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三菱電機、配電用変圧器事業を日立産機システムに譲渡

更新日:

三菱電機株式会社(6503)と株式会社日立産機システム(東京都千代田区)は、三菱電機のFA制御機器などの開発・生産を行う名古屋製作所で製造する配電用変圧器事業を日立産機システムに譲渡し、両社の事業を統合することに合意した。

今後、関係当局からの認可取得を経て、三菱電機の名古屋製作所における配電用変圧器事業(開発、設計、製造、販売、保守)に関する資産などを、2024年10月より段階的に日立産機システムに譲渡し、2026年4月1日を目途に完了させる予定。
なお、本事業譲渡においては、三菱電機の系統変電システム製作所 赤穂工場で製造している変圧器は対象外となる。

三菱電機は、インフラ、インダストリー・モビリティ、ライフ、ビジネスプラットフォームなどの製品の開発、生産、販売、サービス事業を行う。

日立産機システムは、受変電機器・配電システム事業、空気圧縮機・関連機器事業、マーキング機器・システム事業、ポンプ事業、クリーンエア装置事業、クレーンシステム関連機器事業、ドライブ・IoT 機器事業などを行う。

背景・目的

本事業譲渡により、日立産機システムは、省エネ性能が高く環境に配慮した変圧器の製品ラインアップとサービスを拡充し、国内市場を中心に受変電システムを核としたグリッドエッジソリューションの成長を加速し、日立グループの IT、OT、プロダクトとの連携を通じ、日本の送配電網のサステナブルな進化に貢献していく。三菱電機は、重点成長事業に集中的に投資するポートフォリオ戦略に基づき、FAシステム事業の拡大に注力する。

配電用変圧器は、発電所が発電した高圧電力を、変電所や公共施設、事業や商用施設などの中継点で、利用側のニーズに合わせた電圧に降圧する役割を担っている。再生可能エネルギーの普及による発電源の多様化、ならびに生成 AI や DX の普及に伴うデータセンターおよび半導体製造の拡大に伴い電力需要が世界的に拡大する中、配電用変圧器は長期的な需要拡大が見込まれている。

国内では、省エネ法におけるトップランナー方式に基づき、2026年度に配電用変圧器のエネルギー消費効率を 2019年度に比べ 11.4%向上する目標が掲げられるなど、環境性能の改善が求められている事もあり、2026年には2022年比で10%以上の市場拡大が予測される。日立グループでは、カーボンニュートラルを実現するための重要プロダクトとして、変圧器をグローバルに事業展開している。

国内では、日立産機システムが配電用変圧器のトップメーカーとして、電力損失が少ない「アモルファス合金」を鉄心に採用し圧倒的なエネルギー消費効率を実現した製品や、植物油(エステル油)を採用し高い環境性能と安全性を実現した製品などを提供。

世界では、グローバルリーダーである日立エナジーが、液体封入型や乾式変圧器、ライフサイクルサポートをユーティリティーや産業、運輸分野向けにグローバルに提供しており、ライフサイクルコストと環境影響を低減しながら、高い信頼性と最適な性能を実現している。

三菱電機の名古屋製作所における配電用変圧器事業は、長年の実績で培われた技術を進化・継承し、トップランナー油入変圧器 R シリーズを中心に省エネ性能を追求した豊富なラインアップを備え、日本国内の充実した販売網により配電用変圧器事業を推進してきたが、安定した製品の供給と事業のより一層の強化に向けて本事業譲渡を決定した。

三菱電機と日立産機システムは、両社の保有する技術・資産の統合により、エネルギー効率の改善や、より環境にやさしいプロダクトの開発と提供を通じ事業価値を高めることが、日本に求められる高度な送配電網の実現や、日本政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」への貢献に最適である、との両社の経営判断に基づき、今回の合意に至った。

日程

本事業譲渡完了 2026年4月1日(予定)

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