自動車整備業業界のM&Aと事業承継の動向・案件情報2025年最新版

自動車整備業業界のM&A

自動車整備業業界に関する最新のM&A動向をご紹介します。 近年の市場推移やトピックス、業界再編にまつわる情報、自動車整備業業界の周辺業界を含めたM&A・事業承継の事例をわかりやすく解説しています。 また、日本M&Aセンターが取り扱う最新のM&A案件、当社仲介によりM&Aを実行された経営者様の事例、 各業界の動向やM&A(第三者承継)への理解を深めるセミナー情報などもご紹介します。

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⽬次

自動車整備業業界の概要とM&A動向

自動車整備業界には、自動車修理や点検、整備、ETCやナビといった自動車電装品の整備、自動車の車両や車内の清掃などの事業が含まれています。
自動車整備業は、車がある限り不可欠な業界です。とくに、公共交通機関が発達していない地域や、通勤・通学に車が必須とされる地方では、根強い需要があります。また、法定点検・車検という定期収入モデルが確率されているため、安定した収入源が見込めます。
一方で、中小整備事業者の後継者不足、整備士の高齢化や人材不足などが深刻になっています。
また、設備、資格、顧客がある既存事業は資産価値が高く、M&A対象として注目されています。整備工事業は、中古車小売業界、物流業界・トラック運送業界、タクシー業界などとの業界との相性がよく、需要が高い業種です。

一般社団法人日本自動車整備振興会連合会が発表する自動車特定整備業実態調査によると、2024年度の総整備売上高は6.26兆円で、前年度+5.9%の成長率でした。直近6年間の総整備売上高の推移をみても、2021年度は減少しましたが、その後は3年連続で増加。2024年度までの増減率は、2019年度以降、最大の伸び率となりました。
自動車整備工場の業態は、独立系や街の整備工場である「専業」、他業種との「兼業」、自動車メーカーなどと提携する「ディーラー」、自社の車両を整備する「自家」と多様な形態に分類されます。業態別に前年度と比較すると、専業・兼業、ディーラー、自家、いずれも売上高が増加傾向にありました。

自動車整備業の業態区分

専業 自動車整備業の売上高が総売上高の50%を超える事業場
兼業 兼業部門(自動車販売、部品用品販売、保険、石油販売等)の売上高が総売上高の 50%以上を占める事業場(ディーラーを除く)
ディーラー 自動車製造会社、または国内一手卸売販売会社と特約販売店契約を結んでいる企業の事業場
自家 主として自社が保有する車両の整備を行っている事業場

安定成長しつつも人手不足が課題

利用者の減少、維持費の高騰などにより、新車・中古車販売の販売台数が停滞している一方、自動車整備業界は安定的な成長が続いています。
しかし、設備投資にコストがかかる、経験が豊富な整備士の確保、育成が難しい傾向にあるなどの課題も抱えています。また、近年急速に進化する自動車技術への適応が求められています。車の高度化により、従来のメカニカルな整備技術だけでなく、電子・ITスキルなども求められるようになっています。近年の自動車は電子制御が進化しているため、小規模な専業整備工場では必要な設備や情報を欠いている場合があります。この結果、顧客が整備専業店を選んだにも関わらず、実際には正規ディーラーに入庫され、作業待ちやパーツ入荷待ちとなることがあります。また、整備不良の車両が生じるリスクも高まっています。
これらの課題を解決する手段のひとつとして、M&Aが活用されています。主なM&Aプレイヤーとしては、まず、整備業同士の水平統合があります。これはサービス網の拡大、新規エリア進出などを実現できます。次に、自動車販売店による買収が挙げられます。販売からアフターサービスまで、ワンストップ対応を強化する目的で行われます。ほかには、運送業、リース会社などの関連業種で、整備機能の内製化を図るためのM&Aが挙げられます。

