以上の仮設トイレ以外にハンドウォッシュやシャワー用具などの衛生設備も取扱い、幅広い顧客に対応しています。同社は2025年4月に建設現場の足場レンタル事業を展開するASNOVAに譲渡しました。設立以来ビジネスを運営しているMr.Wyman(写真左から2番目)とMs.Cindy(写真一番左)にM&Aの経緯についてお話を伺いました。(取材日:2025年6月)
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会社発展の原動力である従業員の継続雇用が一番の条件

――Qool社の事業内容や特徴、過去の挑戦について教えてください。

譲渡企業 Qool社 Ms. Cindy: Qool Enviroは2006年に設立した会社で、今ではシンガポールを代表する仮設トイレレンタル業者の一つに成長しました。仮設トイレは、建設現場や工場、医療施設、イベントなどで広く使用されています。さらに、清掃および廃棄物管理サービスも提供しており、現在は3,000台以上の仮設トイレと約600社の顧客を抱えています。

印象に残る出来事として、コロナ禍は当社にとって良い挑戦となり、飛躍の機会となりました。
シンガポール政府の規制によってコロナ禍の隔離を最も安全で厳格な方法で行うことが必要となったことから、需要増加への対応に追われました。私たちは空港から建設現場の宿舎(外国人労働者の集合宿舎)まで、増加する仮設トイレの需要を満たすことを考えました。シンガポール政府が(コロナ対策として)厳格な措置を取るだろうと確信していましたので、屋外の隔離エリアや安全ゾーンが多く設けられると予測していました。措置が取られる前から在庫の確保に取り組んでいましたが、これは独自の緻密な計算に基づいた経営判断であり、それが功を奏しました。
また、当社は競争よりも協業を重視し、コロナ禍では競合他社とも何度か協力して取り組みました。

――M&Aを検討した理由は何ですか?どのような譲受け企業を期待しましたか?

Mr. Wyman: 全ての株主が50代となったことで、(リタイヤに向けて)少しペースを落として人生に変化を加える時期だと感じました。そこでM&Aのアイデアが浮かび、譲受け提案のオファーを聞き始めました。私たちは初めから100%の株式譲渡と、譲渡後の従業員の雇用維持を求めていました。会社の好業績は従業員の貢献によるもので、従業員は会社の成長に欠かせません。そのため、譲渡する際には従業員が適切に処遇されるべきだと思いました。ですから、譲受け企業にはこの二つの条件に同意してもらう必要がありました。また、私たちの企業文化に共感できる人である必要がありました

――検討を重ねた結果、ASNOVAを譲渡先に選んだ決め手を教えてください。

Mr. Wyman: ASNOVAとの間には多くの類似点があり、当社の企業文化に共感してくれました。私たちが求めるパートナー像を理解してくれました。また、当社は次世代の育成を大切にしてきた会社ですが、ASNOVAも社員育成の施策を熱心に取り組んでいました。これは株主にとって安心材料となりました。

――トップ面談での印象はいかがでしたか?

Mr. Wyman: 大変嬉しい驚きでしたが、非常に謙虚で私たちに敬意をもって接してくれました。過去に面談した(日本M&Aセンターに依頼する前に面談した)譲受け候補企業とのやり取りは非常にビジネスライクなもので、業績や財務内容、事業計画、株式評価、といった機械的な話ばかりだったからです。しかし、ASNOVAは違いました。上田社長を含めASNOVAの方たちは非常に誠実で、当社のビジネスの運営方法やチーム管理について学ぼうとし、私たちのマネジメントスタイルに非常に強く関心を寄せてくれました

Qool社の仮設トイレは、建設現場や工場、医療施設、様々なイベントで広く使用されている

Qool社の仮設トイレは、建設現場や工場、医療施設、様々なイベントで広く使用されている

大きな会社の傘下に入り新たなビジネスの広がりに期待

――M&Aに対して従業員の反応はいかがでしたか?

Mr. Wyman: より大きな会社の傘下で働くことに、若手社員はわくわくしています。ASNOVAグループになることで、シンガポール以外にも新たなビジネスの機会が広がる可能性もあります。また、従業員が仕事で日本を訪れる機会もあるかもしれません。従業員には「ステージが整った。君たちの番だ(将来は君たちにかかっている)」と伝えました。

――M&A後に期待する変化は何ですか?

Ms. Cindy: 特に(上場企業のグループになることで財務や業務に関する)報告形式や提出期限などの変化が予想されます。新しい文化や働き方に慣れる必要もあるでしょうが、すぐに順応できると確信しています。

――M&Aを検討しているシンガポールの中小企業オーナーにメッセージをいただけますか?

Ms. Cindy & Mr. Wyman: プロフェッショナルなM&Aコンサルタントに相談することは非常に重要です。日本M&Aセンターは大規模なネットワークと豊富な経験を持ち、最適なパートナーと結び付けてくれることでしょう。
初めから最後までの全てのプロセスに丁寧に併走してくれて、複雑な契約書についても理解が及ぶように適切なアドバイスをしてくれました。私たちは日本M&Aセンターと出会えたことを幸運に思います。

シンガポール現地法人 コンサルタント ショーン・ファン

シンガポール現地法人 コンサルタント ショーン・ファン

両社は異なる製品を提供しているものの、ビジネスは補完的です。また、若い従業員が多く、次世代のリーダーに投資する強い信念を持っているなど企業文化の共通点も多くあり、シームレスなM&Aとなりました。Qool社が納得できる譲渡先をご紹介し、成約までご支援することが出来て本当に良かったと思います。

※役職は取材時

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