ドラッグストア業界のM&Aと事業承継の動向・案件情報2025年最新版
ドラッグストア業界に関する最新のM&A動向をご紹介します。 近年の市場推移やトピックス、業界再編にまつわる情報、ドラッグストア業界の周辺業界を含めたM&A・事業承継の事例をわかりやすく解説しています。 また、日本M&Aセンターが取り扱う最新のM&A案件、当社仲介によりM&Aを実行された経営者様の事例、 各業界の動向やM&A(第三者承継)への理解を深めるセミナー情報などもご紹介します。
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ドラッグストア業界の概要とM&A動向
ドラッグストア業界は、医薬品と化粧品を中心に、日用雑貨・食品を取り扱う店舗を運営する事業者から構成されています。
もともとドラッグストアは一般用医薬品を販売する場所でしたが、医薬分業が進み、薬剤師が常駐する調剤薬局を併設する店舗も増加傾向にあります。
この業界の大企業としては、売上高が1兆円を超える最大手のウエルシアホールディングスをはじめ、ツルハホールディングス、コスモス薬品のほか、マツモトキヨシグループとココカラファイングループの大手同士による経営統合で大きな話題を呼んだマツキヨココカラ&カンパニーなどが挙げられます。
マスク需要はピークを過ぎたものの衛生用品・感染症対策関連は安定需要を維持し、食品部門の売上も好調で、市場を拡大し続けています。また、受診控えが緩和したことで、調剤併設店舗の処方箋受付枚数が回復したことも増収の一因と考えられます。
また、2023年1月に開始された電子処方箋運用は、2026年現在では全国で普及が進み、オンライン服薬指導や電子処方箋連携の標準化が進んでいます。DX化が急速に進むドラッグストア業界では、大手チェーンによる新規出店やM&Aが積極的に行われ、年々、大手による寡占化が進んでいます。
ドラッグストア業界をとりまく環境
市場・売上・取引動向
ドラッグストア業界の市場規模は、ここ数年で量・質ともに大きく拡大しています。一般社団法人日本チェーンドラッグストア協会の「日本のドラッグストア実態調査(2024年度)」によると、2024年度の全国ドラッグストア総売上高は10兆307億円(前年比109.0%)と、初めて10兆円の大台を超えました。総店舗数は2万3,723店舗(前年から682店舗増)であり、2000年度の1万1,787店舗から約2倍に増加しています。
同調査によれば、ドラッグストアの売上高は2000年度以降一貫して伸長しており、直近では2021年度から2024年度の3年間で約17%程度増加したと推計されます。同期間に店舗数も増加しているものの、売上高の伸びが上回ることで、1店舗当たり売上高も過去最高を更新しています。2024年度の総売上高10兆307億円と総店舗数2万3,723店舗から単純計算すると、1店舗当たり売上高はおおよそ4.2億円前後となり、チェーン化・大規模化が収益力の底上げに寄与している状況です。
商品カテゴリー別の構成比を見ると、同調査では「調剤・ヘルスケア」「ビューティケア」「ホームケア」「フーズ・その他」の4区分で売上を整理しています。2024年度は、調剤・ヘルスケアが約3.3兆円(構成比約33%)、ビューティケアが約1.8兆円(同約18%)、ホームケアが約2.0兆円(同約20%)、フーズ・その他が約2.8兆円(同約28%)とされており、調剤・ヘルスケアと食品・日用品(フーズ・その他+ホームケア)で全体の8割超を占めています。調剤とヘルスケア用品を合わせた高付加価値領域の伸びが市場拡大を牽引する一方、食品や日用消耗品の取り扱い強化によって、ワンストップ型の「生活インフラ」としての機能も高まっています。
販売チャネルの面では、店頭販売が依然として主流であるものの、ECやアプリ経由の販売は緩やかに拡大しています。総務省統計局「家計消費状況調査」によれば、二人以上世帯のネットショッピング支出は2023年に1世帯当たり月平均2万3,021円(前年比名目10.6%増)と過去最高となっており、食料・保健医療関連品目も一定の比率を占めています。ドラッグストア各社も自社ECサイトやモール出店、ネットスーパーとの連携などを通じて、日用品・化粧品・健康食品のオンライン販売を強化しており、リアル店舗とのOMO(Online
Merges with Offline)型の連携が今後さらに重要になると見込まれます。
価格・数量面では、原材料やエネルギー価格の上昇を背景とした仕入価格の上昇を小売価格へ一部転嫁しつつも、ポイント還元や値引き販売による価格競争も続いています。その結果、ドラッグストア業界全体としては名目売上高の伸びが続く一方で、粗利率・営業利益率は人件費や物流費を含めたコスト上昇の影響を受けやすい構造です。調剤部門は比較的高い粗利率を確保しやすいものの、診療報酬・調剤報酬改定の影響を受けるため、中長期的な収益構造の確立が課題になりつつあります。
- M&A観点
- ドラッグストア市場が量的拡大を続けるなかで、特に調剤・ヘルスケア、ビューティケア、食品部門などの高成長カテゴリーを強化したい企業にとって、地域ドミナントチェーンや専門性の高いドラッグストアの買収は、売上成長とカテゴリー強化を同時に実現する手段になり得ます。また、オンラインチャネルやサブスクリプション型サービス(定期配送・会員制サービス等)をすでに持つ企業を取得することで、短期間でOMO体制を構築するM&Aも合理的といえます。
事業者・設備・拠点動向(プレーヤー構造と出店フォーマット)
同じく日本チェーンドラッグストア協会の調査では、2024年度のドラッグストア企業数は380社で、2000年度の579社から減少する一方、総店舗数は2万3,723店舗と調査開始以来一貫して増加しているとされています。企業数が減少するなかで店舗数が増加していることは、M&Aや統合・再編を通じたチェーンの大型化や、既存企業による新規出店の加速を反映しています。
店舗規模別に見ると、150〜300坪クラスの店舗が全体の約42%と中心的なフォーマットとなっており、300坪以上の大型店比率も増加しています。駅前や繁華街の小型店が一定の比率を維持しつつも、調剤併設や食品強化などを背景に「ワンストップ・ショッピング」を志向した大型店の構成比が高まっており、駐車場を備えた郊外型ロードサイド店舗が広く浸透しています。
大手チェーンの売上規模を見ると、ウエルシアホールディングスは2025年2月期に売上高約1兆2,850億円(前年比5.6%増)、ツルハホールディングスは2024年5月期に売上高1兆274億6,200万円(同5.9%増)と、それぞれ1兆円を超える水準に達しています。マツキヨココカラ&カンパニーやコスモス薬品、スギホールディングスなども売上高5,000億〜1兆円クラスのプレーヤーとして存在感を高めており、上位数社による寡占度は着実に上昇しています。
