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インドネシア
M&Aのポイント

2026年最新日本企業が知っておきたい市場環境と特徴

インドネシアはASEAN最大の経済規模と
2億人超の消費市場を持つ成長市場です。
中間所得層の拡大を背景にFMCG市場が成長し、
M&Aや資金調達需要も拡大。
特に市場拡大余地を残す中堅企業への投資は、
成長余地の大きい市場として、日本企業の関心が高まっています。

ビジネス環境

ASEAN最大の経済規模と未開拓の成長余力

  • 人口
    ※2025年、世界第4位

    28,600万人

  • GDP成⻑率
    ※2025年実績

    5%超

  • 政府⽬標成⻑率
    ※2029年まで

    8

  • FMCG市場成⻑率
    ※2024年、前年比

    7

インドネシアは、日本の約5倍の国土に約2億8,000万人を擁するASEAN最大の市場です。 首都ジャカルタ首都圏には約4,000万人(国連推計)が集積し、世界有数のメガシティとして消費・商業活動の中心地となっています。ASEAN最大のGDP規模を誇り、豊富な天然資源、競争力のある労働力、拡大する中間所得層を背景に、長期的な経済成長が期待されています。

出典:
世界銀行「総人口」国別データ(2025年)
インドネシア中央統計庁「2025年のインドネシア経済成長率は5.11%」(2026年2月5日公表)
世界銀行「インドネシア国別概要」
カンター・ワールドパネル「インドネシアFMCG市場の成長をけん引する美容・季節関連カテゴリー」(2025年3月28日)

旺盛な消費需要と資本ニーズが生み出す投資機会

  • Reason 1

    オーナー企業の事業拡大ニーズ

    成長意欲の高いオーナー企業は、資金に加え、日本企業の品質・生産管理、人材育成ノウハウ、ブランド力に期待し、資本提携・M&Aを進めています。

  • Reason 2

    製造拠点から巨大消費市場へ

    インドネシアは製造拠点から巨大消費市場へ進化。約2.8億人の人口と中間所得層の拡大を背景に、FMCG分野を中心に成長が期待されています。

  • Reason 3

    高金利環境による資金需要の増加

    高金利を背景に、企業は成長資金確保の手段として資本提携や株式売却を選ぶ傾向が強まり、投資機会が拡大しています。

インドネシアM&Aのポイント

  • Point 1

    規制リスク

    複雑な外資規制や許認可制度への対応が必要となるため、現地専門家と連携し、規制内容を十分に確認したうえで適切なディールストラクチャーを検討することが重要です。

  • Point 2

    コンプライアンスリスク

    事業成長が続く一方で、コンプライアンスやガバナンス面の精査が重要です。適切なデューデリジェンスを実施するとともに、買収後の内部統制体制を整備・強化することがM&A成功の鍵となります。

  • Point 3

    言語・文化

    インドネシア語・英語といった言語面に加え、宗教や商習慣など現地文化への理解が重要です。一方、日本語対応が可能な人材も一定数存在しており、日本企業にとって円滑なコミュニケーション体制を構築しやすい環境が整っています。

  • Point 4

    複雑な税務制度

    税務リスクを事前に把握し、適切に管理することが重要です。事前ヒアリングやデューデリジェンスを通じて過年度の税務リスクを確認するとともに、株式譲渡に伴う課税等も踏まえ、買収スキームや出資形態を適切に設計することが求められます。

インドネシアM&Aの事例

HACK JAPANホールディングスとPT. Claro Kreasi Abadiの資本提携

成長著しいインドネシアで現地企業をM&A。
ポイントは「信頼できる経営体制を現地で構築できるかどうか」

多彩な事業を展開するHACK JAPANホールディングスは、インドネシアの企業を譲受けました。同社代表に海外企業とのビジネスのポイントを伺いました。

譲受企業情報
社名 HACK JAPANホールディングス株式会社(山梨県)
事業内容 オープンイノベーション、HRD、環境エンジニアリング、AIソリューション、マテリアルソリューション、メディアソリューション
売上高 約6.5億円(2023年5月期)
社員数 54名(社員13名、アルバイト54名)※原文ママ
譲渡企業情報
社名 PT. Claro Kreasi Abadi(インドネシア)
事業内容 ビル、商業施設、民間企業・政府系企業等へのメンテナンス(清掃)業
売上高 約4.5億円(2022年12月末時点)
従業員数 923名(2022年12月末時点)