自動車整備業業界における
M&A活用のメリット

自動車整備業業界におけるM&A活用のメリットをご紹介します。

譲渡側のメリット
  • 価格競争力の強化
  • 後継者問題を解決できる
  • オーナー社長は個人保証や担保提供から解放され、ハッピーリタイアができる
  • 個人保証や担保提供から解放されたうえで役員等として継続してかかわることも可能
  • 事業意欲旺盛な会社との協業により、相互に発展することが可能
  • 適切な会社に譲渡すれば、社員の雇用は保証され、成長機会も増える
譲受け側のメリット
  • 売上規模・シェアの拡大が見込める
  • 事業多角化・新規事業への参入
  • 人的リソースを獲得できる
  • バリューチェーンの補完・関連事業領域の拡大
  • リスク分散ができる
  • 財務力強化・コストの削減(仕入れコスト、管理部門コスト、物流コスト等)

自動車整備業業界で
M&Aを実行する際のポイント

自動車整備業業界でM&Aを実行する際に注意すべきポイントには、下記のようなものがあります。

  • 許認可の引き継ぎ(認定工場・指定工場)
  • 取引先等との関係性
  • 顧客リスト(法人顧客の有無)
  • 人的リソース管理(整備士の在籍数と年齢構成)
  • 収益構造(車検比率・整備単価)
  • 土地・工場の所有形態
  • コンプライアンス
  • ガバナンス・管理体制

ここでは一般的なポイントをご紹介させていただいておりますが、実際には、個別事情を勘案すると大きく変わります。また、業界によっては独自の規制や商習慣が存在するため、M&Aの仲介を行ううえで、それぞれの業種・業界の特性を正しく理解していることが非常に大切です。日本M&Aセンターでは各業界に精通したコンサルタントが所属しているため、専門性の高いサービスを提供させていただくことが可能です。
当社では秘密保持を厳守のうえ、個別相談を無料でお受けしています。当社は全国に拠点を展開しております。気になることがありましたら、お気軽にお問い合わせください。

自動車整備業業界における
M&Aの価格相場

自動車整備業業界のM&Aにおける価格や相場感について説明いたします。まず、中小企業のM&Aには明確な相場が存在せず、最終的な価格は売り手と買い手の交渉によって決まることが特徴です。M&Aの価格は、業種や企業の規模、人材の質、財務状況、ブランド力、将来性、市場環境など、多岐にわたる要素によって変動します。そのため、個別の状況を考慮しながら価格が算出されることになります。
M&Aの価格算定にはいくつかの評価方法がありますが、その中の一つに「取引事例法」があります。取引事例法は、過去のM&A事例の中から、事業内容や地域、財務指標が似ている企業の売買実績を基に価値を評価する方法です。取引事例法において重要なのは、類似の取引事例を参考にすることですが、類似条件を見つけるためには、相当数の事例を蓄積する必要があります。非上場企業のM&Aの多くが非公開情報であることから、他社の実績を参考にすることはハードルが高い方法でもあります。その点、日本M&Aセンターでは、M&Aにおいて成約実績10,000件超、M&A成約件数で世界No.1*のギネス世界記録™に5年連続で認定されるなど、豊富な実績があります。事業内容や地域、財務指標に基づく似た会社の売買事例を選定し、一定のルールに従って公正な価値評価を行うことが可能です。こちらから当社の株価算定シミュレーションを体験することができます。

※ギネス世界記録™:M&Aフィナンシャルアドバイザリー業務の最多取扱い企業 2020~2023年に続き、5年連続でギネス世界記録™に認定

あなたの会社の評価額はいくら?

無料で診断(かんたん60秒

あなたの会社が現在どう評価をされるか、ぜひ見てみませんか?

次に、より高い評価を得て会社を高く譲渡売却するためには、よりシナジーのある買い手を見つけることが重要です。M&Aの最終価格は、売り手企業と買い手企業の交渉によって決まるため、買い手が「この会社が欲しい」と思う要素を増やしていく必要があります。例えば、現在、自動車整備業業界の市場では人材不足が全体的な問題となっており、若くて優秀な人材を採用できる利点がある場合、買い手企業にとってM&Aの魅力が増します。
さらに、コンプライアンスやガバナンスに関する問題も重要な要素です。具体的には、顧客とのトラブルが存在しないか、社会保険への適切な加入状況が確認されることが求められます。これらの問題があると、潜在的な費用や負債として見なされ、価格交渉において不利な要因となり得ます。これらの要素が事前にクリアである場合、買い手企業も安心してM&Aを進めることができ、価格交渉もスムーズに進行しやすくなる傾向があります。
最後に、M&Aを成功させるためには、総合的に企業の魅力を高める努力が欠かせません。これは、価格評価への影響だけでなく、交渉の流れにも深く関わる要素であるといえるでしょう。