さらに、2025年12月に完了したウエルシアホールディングスとツルハホールディングスの経営統合により、売上高約2兆円、国内店舗数約5,600店舗の日本最大のドラッグストア連合体が誕生しました。
こうした大手同士の統合に加え、地域有力チェーンや調剤薬局チェーンを傘下に収めるM&Aも相次いでおり、全国・広域・地域ドミナントといった多層的な競争構造が形成されています。
店舗フォーマットの観点では、調剤併設ドラッグストアと物販主体ドラッグストアの2つの軸に加え、都市型の小型店(駅前・ターミナル・オフィス街)や、郊外型ロードサイド大型店、ショッピングセンター・モール内インショップなど、立地と商圏に応じた多様な形態が採用されています。人手不足や深夜営業の採算性を踏まえ、24時間営業から営業時間短縮への見直しが進む一方、在宅医療・介護との連携を視野に入れた在宅対応型店舗や、ヘルスケア相談機能を強化した店舗など、機能面での差別化も進みつつあります。
- M&A観点
- 寡占化が進むなかで、規模拡大とドミナント戦略を同時に進めるには、既存チェーン同士の統合や、地域有力チェーンの買収が有力な選択肢になります。特に、一定規模の店舗網と調剤併設率を有するチェーンを取得することで、出店コストや時間を抑えながら市場シェアを一気に拡大できる点が重要です。また、M&Aによって既存店舗のフォーマットポートフォリオ(都市型・郊外型・モール型等)を補完し、立地・面積・調剤機能の組み合わせを最適化する戦略も検討されます。
需要側ファクター(人口動態・家計支出・インバウンド)
日本の人口動態を見ると、総務省統計局「人口推計」によれば、2025年9月15日時点の65歳以上人口は3,619万人で、総人口に占める割合は29.4%と過去最高を更新しています。2040年には34.8%、2050年には37.1%へと高齢化率がさらに上昇すると推計されており、今後も高齢者向け医薬品・ヘルスケア・介護関連商品の需要は底堅く推移すると見込まれます。高齢化の進展は、生活圏内で医薬品や日用品をまとめて購入できるドラッグストアへの依存度を高める要因となっています。
家計支出の観点では、総務省統計局「家計調査」や「家計消費状況調査」を踏まえると、健康保持用摂取品(サプリメント等)の支出は2024年にかけて前年比で減少しているものの、ネット通販経由の健康食品支出は増加するなど、チャネルシフトが進んでいると報告されています。化粧品や日用品の支出も、コロナ禍後の外出機会の回復とともに増加傾向にあり、ドラッグストアのビューティケア・ホームケアカテゴリーに追い風となっています。
インバウンド需要もドラッグストア業界にとって重要な需要源です。観光庁「インバウンド消費動向調査
2024年年間報告書」によれば、2024年の訪日外国人旅行消費額は2019年を上回る水準に達しています。費目別に見ると買物代は消費全体の約3割を占め、その中でも日本製の化粧品、医薬品、健康食品はアジア圏を中心に高い人気を維持しています。訪日外国人が買物を行う場所としては、コンビニエンスストアや空港の免税店に加え、ドラッグストアの利用率が非常に高く、観光地や都心部のドラッグストアはインバウンドの「まとめ買い」需要を取り込む重要なチャネルとなっています。
ライフスタイル面では、セルフメディケーション志向の高まりにより、軽微な体調不良は市販薬や健康食品で対処しようとする傾向が強まっています。加えて、美容・アンチエイジングへの関心の高まりや、マスク着用の常態化・解除を通じてスキンケア・メイクアップ需要が変化しており、季節やトレンドに応じた品揃えとカウンセリング販売の重要性が増しています。キャッシュレス決済やモバイルアプリを通じたクーポン配信など、購買行動のデジタル化も進展しており、ID-POSデータを起点としたパーソナライズドマーケティングの余地が広がっています。
- M&A観点
- 高齢化・健康志向・インバウンド回復といった需要サイドの構造変化を踏まえると、高齢者比率の高い地方都市や観光地に強みを持つチェーンの取得は、成長市場へのアクセスを一気に確保する手段となります。また、インバウンド需要を取り込むために、多言語対応・免税販売・モバイル決済に強みを持つ店舗網やオペレーションノウハウを有する企業とのM&Aは、海外観光客の回復局面における収益機会の最大化に資する可能性があります。
制度・規制・DX(薬機法・広告規制・電子化)
ドラッグストア業界は、医薬品医療機器等法(いわゆる薬機法)をはじめとした多様な制度・規制の下にあります。一般用医薬品をインターネット上で販売する場合には、薬局または店舗販売業の許可が必要であり、処方箋医薬品は医師・歯科医師の処方箋なしには販売できないと定められています。このため、ドラッグストア企業は店舗・EC双方で、薬剤師・登録販売者による適切な情報提供と販売管理体制を維持することが求められます。
広告・表示の面では、「医薬品等適正広告基準」や薬機法第66条(虚偽・誇大広告の禁止)により、効能効果や安全性について確実性を保証する表現や、承認内容を逸脱する表示が禁止されています。また、健康食品分野では、特定保健用食品や機能性表示食品制度など、消費者庁が所管する保健機能食品制度に基づく表示ルールが整備されており、事業者は科学的根拠に基づく届出・表示と、過度な健康効果の強調を避ける広告運用が必要です。
制度面では、電子処方箋・オンライン服薬指導・オンライン診療等の制度整備が進み、ドラッグストア・調剤薬局と医療機関・介護事業者とのデジタル連携が可能になりつつあります。マイナンバーカードと健康保険証の一体化、eKYC(電子的本人確認)による本人確認、電子帳簿保存法・インボイス制度への対応など、店舗運営・本部経理双方における電子化・デジタル化対応も喫緊の課題です。
ドラッグストア各社は、ポイントカードやスマートフォンアプリを通じた顧客ID統合・CRMに加え、需要予測や棚割最適化、在庫回転率向上、クーポン配信最適化など、ID-POSデータの高度活用に取り組んでいます。AIやデータ分析基盤に対する投資負担は小さくない一方で、規模の大きいチェーンほど投資回収がしやすい構造であり、中堅・中小チェーンにとっては自前開発か外部連携か、戦略的選択が必要になっています。
- M&A観点