日本の埋もれている技術や人材を組み合わせて新しい価値として提案していくことを使命に掲げ、ホールディングスの枠を超えて多彩な事業を展開するHACK JAPANホールディングス(山梨県)。海外展開も積極的に行う同社は2023年12月にインドネシアのファシリティーサービス企業、PT.Claro Kreasi Abadi(以下、PT.Claro社)を譲受けました。譲受け企業の保坂東吾社長に海外企業とのビジネスのポイントを伺いました。(取材日:2024年2月1日)

海外での事業成功のポイントは、信頼できる経営体制を現地で構築できるかどうか

――はじめに事業内容についてご紹介ください。

譲受け企業 HACK JAPANホールディングス 保坂様: 事業内容を説明するために、まずはHACK JAPANという社名から説明します。私は「挑戦」を生きがいとしてきたので、社名に挑戦という言葉を入れたいと思っていました。とはいえ、チャレンジやトライでは魅力がない。何か良い言葉はないか探していたとき、Facebookのマーク・ザッカーバーグのインタビュー記事を読んでいたら、Facebookの社内に“HACK”という文字が書かれていて、それが、限界に挑戦するという意味で使われているらしいと知ったのです。それでHACKとつけました。
そして、日本から世界に向けてチャレンジしたい、日本を代表する会社になろうという想いがあってジャパンをつけて、HACK JAPANにしました。
ですから、私たちの事業の特徴としては、日本の埋もれてしまっている技術や人材を上手に組み合わせて、新しい価値として提案していくのが、HACK JAPANがやっていることです。事業のタネを見つけて、それを育てていこうというのが、私たちの事業になります。

――現在はどんな事業を展開されていますか。

保坂様: ホールディングスとしては不動産賃貸業をメインにホテル経営、和スイーツの「和乃果」の運営なども行っています。
もともと当社は、祖父が1969年に日本連合警備という警備会社を山梨県で初めて発足したのが始まりです。祖父の頃から中古自動車の販売や飲食店、ウエディングなどさまざまな事業を展開していたのですが、私はずっと多角化する事業は別組織にすべきだと思っていました。そこで2013年にホールディングスを立ち上げ、傘下にグループ会社を配置する現在の体制に変えました。
ただ、HACK JAPANホールディングスは先ほども申し上げたように単にグループ会社の管理を行うだけではなく、さまざまな事業を展開しているのが一般的なホールディングスとは違うところです。

――今回、インドネシア企業のPT.Claro社を譲受けされましたが、どんな狙いでM&Aを進められたのですか。

保坂様: 私たちのグループ会社の中に、インドネシアからの技能実習生を受け入れて管理する管理団体があります。実習生は3年から5年、日本で高い技術を身につけて母国に帰るのですが、帰っても働ける場所がないことが多い。それがとてももったいないと思っていました。そこで、実習生たちの受け皿になるような会社をインドネシアに作ろうと考えていました。
ただ、現地でゼロから会社を作るのはリスクも高い。であれば、現地の会社を譲り受けたほうがリスクは少なくて済みます。
これまで私たちは海外でさまざまな事業をしてきました。そこで学んだことがあります。それは、海外で成功できるかどうかは、信頼できる人材を確保できるかどうか、そうした人材を現地に配置できるかどうかにかかっている、ということです。インドネシアは、山崎という当社の女性役員が現地に非常に良い人脈を持っていました。インドネシアなら信頼できる人材を揃えられる。そうした基盤があり、人材面は大丈夫だと自信があったので踏み切れたのです。

資金調達に注力し、人の管理や教育、評価は現地に任せる

――インドネシアという国についてはどんな魅力があると分析されていましたか。

保坂様: 国の将来性に魅力を感じていました。経済成長率が毎年2%以上あり、市場が伸びていくのは明らかだと思いました。それに人口です。現在の人口はおよそ2億8,000万人、30年後には今より5,000万人から6,000万人増える見込みです。一方で日本は30年後、1億人を切ると予測されています。インドネシアは日本の3倍以上の人口がいる国になるのです。

