M&Aニュース

アダストリア、子会社のゼットンを株式交換により完全子会社化

更新日:

株式会社アダストリア(2685)及び株式会社ゼットン(3057)は、2024 年3月21日開催の両社の取締役会において、アダストリアを株式交換完全親会社とし、ゼットンを株式交換完全子会社とする株式交換を行うことを決議し、両社間で株式交換契約を締結した。

本件株式交換は、アダストリアにおいては会社法第796条第2項の規定に基づく簡易株式交換の手続により、株主総会の決議による本件株式交換契約の承認を得ずに、ゼットンにおいては 2024 年4月 25 日に開催予定のゼットンの定時株主総会の決議による本件株式交換契約の承認を得た上で、2024 年6月1日を本件株式交換の効力発生日として行う予定。

なお、本件株式交換の効力発生日(2024 年6月1日を予定)に先立ち、ゼットンの株式は株式会社名古屋証券取引所ネクスト市場において 2024年5月30日付で上場廃止(最終売買日は2024年5月29日)となる予定である。

アダストリアは、アダストリア及びその連結子会社 17 社、持分法適用関連会社1社(以下、総称して「アダストリアグループ」)により構成される。アダストリアでは、「グローバルワーク」、「ローリーズファーム」、「レプシィム」、「ジーナシス」、「レイジブルー」などのカジュアルファッションブランド、「ニコアンド」、「スタディオクリップ」、「ベイフロー」などのライフスタイル提案型ブランド、「アプレジュール」などの EC 専業ブランド、「カオス」及び「カレンソロジー」などの洗練された大人に向けたブランドなど、様々なブランドを展開している。

ゼットンはゼットン及びその連結子会社1社により構成され、「国内商業タウン再生事業」、「海外商業タウン再生事業」「公園再生事業」の事業区分にて推し進めている。ゼットンは、今後、中長期的な経営戦略の一つとして、ゼットンが有するブランド力を最大限に活かし、新たなビジネスモデルの構築を行うと同時に、サステナブル戦略に基づく街づくりを、既存事業の磨き込みを軸として、持続可能な社会の実現と永続的な企業価値の向上を目指している。

本件株式交換による完全子会社化の目的

アダストリアは飲食事業の拡大に向けて、既存の経営資源を利用した現状の延長線上での成長ではなく、他社との提携や M&A による成長の可能性を幅広く検討していた。そして、アダストリアとゼットンは、アダストリアが飲食事業を立ち上げた 2017 年 10月下旬から、経営テーマに関して議論を行うなど、取締役を中心に交流があったところ、アダストリアがライフスタイル提案を目指す中で、ゼットンのブランドや商品、サービスといったコンテンツは、内装の一つ一つにこだわりを感じさせるクオリティの高い空間デザインを有しているとの評価を行っており、アダストリアがターゲットとする、日常の洋服に気を配るといった消費行動を持つファッション感度の高い消費者層への訴求力があり、こだわりのある内装から醸し出されるスタイリッシュな空気感もアダストリアのブランドとの親和性が高いとの評価を行っていた。

ゼットンは、新型コロナウイルス感染症の収束後においても、さらなる事業成長および企業価値向上のためには、他業種も含めた外部連携が必要との認識の下、2021 年1月上旬より、独自に他社との資本提携を含めた様々な選択肢の検討を開始し、その後、2021年12 月14 日付で両社は資本業務提携契約を締結するとともに、2021年12月から2022年2月にかけて実施された第三者割当増資および公開買付けを経て、アダストリアはゼットンの普通株式 3,289,400 株(2024 年1月 31 日現在の発行済株式総数 6,449,766 株(自己株式を除く)に占める議決権数の割合にして51.00%)を保有するに至り、連結子会社としている。