なお、実際には個別の業種や取引環境等によって価格相場は変動しますし、場所や経営状態によっても大きく左右されます。初期的なご相談や、簡易的な株価診断は無料にておこなっておりますので、よりくわしく評価や課題について聞きたい方は、弊社コンサルタントから詳細をご説明いたしますので、お気軽にご相談ください。

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株式会社日本M&Aセンター

業界別M&Aレポート編集部

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業界別M&Aレポート編集部は、日本M&Aセンターの社員によって執筆・運営されています。各業界・業種のM&Aや事業承継に関する情報、トピックをお届けします。

自動車整備業業界の
最新M&A事例を解説

自動車整備業業界の動向を見るために、近年に実施されたM&A事例をご紹介します。自動車整備士が不足する傾向にあり、人材獲得や業務効率化のためのM&Aや、販売からアフターサービスまでワンストップサービスを提供するためにM&Aが利用されています。

自動車整備×中古車販売
レダックス、自動車整備事業の新興自動車を買収

譲渡企業
新興自動車株式会社(千葉県千葉市)
譲受け企業
株式会社レダックス(7602)

M&Aの概要

スキーム:株式譲渡 実行時期:2024年10月11日

2024年10月11日、株式会社レダックスは、新興自動車株式会社の全株式を取得し、連結子会社としました。

レダックスは、中古自動車の買い取り、販売事業を営むグループの持株会社です。旧社名は株式会社カーチスホールディングス。自動車の買い取り、販売事業を中心に、自動車の流通に関わる事業や子会社の経営管理、経営コンサルティング事業、M&A事業に関するアドバイザリー事業、業務受託ならびに投資及び出資事業を手がけています。
新興自動車は、乗用車の整備(車検整備・一般整備)、販売、レンタルを行う整備事業者。

レダックスは、2024年9月1日に、「株式会社カーチスホールディングス」から「株式会社レダックス」に商号変更しました。商号変更は、レダックスの親会社である株式会社レダグループホールディングスのグループ会社として、事業セグメントの無限化・多様化・スピード化による成長戦略を明確にすることを目的としています。
レダックスの連結子会社である株式会社カーチスは、中古乗用車の買い取り・販売を全国展開しており、千葉県においては、カーチス千葉中央販売センターを千葉県千葉市中央区にて運営しています。
今回グループ入りした新興自動車は、千葉市稲毛区の自動車整備指定工場として61年の歴史を持ち、地元に密着した整備事業を行っています。本件M&Aは、事業基盤を強化したい新興自動車と、千葉市周辺の拠点網の充実を狙ったレダックスの意向が合致し、株式譲渡に至りました。
新興自動車がレダックスグループに参画することで、レダックスグループとの事業シナジー効果が期待でき、事業基盤の強化を図ります。

自動車整備(輸入車)×中古車販売
カレント自動車、輸入車整備に特化したFC展開を行うICINを吸収合併

譲渡企業
ICIN株式会社(神奈川県川崎市)
譲受け企業
カレント自動車株式会社(7690)

M&Aの概要

スキーム:株式交換、吸収合併 実行時期:2023年11月1日

2023年11月1日、カレント自動車株式会社は、連結子会社のICIN株式会社との間で、株式交換および本合併を実施しました。

カレント自動車は、自動車の買い取り・販売事業、IT事業、パーツサプライ事業などを展開する企業です。輸入車や旧車に特化した買い取りサービス「外車王」や「旧車王」を運営し、ITを活用した自動車再生事業を推進しています。 ICINは、輸入車整備工場運営のフランチャイズ展開をおこなっています。加盟店に、輸入車整備工場の運営に関するノウハウ・技術・研修・ツールを提供しています。