- 規制対応やDX投資の負担は企業規模によって相対的な重みが異なるため、自社単独では十分な投資が難しい中堅・中小ドラッグストアにとって、大手チェーンとの資本提携やグループ入りが現実的な選択肢となりやすい環境です。一方、大手側から見れば、IT基盤・データ分析・デジタルマーケティングに強みを持つ企業(EC運営会社、マーケティングテック企業、処方箋・服薬データプラットフォームなど)をM&Aで取り込むことで、デジタル競争力を短期間で高めるシナリオが考えられます。
供給・ロジスティクス/サプライチェーン
ドラッグストアのサプライチェーンは、医薬品、化粧品、トイレタリー、日用品、食品など多様な商品群を扱うため、温度管理・有効期限管理・危険物管理など、カテゴリーごとに異なる要件を満たす必要があります。特に医療用医薬品・要指導医薬品・第一類医薬品などについては、品質・トレーサビリティ確保の観点から、仕入先・ロット・流通経路を適切に管理する体制が求められます。
物流面では、トラックドライバーの時間外労働の上限規制導入に伴う、いわゆる「物流の2024年問題」により、幹線輸送・共同配送・ラストワンマイルの見直しが進んでいます。日本のトラック輸送における人手不足・労働時間規制は、中長期的に輸送能力の制約要因となる可能性が指摘されており、積載効率向上やモーダルシフト、共同配送スキームの構築などが政策的にも推進されています。ドラッグストア各社も、センター集約化や在庫拠点の再配置、共同配送網の活用などを通じて、物流コスト増への対応を進めています。
原材料やエネルギー価格の高止まりは、医薬品・化粧品・日用品・食品の仕入価格に影響を与え、メーカーの出荷価格やリベート条件の見直しを通じてドラッグストアの粗利率にも影響します。為替動向による輸入原材料・輸入製品の価格変動も、特に化粧品や健康食品の一部カテゴリーで収益性のボラティリティ要因となっています。
- M&A観点
- 物流コストの上昇とサプライチェーンの複雑化を背景に、ドラッグストア各社にとっては、物流子会社や3PL事業者との統合、地域別・業態別に分かれていた物流拠点の統合など、スケールメリットを追求するM&Aが検討されやすい環境です。また、チルド・冷凍食品や温度管理が必要な医薬品を扱うためのコールドチェーン能力や、危険物倉庫や品質保証機能を持つ物流事業者の買収は、品質・コンプライアンスリスク低減とコスト最適化の両立に寄与します。
人材(薬剤師・登録販売者・店舗スタッフ)
ドラッグストア業界における人的資本の中核は、薬剤師と登録販売者です。薬剤師は調剤業務や第一類医薬品の販売、薬学的管理・服薬指導を担う国家資格者であり、登録販売者は一定の条件の下で第二類・第三類医薬品の販売に従事できる公的資格者です。少子高齢化・都市部への人口集中のなかで、地方・郊外エリアを中心に薬剤師不足が続いており、採用競争の激化や賃金水準の上昇がドラッグストア各社のコスト構造に影響を与えています。
登録販売者についても、資格保有者は増加しているものの、経験年数や勤務形態の偏りにより、店舗オペレーション全体を任せられる人材は限られているケースが少なくありません。夜間・休日を含むシフト制勤務、感染症流行時の負荷増加、クレーム対応など、現場の負担感が離職要因になりやすい点も課題です。
一方で、DX・データ活用が進むなかで、店舗マネジメントやデータ分析、EC・アプリ運営など、従来とは異なるスキルセットを持つ人材へのニーズも高まっています。薬剤師・登録販売者に対する教育・研修と合わせて、デジタルリテラシーやカウンセリングスキル、在宅医療・地域包括ケアに関する知識など、スキルミックスの高度化が求められています。
- M&A観点
- 人材確保の観点からは、地域で信頼を集める調剤薬局・ドラッグストアチェーンの買収を通じて、薬剤師・登録販売者・店舗マネジャーを一括確保するM&Aが、採用コストを抑えつつ人材ポートフォリオを強化する手段となります。買収後のPMIでは、処遇・評価制度・教育体系をグループ内で統一しながら、買収先のローカルな人材ネットワークや地域との関係性を尊重することが、人材流出リスクの抑制という意味でも重要です。
ガバナンス/広告・品質/コンプライアンス
ドラッグストア企業は、薬機法・景品表示法・健康増進法・個人情報保護法・独占禁止法・下請法など、多岐にわたる法令・ガイドラインへの遵守が求められます。医薬品・健康食品・化粧品の広告・表示においては、効能効果の過度な強調や、科学的根拠を欠く健康効果の暗示、国や行政機関が効果を保証しているかのような表現などが問題となりやすく、行政処分や課徴金の対象となるケースも生じています。
品質保証の観点では、医薬品や健康食品のロット管理、有効期限管理、保管温度管理、不具合・副作用情報の収集・報告、リコール対応など、GMP(医薬品の製造管理基準)・GDP(医薬品の流通管理基準)・各種品質規格との整合性が問われます。調剤部門では、調剤録・薬歴の適切な記載・保存、相互作用や重複投与のチェック、疑義照会など、薬歴管理・安全管理体制の整備が必須です。
情報セキュリティ・個人情報保護の面でも、会員アプリ・ポイントカード・ECサイトなど複数チャネルで取得した顧客データや、調剤情報・処方データを取り扱うことから、不正アクセス・情報漏えい・サイバー攻撃への対策が経営課題となっています。アクセス権限管理、多要素認証、ログ管理、外部委託先の管理などを含むグループ全体のガバナンス体制が、M&A後の統合時にも重要な評価項目となります。
- M&A観点
- 買収時のデューデリジェンスでは、財務・税務・ビジネス面だけでなく、薬機法・広告規制・労務・個人情報保護などコンプライアンス体制の成熟度が評価の大きなウェイトを占めます。コンプライアンス違反や広告表現の問題は、将来的な行政処分や訴訟リスクにつながり得るため、潜在債務として価値評価に影響する可能性があります。一方で、買収後にグループ標準のガバナンス・コンプライアンス体制を導入することで、リスクを低減すると同時に、グループ全体の信用力向上につなげるというPMI上のシナリオも描きやすい分野です。
M&Aリレーション(業界再編・事業承継ニーズ)
ドラッグストア業界では、大手同士の経営統合や、大手による地域チェーン・調剤薬局チェーンの買収、中堅ドラッグストアによる周辺業態(EC、フィットネス、クリニック、ヘルスケアメディア等)の取得など、さまざまな形態のM&Aが進んでいます。前述のウエルシアHDとツルハHDの経営統合や、マツキヨココカラ&カンパニーによる化粧品メディア「LIPS」運営会社AppBrewの買収などは、スケールメリットの追求とデジタル接点の強化を同時に狙う象徴的な事例といえます。
