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会社を買う場合の留意事項

買収監査によるリスクの確定

買い手企業は買収するにあたって、リスクの所在と大きさを確定できないと安心して買収に踏み切ることができません。リスクの確定ができなければ、万が一問題が起きたときの対応策や賠償問題を最終契約書に記載することもできません。
買収監査(デューデリジェンス)を通じて「リスクの洗い出しを行う」ことが大切です。

<代表的なリスク>
 ●簿外債務・・・決算書に載っていない債務がある
 ●保証債務・・・会社として他社の連帯保証をしている
 ●税務リスク・・・業績のいい企業はグレーな節税を行っている場合もある
 ●公害問題・・・土壌汚染、空気汚染、産業廃棄物などの可能性
 ●贈収賄・・・公的機関との取引などがメインの場合特に
 ●背任行為・・・経理部長の横領、購買担当者の業者癒着など
 ●瑕疵・・・リコール問題、ソフトウエアトラブル等
 ●人材流出・・・人が辞めるリスク
これらのリスクは、各企業ごとにまちまちで、買収監査のウエイトや方法も対象企業ごとに変える必要があります。
たとえば、土壌汚染に関してはいくら優秀な公認会計士が時間をかけても発見できるような性格のものではないため、土壌汚染のリスクが高い企業に関しては、土壌調査の専門家による調査が必要となります。


最後の50万円

買い手企業がM&Aを行う目的は「取引先など営業基盤がほしい」「技術力や製造ノウハウがほしい」などです。しかしこれらは会社に付いてくる物ではありません。社員が総力を挙げて維持発展させているものです。従いまして、社員のやる気を維持向上させて一丸となっている状態でM&Aを行う事が大切です。重要な社員が辞めてしまったり、社員のやる気が失せてしまった企業を業界では「空箱」と呼びます。
空箱を買わないためには、創業社長の協力が極めて大切です。
私どもは、買い手社長に「最後の50万円を出してください!」とよく話をします。この50万円で創業社長の事業家人生の最後を全うするにふさわしい立派な机と革張りのいすを買って、そこに会長、顧問として座っていただくのです。それを見た社員や取引先は「このM&Aはよほど請われて行われたもので、我々も期待されているのだ。また買い手企業は人の気持ちや尊厳が良くわかる方だからついて行っても良いだろう」と考えるのです。その結果社員や協力会社、得意先などが一丸となってくれてM&A成功への道が開かれるのです。

社員へのディスクローズ

M&Aで最も難しいのが社員への開示です。M&Aは秘密保持が基本ですから、通常成約にいたるまでは社員に公表していません。しかし、会社がM&Aにより譲渡されたことを譲渡企業の幹部社員などが「新聞ではじめて知った!」というような事にならない様に配慮する必要があります。中小中堅企業の幹部社員というのは「俺は創業社長について来た」、「創業社長の生き様や背中が大好きでついて来た」、「昔助けてもらったからついて来た」、という人が多いわけですから、ディスクローズの方法如何によっては社員の今後の士気に重大な影響を与えてしまいます。
従いまして、正式契約の直後に幹部社員への開示と根回し、そして一般社員への発表を上手に行わなければなりません。社員へのディスクローズが難しいのはやり直しがきかないからです。今までの創業社長に対する思い、寂しさ、不満、信頼感、不信感などが噴出します。これらを上手くコントロールして前向きのムードにもって行くのは経験豊かな仲介者の役割なくしては難しいと思われます。
M&Aには、デューデリジェンス、契約式など重要なテーマが目白押しですが、忙しさにかまけて社員や幹部への開示を疎かにすると最も憂慮すべき事態を招いてしまいます。ここは売り手企業経営者・買い手企業経営者・仲介者が全神経を集中して慎重かつ大胆に取り組むべきだと私どもは考えています。
社員は買い手企業の熱意、ビジョンを聞くことによって安心して喜んでついて来ます。

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