その後、両社間においては資本業務提携契約に基づいた施策について検討を進めてきた。

ゼットンが属する外食産業においては、急激な物価上昇や慢性的な労働力不足、IT 活用の遅れなどが引き続き課題となっており、ゼットンにおいてもこれらの課題に対する施策の遂行が急務となっていた。また、事業機会への投下資金の確保においては、外食産業に対する金融機関への融資姿勢は引き続き慎重であることから、機動的かつ十分な資金を確保するハードルが高い状況にあった。

このような状況を踏まえ、アダストリアとしては、本提携施策のみならず上記ゼットンにおける成長に資する事業機会を積極的かつスピーディに推進することは、長期的な両社の企業価値の向上に資すると考えるに至った。

一方、これらの施策は短期的には設備投資や費用の増加を伴い業績や経営指標の低下によりゼットンの少数株主の利益を損なう可能性があり、また、ゼットンにおいては上場企業として親会2 社であるアダストリアから独立した経営が行われ、アダストリアとの取引においては利益相反を回避するために慎重な検討を要する点から、積極的かつスピーディな実行が困難な状況にあった。

そこで、アダストリアとしてはゼットンを完全子会社化することによりこれらの課題を解決し、中長期的な両社の企業価値の向上を実現できると判断するに至り、2023年11月下旬よりアダストリアとゼットンとの間で本件株式交換に関する具体的な協議が開始され、ゼットンにおいては親会社で支配株主であるアダストリアとの協議開始にともない、本件株式交換の公正性を担保するため、本件株式交換の検討にあたり必要となる独立した検討体制の具体的な内容について検討し、当該検討体制を適切に構築した上、本件株式交換に係る具体的検討を開始することとした。

具体的検討を開始するに際しゼットンは、アダストリアからの提案に対するゼットン取締役会における意思決定過程の公正性、透明性及び客観性の確保並びに意思決定の恣意性の排除を目的として、2023年12月14日に支配株主であるアダストリアとの間で利害関係を有しない独立した委員から構成される拡大特別委員会を設置し、併せて外部専門家を起用する等の具体的検討に向けた体制を整備した。

その後、アダストリアは2023年12月27日付でゼットンに対し株式交換による完全子会社化を提案する旨の意向表明書を提出した。 ゼットンは上記体制のもとアダストリアからの提案について慎重に検討した結果、ゼットンは、アダストリアの完全子会社となることで、従来以上に両社の連携を緊密化して、ゼットンの事業を拡大していく機会を図るとともに、資本業務提携契約における施策の実行を更に迅速化し、さらに、アダストリアグループの有する商品開発やマーケティングのノウハウ、人材、資金力、国内外のネットワーク等の経営資源をより一層活用することにより、両社グループの中長期的な視点に立った経営戦略を機動的かつ迅速に実現することが可能となるため、本件株式交換はゼットンの企業価値の向上に資するとの認識に至った。

本件株式交換の日程

本件株式交換契約承認定時株主総会基準日(ゼットン) 2024年1月31日
本件株式交換契約承認取締役会(両社)2024 年3月21日
本件株式交換契約締結日(両社) 2024 年3月21日
定時株主総会決議日(ゼットン) 2024 年4月25日(予定)
最終売買日(ゼットン) 2024 年5月29日(予定)
上場廃止日(ゼットン) 2024 年5月30日(予定)
本件株式交換の効力発生日 2024 年6月1日(予定)

本件株式交換の方式

アダストリアを株式交換完全親会社、ゼットンを株式交換完全子会社とする株式交換となる。本件株式交換は、アダストリアについては会社法第796条第2項の規定に基づく簡易株式交換の手続により株主総会の承認を得ずに、ゼットンについては2024年4月25日に開催予定の定時株主総会において承認を受けた上で、2024 年6月1日を効力発生日とする予定。