一方、地域密着型のドラッグストア・調剤薬局チェーンや単独店舗のなかには、後継者難や人材不足、採算性の悪化、DX投資負担の増加などを理由に、第三者承継を検討するケースが増えています。地方都市・郊外エリアでは、ドラッグストア・調剤薬局が地域医療・生活インフラとして重要な役割を果たしていることから、事業承継を通じて地域の医療・健康拠点を維持する必要性も高まっています。
- M&A観点
- 買い手となりやすいのは、①全国・広域展開を進める大手ドラッグストアチェーン、②医薬品卸・調剤薬局チェーンなどバリューチェーン上流のプレーヤー、③食品スーパー・GMS・コンビニなどフォーマット補完を狙う小売業者、④EC・デジタル関連企業など非店舗系プレーヤーです。売り手となりやすいのは、①後継者不在のオーナー系ドラッグストア・調剤薬局、②採用難・競争激化に直面する地方チェーン、③DX投資・物流再編への対応が難しい中堅チェーンなどと整理できます。調剤機能、EC・アプリ運営力、顧客データ、物流ネットワーク、人材といったケイパビリティをどのように補完・強化したいかによって、合理的なM&Aターゲットは変わってくるといえます。
ドラッグストア業界の今後の課題と展望
ドラッグストア業界の今後3〜5年程度を展望すると、収益性・人材・物流・デジタル・ガバナンスなど多岐にわたる構造課題に対し、業界全体としての対応が求められます。ベースシナリオとしては、国内市場全体の売上成長率は年率1〜3%程度、調剤比率やEC比率の上昇により売上構成がシフトしつつ、営業利益率は人件費・物流費の上昇を織り込みながらも横ばい〜やや改善を目指す姿が想定されます。上振れシナリオでは、インバウンド需要の一段の拡大や高付加価値カテゴリーの伸長により売上成長率3〜5%、下振れシナリオでは価格競争激化や規制強化により成長率1%未満〜マイナスとなる可能性も念頭に置く必要があります。
利益率圧迫要因
- 課題
- 人件費の上昇、薬剤師・登録販売者の採用難に伴う人材獲得コストの増加、電気料金や物流費・賃料の高止まり、原材料価格や仕入価格の上昇は、ドラッグストア各社の営業利益率を押し下げる主要要因です。また、ポイント還元や値引きキャンペーン、プライベートブランド(PB)の価格競争などにより、売価の上昇を十分に転嫁できない場合、粗利率の低下につながるリスクがあります。特に、調剤部門では診療・調剤報酬改定の影響を受けやすく、処方箋単価の低下や薬価改定が収益を圧迫する局面も想定されます。
- 対応策
- こうした環境下で利益率を維持・改善するためには、①調剤・ヘルスケア・ビューティケアなど高付加価値カテゴリーの比率を引き上げる、②PB・独自ブランドの開発を通じて粗利率の高い商品ラインを拡充する、③店舗オペレーションの省人化・自動化(セルフレジ、在庫管理システム、自動発注等)を進めるといった施策が重要です。また、SKUの絞り込みや棚割の見直しにより、在庫回転率を高めながらデッドストック・廃棄ロスを削減することも有効です。
- M&A観点
- 利益率の構造改善をM&Aで進める場合、①スケールメリットを活かして共同仕入・物流統合・本部機能統合を行える対象、②調剤・ヘルスケア・ビューティケアに強みを持つチェーンやブランド、③高収益なPB・プライベートブランド専門メーカーや企画会社などとの統合が選択肢になります。大手チェーン同士の統合では、商品本部・物流・管理部門の重複コスト削減や、調剤部門の統合による効率的な人員配置が、PMIの重要テーマとなります。
ロジスティクス再編・在庫最適化
- 課題
- 医薬品・化粧品・日用品・食品などカテゴリーが多岐にわたるドラッグストアでは、SKU数や有効期限管理の複雑さから在庫水準が高止まりしやすく、廃棄ロスと欠品リスクの両方を抱える傾向があります。物流の2024年問題に象徴されるように、物流業界全体で輸送能力制約・コスト上昇圧力が強まるなかで、従来の「頻繁な小口配送」に依存したサプライチェーンモデルは見直しを迫られています。
- 対応策
- 対応策としては、①地域ごとにセンター集約を進め、幹線輸送と店舗配送の役割分担を明確化する、②複数チェーンや他業態との共同配送スキームを構築し、積載効率を高める、③需要予測AIやID-POSデータを活用して在庫水準・発注ロットを最適化する、④賞味期限・有効期限管理をデジタル化しロスを最小化する、といった取り組みが考えられます。
- M&A観点
- 物流・在庫最適化の観点からは、ドラッグストア各社が自社物流子会社や3PL事業者をM&Aにより取り込み、グループ内で統合的な物流ネットワークを構築するシナリオが想定されます。また、需要予測・在庫最適化アルゴリズムやWMS(倉庫管理システム)に強みを持つIT企業への出資・買収も、ロジスティクスの高度化に直結する領域です。PMIでは、物流拠点統合の計画策定、システム統合スケジュール、在庫基準の統一などを慎重に進めることが、サービス水準を維持しつつシナジーを顕在化させる鍵になります。
人材確保・組織・PMI
- 課題
- 薬剤師・登録販売者を中心とする専門人材の確保は、今後もドラッグストア業界の共通課題です。地方では薬剤師不足が深刻であり、都市部ではドラッグストア・調剤薬局・病院・製薬会社など複数業態との人材獲得競争が生じています。M&Aを通じて企業規模が拡大するなかで、買収先企業のカルチャーや評価制度、処遇水準をどのように統合するかというPMI上の課題も顕在化しやすくなっています。
- 対応策
- 人材面の対応策としては、①グループ全体でのキャリアパス設計(薬剤師・登録販売者・店舗マネジャー・本部職など)、②勤務形態の柔軟化(短時間正社員、エリア限定社員、在宅勤務との組み合わせなど)、③教育・研修プログラムの体系化(OTCカウンセリング、在宅医療、DXスキル等)などが挙げられます。M&A後については、買収先社員の処遇を急激に変更しないことや、現場マネジャーの役割・裁量を尊重しつつグループ標準を徐々に浸透させるアプローチが有効です。
- M&A観点
- M&Aにおける人材関連の論点として、①「人材獲得」を主目的とするM&A(特定エリアの薬剤師・登録販売者・店舗マネジャーを確保)、②PMIでの評価制度・インセンティブ設計(成果と専門性を適切に評価し、離職を抑制)、③グループ横断の人材プールと配置最適化(エリア間・業態間のローテーション)などが挙げられます。買い手側は、デューデリジェンスの段階で人員構成・年齢構成・賃金水準・離職率・労働時間などを精査し、統合後の人件費・組織構造のイメージをあらかじめ描いておく必要があります。
デジタル/データ(EC・OMO・CRM・AI活用)
- 課題
