[M&A事例]13社のM&Aを通じ
10年で年商を15倍に増やした
3代目社長の成長戦略

光洋商事ホールディングス株式会社

譲受け企業情報

  • 社名:
    光洋商事ホールディングス株式会社(大阪府)
  • 事業内容:
    建築企画・設計、デザイン設計、建設(工事)、ビルメンテナンス、プロスポーツチーム運営、ウェブ・プラットフォーム制作ほか
  • 売上高:
    約46億円(連結)
    従業員数:
    約1,000名(連結)※内訳:正社員 約80名、契約・パート社員 約920名

今年で創業から53年目を迎える光洋商事ホールディングス株式会社。三代目社長の川上聡一朗氏はM&Aを通してビルメンテナンス業だった自社の業態を大きく広げ、業績もこの10年で15倍以上に伸ばしました。7月からはそれぞれの事業の関係性を強化すべく、光洋商事ホールディングス株式会社としてさらなる発展を目指します。

13社とのM&Aによって設計からメンテナンスまでを一気通貫でカバーできるグループへと成長してきた

13社とのM&Aによって設計からメンテナンスまでを一気通貫でカバーできるグループへと成長してきた

「会社を譲りたい」――。
躍進のきっかけは1本の電話だった

——川上社長はこれまでM&Aを成長の核にしてこられたそうですね。

譲受け企業 光洋商事ホールディングス株式会社 川上様: はい。光洋商事株式会社はもともとビルメンテナンスの会社でした。それが現在では13社とのM&Aによって建物関連のさまざまな事業を運営するようになっています。今年の7月には、光洋商事ホールディングスとして新たなスタートを切りました。建築設計からメンテナンスまでを一気通貫でカバーできるというのは、中小企業としては大きな強みだと思っています。

——最初のM&Aは、本当に偶然だったとうかがっています。

川上様: 私が父の会社に入社して5年目のことです。会社にかかってきた電話に、たまたま私が出たんです。「会社を譲りたい」というお話でした。聞くと、同じビルメンテナンスの会社で売上げ規模が2億円くらいだという。しかし、問題があって、その売上げと同じくらい借入金があるそうなのです。
私は、会社の規模感もいいし、顧客先にも魅力がある。面白そうだなとワクワクしたんです。そこで、当社で新会社を設立して従業員と事業だけを譲り受け、借入金は自己破産という形で処理をしていただきました。

——借金を背負わずに済んだわけですね。

川上様: このM&Aによって、光洋商事で働く従業員の仕事量を増やすことなく売上げが一気に6億円になりました。しかも実際に動いたのは私一人です。会社に負荷をかけずに事業の規模が増やせたことになります。

——成長戦略としてM&Aは魅力があると?

川上様: そう思いました。

東京支店(港区東新橋)のデザインはグループ企業のベーネが担当。同ビルでは光洋商事のほか長谷川建築企画、ジャトルがともに働いている

東京支店(港区東新橋)のデザインはグループ企業のベーネが担当。同ビルでは光洋商事のほか長谷川建築企画、ジャトルがともに働いている

TOP面談は、自分の分身ともいえる会社を
譲るに足る相手かどうかを見極めてもらう場

——9年間で13社とM&Aをしてこられました。譲受け企業を決める基準は何なのでしょうか?

川上様: 自分がワクワクするかどうかです。それには、自社をどういう会社にしていきたいかという構想がなければいけません。構想を実現する上でこの会社は必要だなと思うとワクワクします。

——M&Aすることで将来構想の実現に近づく、と?

川上様: そうです。もちろん相手先企業の財務諸表、EBITDA(利払前・税引前・償却前利益)なども見ます。ただ、数字がよくなかったとしても、当社の将来構想に必要な業種や業態、エリアによっては話を積極的に進めます。

——M&Aを進めるときに配慮されているのはどんなことですか?