ファッション・生活用品小売業界のM&A・事業承継の動向はこちら

飲食店業界のM&A売却・事業承継案件

日本M&Aセンターでは、飲食店業界をはじめ、譲渡案件情報を常時ご紹介しております。ご興味のある案件がありましたら、ぜひお問い合わせください。

アダストリア・ゼットンに関連するM&Aニュース

アダストリア、TODAY'S SPECIAL事業及び GEOROGE'S事業を吸収分割により承継する会社の株式取得(子会社化)へ

株式会社アダストリア(2685)は、2024年4月17日開催の取締役会において、株式会社ウェルカム(東京都目黒区)が運営するTODAY'SSPECIAL事業及びGEOROGE'S事業を、吸収分割により承継する会社(以下「対象会社」)の全株式を取得し、子会社化することについて決議した。なお、本件は、ウェルカムの100%子会社である株式会社トゥデイズスペシャル(東京都目黒区)に対して、吸収分割の方法に

アダストリア、カジュアルウェア販売ライセンス事業のGate Winを吸収合併へ

株式会社アダストリア(2685)は、2024年3月1日を効力発生日として完全子会社である株式会社GateWinを吸収合併することを決議した。アダストリアを存続会社とする吸収合併方式で、GateWinは解散する。アダストリアは、カジュアル衣料・生活雑貨・服飾雑貨等の小売業を行う。GateWinは、日本国内におけるカジュアルウェア販売のライセンス事業を行う。アダストリアグループは、2026年2月期を最

アダストリア、連結子会社BUZZWITを通じてオープンアンドナチュラルの全株式取得

株式会社アダストリア(2685)は、連結子会社である株式会社BUZZWIT(東京都港区)を通じて株式会社オープンアンドナチュラル(東京都千代田区)の全株式を取得し、連結子会社(孫会社)化することを決定した。アダストリアは、衣料品・雑貨等の企画・製造・販売を行っている。連結子会社BUZZWITは、ロープライス市場向けEC専業ブランドを展開。衣料品・雑貨などの企画・製造・販売を行っている。オープンアン

アダストリア、ゼットンを連結子会社化

株式会社アダストリア(2685)は、株式会社ゼットン(3057)が実施する第三者割当増資の引受けを行うこと、ならびに本取引に係る諸条件について定めた資本業務提携契約を締結することを決定した。本件に伴い、アダストリアは、ゼットンの議決権の40%から過半数を取得、ゼットンを連結子会社とする。本第三者割当増資において、払込価格は1株につき797円。本公開買付価格は、普通株式1株あたり950円。応募株券等

アダストリア(2685)、米国のコンテンポラリーアパレル会社Velvet, LLCの全持分取得へ

アダストリア(2685)は、Velvet,LLC(米国カリフォルニア州、VV社)の全持分を100%子会社であるAdastriaUSA,Inc.を通じて取得することを決定し、VV社持分の現保有者全員と合意した。取得価額は4,144百万円。VV社は、米国コンテンポラリーアパレル市場において39.6百万米ドルのビジネスを展開しているアパレル会社。本件M&Aにより、アダストリアは、VV社のビジネスの更なる

この記事に関連するタグ

「買収・株式交換」に関連するコラム

株式交付とは?株式交換との違いやM&Aで活用するメリット・注意点を詳しく解説

M&A全般
株式交付とは?株式交換との違いやM&Aで活用するメリット・注意点を詳しく解説

株式交付制度は、令和3年3月1日に施行された「会社法の一部を改正する法律案」で、企業買収の手続きを合理化することを目的として新たに創設されました。本記事では、株式交付の仕組みや基本的内容を整理し、既存の株式交換との違いや、M&Aで活用する場合のメリット、注意すべき点について詳しくご紹介します。株式交付とは?株式交付は、M&Aなどにおいて買い手(譲受け企業)が他社を子会社化するために支払う対価として

買収とは?目的やメリット、手法、流れをわかりやすく解説

M&A全般
買収とは?目的やメリット、手法、流れをわかりやすく解説

事業構造、産業構造が大きく変化する今、「買収」を検討している企業が年々増加しています。本記事では買収の概要、メリット、進める流れについてご紹介してまいります。買収とは「買収」とは、他の企業の株式取得を通じて、経営権を獲得することを指します。新たに自社で事業を立ち上げる場合に比べて、既にその事業分野で実績のある企業を取得するため、スピーディーに展開できる点が特徴です。買収をご検討の方は、希望条件(地

TOB(株式公開買付け)とは?目的や流れ、企業事例を解説!