- 多くのドラッグストアでは、リアル店舗・自社EC・モールEC・アプリ・ポイントカードなど複数の顧客接点が存在する一方で、ID統合やデータ連携が十分に進んでいないケースが見られます。その結果、顧客ごとの購買履歴や薬歴・健康情報を統合的に把握できず、パーソナライズドな販促・レコメンド・ケア提案に活かしきれていない状況があります。
- 対応策
- 対応策としては、①会員ID・ポイントプログラムの統合、②アプリの共通化・機能拡張(電子会員証、クーポン、オンライン予約・相談機能など)、③ID-POSデータ・処方箋データ・Web行動データの統合基盤構築、④AI活用によるレコメンド・棚割・販促施策の最適化などが考えられます。また、セキュリティ・プライバシー保護の観点から、匿名加工情報・仮名加工情報の活用や、社内ガバナンスの徹底も重要です。
- M&A観点
- デジタル領域の強化を目的としたM&Aとしては、①EC運営会社やD2Cブランドの買収によるオンライン売上の取り込み、②データ分析・AI・マーケティングテック企業との資本業務提携による分析力強化、③ヘルスケアプラットフォーム・健康管理アプリとの連携による新サービス創出などが考えられます。PMIでは、顧客ID・商品マスタ・店舗マスタ・価格マスタなどの統合が大きなテーマとなるため、システム統合・データクレンジング・ガバナンス体制構築を計画的に進める必要があります。
ガバナンス・コンプライアンス・リスク管理
- 課題
- 薬機法・景表法・健康増進法などの規制強化や、課徴金制度の導入により、医薬品・健康食品・化粧品の広告・表示に関するコンプライアンスリスクは高まっています。加えて、個人情報保護法改正やサイバー攻撃の高度化により、顧客データや調剤情報を扱うドラッグストアに対する情報セキュリティ要件も厳格化しています。グループ内に複数のブランド・システム・運用ルールが混在する場合、店舗ごとの運用差が不適切な広告表現や情報管理の不備につながる可能性があります。
- 対応策
- 対応策としては、①グループ全体のコンプライアンス方針・広告ガイドライン・承認プロセスの標準化、②定期的な教育・研修と内部監査の実施、③個人情報・医療情報を含むデータのアクセス管理・暗号化・ログ管理の強化、④サイバーセキュリティ対策(多要素認証、脆弱性診断、SOC・CSIRTの整備)などが挙げられます。
- M&A観点
- M&Aのデューデリジェンスでは、買収候補先のコンプライアンス体制・過去の行政対応・内部統制の状況を詳細に確認することが必要です。統合後は、グループ全体で広告・品質・情報セキュリティに関するルールを統一し、リスクの高い領域(医薬品・機能性表示食品・オンライン広告等)を重点的にモニタリングする体制を整えることが、企業価値の毀損防止の観点からも重要です。
出店/拠点/フォーマット戦略
- 課題
- 国内市場では、都市部・郊外・地方で出店余地や競争状況が大きく異なります。都市部では既存店舗密度が高く、出店余地は限定的である一方、観光地や新興住宅地など成長ポテンシャルの高いエリアも存在します。郊外・地方では、医療・介護・生活インフラとしての役割が高い一方、人口減少や商圏人口の縮小により、店舗の採算性が課題となるケースもあります。また、新規出店と既存店舗とのカニバリゼーション(商圏の食い合い)も、ドミナント戦略を進めるうえでのリスク要因です。
- 対応策
- 対応策としては、①出店前の詳細な商圏分析に基づく立地選定、②ドラッグストア×スーパーマーケット/コンビニ/フィットネス/クリニック等との複合店舗による集客力強化、③調剤併設率の引き上げや在宅対応機能の付加、④既存店舗の改装・スクラップ&ビルドによる店舗ポートフォリオの最適化などが考えられます。
- M&A観点
- 立地ポートフォリオを最適化する観点からは、特定エリアでのドミナント強化(既存商圏の深掘り)や、空白エリアへの進出(ホワイトスペースの補完)を目的としたM&Aが有効です。また、フランチャイズチェーンにおいては、FC本部と直営チェーンの再編・統合や、FC加盟店の一括引き受けなどを通じて、ブランド・フォーマットの統一と運営効率向上を図る選択肢もあります。
外需/観光・越境EC
- 課題
- インバウンド需要は回復基調にあるものの、世界的な感染症・地政学リスク・為替変動・ビザ政策などにより、訪日客数・一人当たり消費額は変動しやすい側面があります。また、訪日観光客の消費行動も、団体旅行から個人旅行・リピーターへとシフトしており、従来の「定番商品を大量購入する」スタイルから、体験やサービスを重視する傾向も強まっています。
- 対応策
- 対応策としては、①免税販売オペレーションの高度化(迅速な免税処理・多言語対応)、②多言語POP・スタッフ対応・モバイル決済(QRコード決済等)への対応、③インバウンド向けプロモーションでのSNS・インフルエンサー活用、④越境ECや海外現地ECプラットフォームを通じた販売などが考えられます。
- M&A観点
- 外需・観光需要を取り込むためのM&Aとしては、①観光地や都心の好立地店舗網を持つチェーンの取得、②海外ドラッグストアチェーンや現地パートナー企業との資本提携・共同事業、③越境ECや海外向けマーケティングに強みを持つ企業の買収などが挙げられます。為替や規制リスクを踏まえつつ、国内外の需要ポートフォリオを分散する戦略として検討されます。
地域・エコシステム連携
- 課題
- 地域包括ケアシステムの構築が進むなかで、ドラッグストアが医療・介護・福祉・健康増進をつなぐ「地域のハブ」として期待される一方、クリニック・調剤薬局・介護事業者・フィットネス・自治体・大学等との連携が十分でない地域も少なくありません。店舗単位での個別連携にとどまり、グループ全体としてのエコシステム戦略が整理されていないケースも見られます。
- 対応策
- 対応策としては、①地域医師会・薬剤師会・介護事業者との定期的な連絡会の設置、②在宅医療・在宅介護との連携を前提としたサービス設計(在宅患者向け薬剤配送、服薬フォロー等)、③自治体・大学・企業との健康増進プロジェクトへの参画、④地域の健康イベントや測定会の開催などが考えられます。
- M&A観点
- 地域エコシステムの中核となるためのM&Aとしては、①在宅医療・訪問看護・介護事業者の買収・提携、②フィットネス・健康関連サービス企業との連携、③地域密着型の調剤薬局・診療所グループとのグループ化などが挙げられます。PMIでは、医療・介護・ドラッグストアの役割分担を明確化しつつ、患者・生活者にとってシームレスなサービス体験を提供できるよう、情報連携・オペレーション統合を進めることが重要です。
倒産・再編の地合い・金融環境
- 課題