カレント自動車を株式交換完全親会社、ICINを株式交換完全子会社とする株式交換を行い、カレント自動車を吸収合併存続会社、ICIN社を吸収合併消滅会社とする吸収合併を実施し、ICIN社は解散しました。
カレント自動車は、本株式交換および本合併を実施することにより、グループ全体の経営の効率化を図る意図があります。
また、従来の自動車の買い取り・販売事業、IT事業、パーツサプライ事業に、整備事業が加わることで、購入後のアフターサービスまでワンストップでの提供が可能となります。経営資源を集中させることで、顧客のニーズに迅速に応えることができ、事業の効率化と競争力の強化を狙っています。

自動車整備×中古車販売
カレント自動車、自動車整備事業を行うカレントテックセンターを吸収合併

譲渡企業
株式会社カレントテックセンター(神奈川県川崎市)
譲受け企業
カレント自動車株式会社(7690)

M&Aの概要

スキーム:吸収合併 実行時期:2022年10月31日

2022年7月22日、カレント自動車株式会社は、連結子会社である株式会社カレントテックセンターを吸収合併することを決定しました。
カレント自動車を存続会社とする吸収合併方式とし、実行日の2022年10月31日をもって、カレントテックセンターは解散します。

カレント自動車は、自動車の買い取り・販売事業、IT事業、パーツサプライ事業などを展開する企業です。輸入車や旧車に特化した買い取りサービス「外車王」や「旧車王」を運営し、ITを活用した自動車再生事業を推進しています。
カレントテックセンターは、自動車の修理・整備事業を行っています。

本件により、カレント自動車は、経営資源の集中と組織運営の効率化、および整備事業の強化を図ります。これまでカレントテックセンターで運営していた整備事業は、今後カレント自動車が運営を継続しています。今回の合併によって、整備事業を自社内に統合することで、グループ運営を効率化する意向があります。

自動車整備×自動車部品等販売
SPK、自動車整備事業のデルオートの全株式取得、子会社へ

譲渡企業
株式会社デルオート(神奈川県厚木市)
譲受け企業
SPK株式会社(7466)

M&Aの概要

スキーム:株式譲渡 実行時期:2021年12月22日

2021年12月22日、SPK株式会社は、株式会社デルオートの全株式を取得し、子会社としました。

SPK株式会社は、自動車部品・用品や産業車両部品の商社で、国内外の自動車部品を扱う会社です。設立は1917年で、100年以上の実績があります。
デルオートは、創業以来、主に自動車トランスミッションの修理サービスとリビルトや自動車整備事業を行っています。

本件M&Aによりデルオートを子会社化したことで、SPKおよびグループは、主要な事業領域であるモビリティビジネスの自動車整備・補修などアフターマーケットにおいてシナジー効果創出を目指します。

自動車整備業業界の
M&A仲介実績

日本M&Aセンターが仲介・支援して成約した自動車整備業業界のM&A案件をご紹介します。
※現在、2025年9月までの実績を掲載しています。次回の更新(2025年10月~12月分)は2026年1月30日以降の予定です。

譲渡・売却企業 譲受け・買収企業
2025年9月 理美容(北海道・東北) セールスプロモーション(関東)
2025年9月 測量・地質調査(中国・四国) 建築工事(中国・四国)
2025年9月 測量・地質調査(中国・四国) 舗装工事(九州・沖縄)
2025年9月 産業廃棄物処理(東海・北陸) 産業廃棄物処理(関東)
2025年9月 産業廃棄物処理(関東) 産業廃棄物処理(関東)
2025年9月 法人向けサービス(関東) 会計事務所(関東)
2025年9月 エンターテインメント(中国・四国) エンターテインメント(中国・四国)
2025年9月 法人向けサービス(関東) 自動車小売(関西)
2025年9月 理美容(九州・沖縄) 理美容(関東)
2025年9月 法人向けサービス(関東) 理美容(関東)

自動車整備業業界を含むその他サービス業のM&A仲介実績一覧

自動車整備業業界の
最新のM&A事例インタビュー

当社の仲介によりM&A・事業承継された自動車整備業業界の事例を、経営者様へのインタビュー形式でご紹介します。

自動車整備業業界のM&A事例インタビュー一覧

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