――PT.Claro社の会社としての魅力はいかがですか。

保坂様: PT.Claro社はファシリティーサービスの会社です。私たちはインドネシアでも警備会社を展開したいと考えているのですが、ファシリティーサービスは隣接業種ですので相乗効果が期待できると思いました。そうしたM&A後のビジョンをトップ面談時からお話ししていましたし、実際にM&A後の最初の取締役ミーティングでも、今後は成長が見込めるセキュリティー分野とパーキング分野をやりたいという話が出てきています。これから、相乗効果を発揮して、2025年にはインドネシアでIPOを目指しています。

――M&Aから1ヵ月くらいですが、PMI(M&A後の統合プロセス)はどう進めていらっしゃいますか。

保坂様: 私たちの仕事は、PT.Claro社を成長させるための資金調達です。会社の成長エンジンはお金です。人間でいうと血液みたいなものです。その注入が私たちの仕事になります。私たちは外資になるので、いろいろな方法で資金調達ができますが、彼らはスキーム上、インドネシアルピアでしか資金調達ができません。
そうなると調達金利がものすごく高いわけです。今の日本は、調達金利も非常に低い。外資だからこそ役に立てることがあります。それとガバナンスの体制整備。この二つが私たちのマネジメントの大前提です。
一方、人の管理や教育、評価は現地の人がやるべきです。役割は最初から分けています。もちろん、アドバイスはしますが、郷に入っては郷に従えという言葉の通り、触ってはいけない部分には触らないことも大事です。

――これは重要なポイントですね。

保坂様: とても大事です。全部、日本流にしては駄目です。まして、宗教の関係もあります。インドネシアではイスラム教徒が多いのですが、仕事中にも礼拝をおこなう必要がありますから、そのための時間を認めるのは当たり前のことです。
忘れてはいけないのは、私たちが現地企業の常識の中で仕事をするということです。日本の常識は通じないと思ったほうがいい。幸いなことに、現地の人たちも私たちを快く受け入れてくれていて、旧経営陣は全員、継続して勤めてくれています。M&A後の退職者もゼロです。

PT.Claro社の年次研修。懇親会でアワードを受賞した社員の表彰式 PT.Claro社の年次研修に集まった幹部社員の集合写真
PT.Claro社では年に一度、幹部を集めた年次研修を行う。夜の懇親会では活躍した社員をMVP等のアワードで表彰、プレゼンターを保坂社長、山崎取締役が務めた

将来ビジョンを共有できるキーパーソンがいれば、PMIはうまくいく

――体制作りで動いているものはありますか。

保坂様: 誰を取締役に入れるかという人的な話や金融機関の変更などは、ディールが進んでいる時から話をして準備を進めていました。
取締役は日本から私ともう一人、山崎が入って、現地から2人、信頼できる人に入ってもらいました。財務担当のメガさんと人事担当のエンディーさんです。また旧経営陣からの役員であるジョコさんは、非常に優秀な方です。こうした布陣もしっかり固めた上でのM&Aですから、順調に進んでいます。私が想定していた以上に組織ができていて、正直、驚いています。
当初は、山崎が現地に常駐する予定だったのですが、私から常駐する必要はないと話しました。出張ベースで管理できてしまう会社だから大丈夫だと。ジョコさんがしっかりしていて、本当にすごいなと思います。日本の会社よりしっかりしているかもしれません。
コミュニケーションギャップはあると思います。しかし、将来のビジョンを共有できていれば、大きなずれにはならないと思っています。現地の責任者がジョコさんという人間だったから、というのも大きい。最初のミーティングから将来戦略の話から入りましたから。未来を共有できる人と一緒にやれるのは大事です。

――日本の会社よりしっかりしている、というのは具体的にはどんな点で実感されていますか。

保坂様: 人的資本しかない会社なので、社員教育も手厚くされています。どうやって人材を育てるか、ジョコさんはそのクオリティーをどう維持するかをずっと考えているんです。トレーニングセンターに行って実習する先生とも話をしましたが、本当にしっかりしています。
インドネシアでは毎年、競争入札があるのが普通なのですが、それをどうやって防ぐか。ジョコさんが言うには「顧客の信頼を得る」のだそうです。こうした教育を受けていればお客様も納得してくれる、信頼してもらえるのです。
清掃員があいさつしてくるとしてくれないとでは、受ける印象が全然違うと思いませんか。ファシリティーサービスの仕事は見えないところの付加価値を上げることなのだとわかりました。