- 金利水準や金融機関の貸出姿勢、景況感の変化は、中小ドラッグストア・調剤薬局の資金繰りや投資余力に影響します。人口減少が進む地域では、売上縮小や固定費負担の重さから収益が圧迫され、後継者不在と相まって廃業・倒産リスクが高まる可能性があります。信用調査会社の統計でも、小売業全体の倒産件数は徐々に増加傾向にあり、利払い負担や仕入債務の支払いが課題となるケースが報告されています。
- 対応策
- 各社は、財務体質の強化(自己資本比率の向上、長期固定金利への借換え、余剰資産の売却等)や、投資選択と集中(出店・改装・DX投資の優先順位付け)を通じて、景気変動や金利変動に耐えうるバランスシートの構築を進める必要があります。また、将来の事業承継やグループ入りの可能性も視野に入れつつ、中長期の資本政策を整理しておくことが望ましいといえます。
- M&A観点
- 倒産・再編の地合いを踏まえると、財務余力のある大手・中堅チェーンにとっては、スポンサー型M&A・再生型M&Aを通じて、地域のドラッグストア・調剤薬局をグループに取り込み、事業再生と地域医療インフラ維持を同時に実現する機会が広がる可能性があります。買収側は、早期の財務・事業デューデリジェンスを通じて、再生コスト・投資額と期待シナジーを慎重に見極める必要があります。
リスク管理・BCP(事業継続計画)
- 課題
- 感染症の再拡大、自然災害(地震・風水害)、地政学リスク、原材料・エネルギー供給途絶など、ドラッグストア業界を取り巻くリスクは多様化・複雑化しています。ドラッグストアは生活必需品・医薬品を扱う社会インフラとしての側面が強く、災害時にも一定の営業継続が期待される一方で、従業員・顧客の安全確保と事業継続のバランスが課題となります。
- 対応策
- BCPの観点からは、①サプライチェーン多元化(複数の仕入先・物流ルート・倉庫拠点の確保)、②在庫拠点の分散・安全在庫の戦略的設定、③災害時の店舗営業方針・人員配置・営業時間のルール整備、④情報システムのバックアップ・クラウド化・サイバー攻撃時の対応手順などが重要です。また、地域の自治体や医療機関との連携を通じて、災害時の医薬品供給や避難所支援への関与を事前に検討しておくことも、社会的要請への対応として求められます。
- M&A観点
- リスク分散・BCPの観点では、地域・業態・サプライチェーンの多様化を図るM&A戦略が有効です。例えば、特定地域への依存度が高いチェーンが他地域のドラッグストア・調剤薬局を取得して地理的分散を図るケースや、製造・物流・小売を一体で持つグループに参画することで、サプライチェーン全体のレジリエンスを高めるケースなどが考えられます。また、災害対応や情報セキュリティに強みを持つ企業との提携・買収を通じて、グループ全体のBCP能力を底上げするアプローチも検討に値します。
- 参考URL:
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総務省統計局|統計トピックスNo.146 統計からみた我が国の高齢者
国土交通省観光庁|訪日外国人の消費動向
総世帯の健食支出、24年は11%減 | Healthcare News | 健康博覧会 | ひと・社会・地球の健康を考えるビジネストレードショー
ウエルシアHD 決算/2月期当期利益43.5%減、不採算店舗の減損131億円計上 | 流通ニュース
厚生労働省|医薬品医療機器等法違反の疑いがあるインターネットサイトの情報をお寄せください
厚生労働省|医薬品等適正広告基準
東京都|医薬品等適正広告基準について
消費者庁|保健機能食品について
全日本トラック協会|知っていますか?物流の2024年問題
ドラッグストア業界における
M&A活用のメリット
ドラッグストア業界におけるM&A活用のメリットをご紹介します。
- 譲渡側のメリット
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- 後継者問題を解決できる
- 人材の獲得(薬剤師・登録販売者等)
- 事業意欲旺盛な会社との協業により、相互に発展することが可能
- 適切な会社に譲渡すれば、社員の雇用は保証され、成長機会も増える
- オーナー社長は個人保証や担保提供から解放され、ハッピーリタイアができる
- 個人保証や担保提供から解放されたうえで役員等として継続してかかわることも可能
- 地域の医療体制を守り、顧客を守ることができる
- 譲受け側のメリット
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- 売上規模・シェアの拡大・地域補完が見込める
- 立地のよい店舗を一括取得
- 人材の獲得(薬剤師・登録販売者等)
- シナジーの創出
- 事業多角化・新規事業への参入
- バリューチェーンの補完・関連事業領域の拡大
- リスク分散ができる
- コストの削減・財務力強化(仕入れコスト、管理部門コスト、物流コストなど)
売却の無料相談
買収の無料相談
ドラッグストア業界で
M&Aを実行する際のポイント
ドラッグストア業界でM&Aを実行する際に注意すべきポイントには、下記のようなものがあります。
- 仕入れ先などとの関係
- 有資格者の状況(人数・年齢・給与・継続雇用の可否)
- 在庫管理・評価(過剰在庫を抱えていないか)
- 財務問題
- 労務問題
- コンプライアンス
- ガバナンス・管理体制
ここでは一般的なポイントをご紹介させていただいておりますが、実際には、個別事情を勘案すると大きく変わります。また、業界によっては独自の規制や商習慣が存在するため、M&Aの仲介を行ううえで、それぞれの業種・業界の特性を正しく理解していることが非常に大切です。日本M&Aセンターでは各業界に精通したコンサルタントが所属しているため、専門性の高いサービスを提供させていただくことが可能です。
当社では秘密保持を厳守のうえ、個別相談を無料でお受けしています。当社は全国に拠点を展開しております。気になることがありましたら、お気軽にお問い合わせください。
ドラッグストア業界における
M&Aの価格相場
ドラッグストア業界のM&Aにおける価格や相場感について説明いたします。まず、中小企業のM&Aには明確な相場が存在せず、最終的な価格は売り手と買い手の交渉によって決まることが特徴です。M&Aの価格は、業種や企業の規模、人材の質、財務状況、ブランド力、将来性、市場環境など、多岐にわたる要素によって変動します。そのため、個別の状況を考慮しながら価格が算出されることになります。