川上様: 中小企業同士のM&Aですので、お相手は創業者であったり、経営者と同時に株主でもあったりする場合が多いわけです。いわば自分の分身のような会社を譲るということになります。だから、この人間になら譲ってもいいと思っていただけるように、TOP面談では私自身をできるだけ深く知ってもらおうと考えています。
そのために川上聡一朗自身のプロフィールやこれまでの事業の軌跡、将来構想などをわかりやすく書いた資料を用意していくようにしています。

譲り受けた会社の従業員とは
できるだけ早く1人ひとりと面談をする

——M&Aの過程でどんなところに苦労されましたか?

川上様: 大変なのは過程ではなくM&Aした後です。すべてにおいてドラマがありました。
例えば、2014年に東京の会社を譲り受けしました。大阪で創業した当社にとって東京進出の足掛かりになった会社です。このときは東日本大震災の後ということもあって、大阪だけを拠点にするのではなく、リスクを分散するために東京にも拠点を置こうと考えたのです。単身上京して、東京都の事業引き継ぎセンターに紹介してもらったのですが、M&A後、実際に会社に行ってみてびっくりしました。

——何に驚かれたのですか?

川上様: まずオフィスが雑然としていたことです。私が「今日から代表取締役に就任した川上です」と自己紹介しても反応が薄かったですね。さらに次の日に会社に行くと、私の机の引き出しに「あの人と一緒に仕事をしたくない」「この仕事は嫌だ」などの陳情の手紙がたくさん入っていました。

——それは大変ですね。

川上様: まずはオフィスの整理整頓が先決だと思い、1人で掃除をはじめました。すると1人、また1人と手伝ってくれる人が出てきたのです。そのときに思ったのは、自分という人間のパーソナルな部分を理解してもらえなければ、譲受けした会社の従業員さんはついてきてくれないということです。

——最も心を配られている点は、その部分ですか?

川上様: そうです。代表に就任した日、あるいは初めてご挨拶に行った後、できるだけ速やかに従業員さんお1人おひとりと1時間程度の面談をします。私の自己紹介から始めて質疑応答、最後にはその方の人生観やこれからどうなっていきたいかも聞くようにしています。私のことも知ってもらい、相手の特性も知りたいと思っているのです。
その上で会社全体を見て、属人化された仕事があれば、誰もができるように変えていきます。改革を進めていくうえでも、自分を信じてもらうしかありません。だからこそ、互いにしっかりと話をすることが大切だと考えています。

「川上という人間のパーソナルな部分を理解してもらえなければ、譲り受けた会社の従業員さんはついてきてくれません」と話す川上社長

「川上という人間のパーソナルな部分を理解してもらえなければ、譲り受けた会社の従業員さんはついてきてくれません」と話す川上社長

——最後にM&Aで自社の発展、成長を考えている経営者にアドバイスをいただけますか。

川上様: M&Aと言うとまだ世の中の意識的にはハードルが高いのかなと思います。しかし、そんなに難しいものではありません。私は会社を成長させていく手段の一つだと考えています。
大事なのは、自社を成長させる上で見えてくる問題点をきちんと整理して、どんな会社と一緒になればそれを実現できるかを事前に考えてから臨むことです。M&Aが成立すると、譲り受けた会社の経営をしていくことになります。これは想像以上に大変なことです。まずは自社をきっちり整えられていることが大前提になると思います。自社の経営も上手くできないようならM&Aはやらないほうがいいということです。

こちらのM&A事例インタビューは動画でもご覧いただけます。

日本M&Aセンター担当者コメント

東日本事業法人部 シニアチーフ 井東 純平
(光洋商事ホールディングス株式会社様担当)

東日本事業法人部 シニアチーフ 井東 純平(光洋商事ホールディングス株式会社様担当)

光洋商事ホールディングスの川上社長は、まだ30代ながらここ数年で10件を超えるM&Aにより会社を大きく成長させてこられた経営者です。今回は、過去譲り受けたグループ会社から、売主がそのまま社長を務めている企業と、社外から社長を招聘した企業の2社にもインタビューにご参加いただきました。ぜひご覧ください。

※役職は取材時

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