――最後に、海外企業とのM&Aを検討する経営者へメッセージをお願いします。

保坂様: 海外の現地企業を経営していくには、一緒に将来のビジョンを実現できる人材が社内にいるかどうかが重要です。そういう人材がいないとうまくやっていくのは無理ではないかと思います。一緒に成長していける人材、ということです。
一方的なマネジメント、押しつけでは人は動きません。人間、心が動かないと動かないのですよ。それは世界共通でしょう。誰でも未来が見えて心躍るような仕事をしたいと思うはずです。だから、最後は人です。信頼できる現地の人と一緒にやることが大切になります。

特務推進部 髙橋 真也(HACK JAPANホールディングス株式会社様担当)

常に挑戦の機会を創ってきた保坂社長は、成長期待の大きいインドネシアでの新たな事業展開を考えていらっしゃいました。何度もコミュニケーションを重ね、既存事業とも親和性のあるマッチングが実現したと思います。「なぜやるのか」「何を目指すのか」を堂々と語り、要所で周囲を動かしていく保坂社長の力強さはとても印象的でした。

※役職は取材時/※M&A実行当時の情報

現地法人によるサポート体制

インドネシア現地法人のメンバー

日本M&Aセンターはインドネシアに現地法人を設置し、現地ネットワークと専門家連携を活かしてM&Aを支援しています。
成長市場ならではの機会とリスクを踏まえ、買収・売却・再編をサポートします。

PT Nihon Mergers And Acquisitions Center Indonesia President Director 河田 航佑

PT Nihon Mergers And Acquisitions Center Indonesia President Director
河田 航佑

インドネシアは、高い経済成長率とASEAN最大級の市場規模を有する魅力的な投資先です。一方で、外資規制や税務、商習慣など独自のビジネス環境への理解が成功の鍵となります。私たちは豊富な現地経験とネットワークを活かし、現地目線で実務をサポートいたします。

Level 11, One Pacific Place, Sudirman Central Business District (SCBD), Jl. Jend. Sudirman Kav. 52-53, Kebayoran Baru, Jakarta Selatan, DKI Jakarta 12190, Indonesia TEL:+62-021-29859721(対応可能言語:日本語・英語・インドネシア語)

インドネシア現地法人 アクセスマップ

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よくある質問

  • 回答

    日本企業がインドネシア企業の株式を100%取得できるかは、対象会社の事業分野や事業分類コード(KBLI)によって異なります。

    多くの事業分野では100%の外国資本が認められていますが、一部の事業には、外国資本比率、現地企業との提携、特別なライセンスなどの条件があります。そのため、対象会社のKBLIと実際の事業内容を照合し、外国投資規制上の取得可能比率を確認することが重要です。なお、インドネシアの非公開会社は原則として2名以上の株主を必要とするため、100%外国資本の場合でも、実務上はグループ会社などを含む2名以上の株主で保有する形となります。

  • 回答

    外国企業がインドネシア企業の株式を取得すると、対象会社は原則として外国投資会社(PT PMA)としての要件を満たす必要があります。

    対象会社をPT PMAへ転換する場合は、外国資本比率に加え、払込資本金や投資計画額などの要件を確認します。クロージング後は、株主構成、役員、資本金、事業内容などを会社登記とOSS(オンライン一元手続システム)に反映し、NIB(事業者登録番号)や業種別ライセンスの更新・変更が必要かを確認します。インドネシアでは、会社登記だけでなく、OSSを通じて、事業のリスク区分に応じた許認可が有効かを確認することが重要です。

  • 回答

    インドネシア企業のデューデリジェンスでは、事業許認可、土地権原、税務、労務、社会保障、環境許認可、関連当事者取引などを重点的に確認します。

    特に、実際の事業内容とKBLI(事業分類コード)が一致しているか、NIB(事業者登録番号)やOSS上で必要な事業ライセンスが有効か、土地・工場に抵当権や紛争がないかを確認することが重要です。OSSはリスクベースで運用されているため、対象会社の業種や事業リスクによって、必要な許認可や手続きが異なります。

ご利用にあたって

  • 本FAQは、2026年7月時点の一般的な制度およびM&A実務に基づく参考情報です。
  • 実際に必要となる許認可、届出、税務、手続きは、対象会社の業種・所在地・株主構成・取引金額・取得比率などによって異なります。
  • 個別案件については、現地の弁護士・会計士・税務専門家などと連携し、最新情報を確認しながら進めることが重要です。