M&Aの価格算定にはいくつかの評価方法がありますが、その中の一つに「取引事例法」があります。取引事例法は、過去のM&A事例の中から、事業内容や地域、財務指標が似ている企業の売買実績を基に価値を評価する方法です。取引事例法において重要なのは、類似の取引事例を参考にすることですが、類似条件を見つけるためには、相当数の事例を蓄積する必要があります。非上場企業のM&Aの多くが非公開情報であることから、他社の実績を参考にすることはハードルが高い方法でもあります。その点、日本M&Aセンターでは、M&Aにおいて成約実績10,000件超、M&A成約件数で世界No.1*のギネス世界記録™に5年連続で認定されるなど、豊富な実績があります。事業内容や地域、財務指標に基づく似た会社の売買事例を選定し、一定のルールに従って公正な価値評価を行うことが可能です。こちらから当社の株価算定シミュレーションを体験することができます。
※ギネス世界記録™:M&Aフィナンシャルアドバイザリー業務の最多取扱い企業 2020~2023年に続き、5年連続でギネス世界記録™に認定
次に、より高い評価を得て会社を高く譲渡売却するためには、よりシナジーのある買い手を見つけることが重要です。M&Aの最終価格は、売り手企業と買い手企業の交渉によって決まるため、買い手が「この会社が欲しい」と思う要素を増やしていく必要があります。例えば、現在、ドラッグストア業界の市場では人材不足が全体的な問題となっており、若くて優秀な人材を採用できる利点がある場合、買い手企業にとってM&Aの魅力が増します。
さらに、コンプライアンスやガバナンスに関する問題も重要な要素です。具体的には、顧客とのトラブルが存在しないか、社会保険への適切な加入状況が確認されることが求められます。これらの問題があると、潜在的な費用や負債として見なされ、価格交渉において不利な要因となり得ます。これらの要素が事前にクリアである場合、買い手企業も安心してM&Aを進めることができ、価格交渉もスムーズに進行しやすくなる傾向があります。
最後に、M&Aを成功させるためには、総合的に企業の魅力を高める努力が欠かせません。これは、価格評価への影響だけでなく、交渉の流れにも深く関わる要素であるといえるでしょう。
なお、実際には個別の業種や取引環境等によって価格相場は変動しますし、場所や経営状態によっても大きく左右されます。初期的なご相談や、簡易的な株価診断は無料にておこなっておりますので、よりくわしく評価や課題について聞きたい方は、弊社コンサルタントから詳細をご説明いたしますので、お気軽にご相談ください。
株式会社日本M&Aセンター
業界別M&Aレポート編集部は、日本M&Aセンターの社員によって執筆・運営されています。各業界・業種のM&Aや事業承継に関する情報、トピックをお届けします。
ドラッグストア業界の
最新M&A事例を解説
近年に実施されたドラッグストア業界のM&A事例をご紹介します。ドラッグストアの市場規模が年々拡大し、店舗数が増加する一方、競争が激化し、統合や再編などによりプレイヤーは集約されつつあります。大手企業は、M&Aによる規模・エリア拡大を積極的に取り入れ、中小規模のドラッグストアの中には、M&A等によって単独資本経営から大手傘下に入ることで事業再生を行う事例が増えています。薬剤師の需要は増え、とくに地方での薬剤師不足が進んでおり、人材獲得の面でも競合が生じやすくなっています。
ドラッグストア×ドラッグストア
イオン傘下のウエルシアHDとツルハHDが経営統合へ
- 株式交換
- 株式会社ツルハホールディングス(3391)、ウエルシアホールディングス株式会社(3141)
経営統合の概要
スキーム:株式交換、経営統合 実行時期:2025年12月予定
2025年4月11日、イオン株式会社は、傘下のウエルシアホールディングス株式会社(以下:ウエルシアHD)と、約20%を出資する株式会社ツルハホールディングス(以下:ツルハHD)の経営統合を発表しました。
2027年末としていた当初目標を2年前倒しし、2025年12月の統合を予定しています。
ツルハグループは、1929年に北海道旭川市で創業し、「ツルハドラッグ」をはじめとするドラッグストアの運営を行っています。
イオンは、「AEON」などの総合スーパーや食品スーパーを全国展開する会社で、国内流通の大手企業です。
ウエルシアグループは、調剤薬局業界、ドラッグストア業界の大手。「ウエルシア薬局」「HAC」など調剤薬局を併設したドラッグストアチェーンを展開しています。
イオン、ツルハHDおよびウエルシアHDは、本経営統合が、地域生活者のより高次なヘルス&ウエルネスを実現することにつながることになると判断しました。
ツルハHDおよびウエルシアHDの2社を合わせると、売上高は約2兆円、店舗数は約5,500を超えることになります。
今回の経営統合により、日本最大のドラッグストア連合体を創成し、競争力の獲得、アジアNo.1のグローバル企業への成長を目指します。
食料品小売×ドラッグストア
サンドラッグ、子会社の合同会社サンドラッグ酒店を吸収合併
- 譲渡企業
- 合同会社サンドラッグ酒店(東京都府中市)
- 譲受け企業
- 株式会社サンドラッグ(9989)
M&Aの概要
スキーム:吸収合併 実行時期:2025年3月31日
2025年3月31日、株式会社サンドラッグが、完全子会社である合同会社サンドラッグ酒店を吸収合併しました。サンドラッグを存続会社とする吸収合併方式で、本件により、合同会社サンドラッグ酒店は解散することになりました。
サンドラッグは、薬局の経営並びに医薬品の販売・卸売業を行っています。
合同会社サンドラッグ酒店は、酒類販売業を営んでいます。
本合併により、サンドラッグは、酒類販売業の拡大及び経営の効率化を図ります。
親会社が存続会社となって、子会社を吸収合併するメリットには、コストの削減、事業のシナジー効果の創出、経営の効率化、組織再編の促進などが挙げられます。
親会社と子会社の重複する機能や組織を統合することで、管理コストや人件費などの削減効果が見込めます。また、子会社と親会社間の事業連携を強化し、相乗効果による成長を期待できます。そして、複数の事業を統合することで、より効率的な経営体制を構築できます。これらにより、吸収合併は、組織をシンプルにしたり、グループ全体の体制を強化したりする際に役立ちます。
インターネット関連サービス×ドラッグストア
マツキヨココカラ&カンパニー、化粧品メディア「LIPS」運営会社を買収
- 譲渡企業
- 株式会社AppBrew(東京都文京区)
- 譲受け企業
- 株式会社マツキヨココカラ&カンパニー(3088)、株式会社MCCマネジメント(東京都千代田区)
M&Aの概要
スキーム:株式譲渡 実行時期:2024年12月2日
2024年11月14日、株式会社マツキヨココカラ&カンパニーの子会社である株式会社MCCマネジメントは、化粧品メディア「LIPS」を運営する株式会社AppBrewの全株式を取得し、100%子会社化することで合意しました。株式譲渡は、2024年12月2日に実行されました。
マツキヨココカラ&カンパニーは、マツモトキヨシホールディングスとココカラファインが経営統合してできた会社です。2021年に発足し、現在では日本最大級のドラッグストアグループとして、全国に3,400店舗以上を展開しています。
MCCマネジメントは、グループのマーチャンダイジング戦略の策定と実行を行っています。
AppBrewは、化粧品メディア「LIPS」の運営、及びオンライン広告事業、化粧品販売事業を行う企業です。
マツキヨココカラ&カンパニーグループは、リアル店舗網と「LIPS」の持つ、ユーザーの嗜好、オンライン行動データなどのデジタル技術を融合し、新たな顧客体験を創出することを目指しています。
ドラッグストア業界の
M&Aニュース
ドラッグストア業界のM&Aニュースを表示します。
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2026.1.7
イオン、ツルハHDへのTOBが成立、連結子会社化へ
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2025.12.2
イオン、TOBによりツルハHDを連結子会社化へ
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2025.11.20
総合小売業のフジ、持分法適用関連会社のレデイ薬局をツルハHDへ売却
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2025.10.31
ツルハHD、自動販売機賃貸のセベラルをアイパークへ譲渡
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2025.10.6
クリエイトSDホールディングス、食品スーパー「ヤオハン」の八百半ホールディングスを子会社化
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2025.9.22
マツキヨココカラ&カンパニー、シグマ薬品からドラッグストア事業・調剤薬局事業の一部を譲受け
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2025.9.1
スギHD、患者支援プラットフォーム運営のノックオンザドアを買収
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2025.8.19
スギHD、調剤併設型ドラッグストアのセキ薬品を持分法適用会社化
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2025.8.13
マツキヨココカラ&カンパニー、新生堂薬局を買収
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2025.8.4
クリエイトSDホールディングス、調剤薬局運営のサンエフを子会社化
ドラッグストア業界の
M&A仲介実績
日本M&Aセンターが仲介・支援して成約したドラッグストア業界のM&A案件をご紹介します。
※現在、2025年9月までの実績を掲載しています。次回の更新(2025年10月~12月分)は2026年1月30日以降の予定です。
| 譲渡・売却企業 | 譲受け・買収企業 | |
|---|---|---|
| 2025年9月 | 調剤薬局・ドラッグストア(関東) | 調剤薬局・ドラッグストア(関東) |
| 2025年9月 | 調剤薬局・ドラッグストア(北海道・東北) | 調剤薬局・ドラッグストア(北海道・東北) |
| 2025年6月 | 調剤薬局・ドラッグストア(関西) | 調剤薬局・ドラッグストア(関東) |
| 2025年6月 | 調剤薬局・ドラッグストア(関東) | 調剤薬局・ドラッグストア(関東) |
| 2025年6月 | 調剤薬局・ドラッグストア(関東) | 調剤薬局・ドラッグストア(関東) |
| 2025年6月 | EC販売(関東) | 医薬品卸売(関東) |
| 2025年6月 | 介護・福祉(東海・北陸) | 調剤薬局・ドラッグストア(関東) |
| 2025年3月 | 調剤薬局・ドラッグストア(東海・北陸) | 介護・福祉(東海・北陸) |
| 2025年3月 | 調剤薬局・ドラッグストア(北海道・東北) | 調剤薬局・ドラッグストア(九州・沖縄) |
| 2025年3月 | 調剤薬局・ドラッグストア(関東) | 調剤薬局・ドラッグストア(中国・四国) |
医薬品卸・小売業界の
最新のM&A事例インタビュー
当社の仲介によりM&A・事業承継された事例を、経営者様へのインタビュー形式でご紹介します。
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医薬品×食品、異色のM&A。120年以上の歴史にカイゼンの風を吹き込む
譲渡:宮城県白石市 乾麺(白石温麺、うどん、そば、中華めん)の製造・販売
譲受け:青森県八戸市 ジェネリック医薬品の卸売業ジェネリック医薬品の卸売業を営む八戸東和薬品は、異業種のきちみ製麺を譲受けました。約2年経った現在話を伺いました。
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120年以上の歴史を持つ老舗温麺メーカーが医薬品卸売会社に譲渡した理由
譲渡:宮城県白石市 乾麺(白石温麺、うどん、そば、中華めん)の製造・販売
譲受け:青森県八戸市 ジェネリック医薬品の卸売業120年以上温麺の製造を行う「きちみ製麺」が譲渡先に選んだのは、ジェネリック医薬品の卸売業の会社でした。成約から約2年経った現在について伺いました。
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受け継がれる、“地域医療をサポートする”想い
譲渡:静岡県沼津市 調剤薬局
譲受け:東京都 調剤薬局「地域医療のため、薬局を閉店させてはいけない」という信念を持つ調剤薬局オーナー。「本当の限界が来る前に引き継ぎ手を探したい」とM&A決断に至りました。
ドラッグストア業界の
セミナー情報
当社では、M&Aや事業承継をはじめ、経営に役立つさまざまセミナーを開催しております。ぜひご参加ください。