M&A全般
TOB(株式公開買付け)とは?目的や流れ、企業事例を解説!

東京証券取引所の市場再編やPBR(株価純資産倍率)改善要請を背景に、成長を意識した買収、上場企業へのTOB(株式公開買い付け)の動きが活発化しています。本記事ではTOBの概要や主な流れ、メリット、企業事例をご紹介します。日本M&Aセンターでは、M&Aをはじめ様々な経営課題の解決に向けて専門チームを組成し、ご支援を行っています。詳しくはコンサルタントまでお問合せください。無料相談はこちらTOB(株式

コングロマリットとは?メリットや企業事例を紹介

M&A全般
コングロマリットとは?メリットや企業事例を紹介

不透明な時代を生き抜くための戦略として、コングロマリット型経営は注目されており、国内ではその動きが活発化しています。本記事では、コングロマリットの特徴やメリットなどについて解説していきます。日本M&Aセンターでは、M&Aをはじめ様々な経営課題の解決に向けて専門チームを組成し、ご支援を行っています。詳しくはコンサルタントまでお問合せください。無料相談はこちらコングロマリットとはコングロマリット(co

新NISAがM&Aのきっかけ?ドコモのマネックス証券子会社化を解説

M&A全般
新NISAがM&Aのきっかけ?ドコモのマネックス証券子会社化を解説

業界経験豊富なM&Aのスペシャリストが、世の中の企業のM&Aの動きについて、プレスリリースを紐解き解説する「M&Aニュースサテライト」。今回はNTTドコモとマネックスグループ・マネックス証券のニュースを解説します。※本記事はYouTube動画の内容を抜粋・編集してご紹介します。日本M&Aセンターは上場企業、中堅・中小企業のM&A・企業戦略を経験・実績豊富なチームがご支援します。ご相談は無料、秘密厳

敵対的買収とは?仕組みやメリット、防衛策、企業事例を解説

M&A全般
敵対的買収とは?仕組みやメリット、防衛策、企業事例を解説

買収は「敵対的買収」と「友好的買収」の2つに大別できます。日本における企業買収の大半は友好的買収によって行われますが、稀に敵対的買収が行われることもあります。本記事では、敵対的買収の概要、敵対的買収を仕掛けられた側の防衛策、企業事例などをご紹介します。日本M&Aセンターでは、友好的M&Aをはじめ様々な経営課題の解決に向けて専門チームを組成し、ご支援を行っています。詳しくはコンサルタントまでお問合せ

「買収・株式交換」に関連する学ぶコンテンツ

M&Aスキームとは?種類別に公認会計士が解説!

M&Aスキームとは?種類別に公認会計士が解説!

M&Aを行うスキーム(手法)は様々に存在し、最適な選択が成功の鍵を握ります。本記事では中堅・中小企業のM&Aで用いられる代表的なスキームの特徴、メリット・デメリットなどをご紹介します。日本M&AセンターではM&Aに精通した公認会計士・税理士・弁護士など専門家を含めた盤石の体制で安全・安心のM&Aをサポート致します。詳しくはコンサルタントまでお問合せください。無料相談はこちらM&Aにおけるスキームと

譲渡企業(買収先)の探し方。ロングリスト、ショートリストとは

譲渡企業(買収先)の探し方。ロングリスト、ショートリストとは

M&A仲介会社などパートナーを選定したら、次は買収先、つまり譲渡企業(売り手)を探すステップに移ります。お相手探しは主に2つの方法で行われます。それぞれについて詳しく見てまいりましょう。買収をご検討の方は、希望条件(地域、業種など)を登録することで、条件に合致した譲渡案件のご提案や新着案件情報を受け取ることができます。まずは登録から始めてみませんか?買収希望条件の登録(無料)はこちら譲渡企業の探し

譲受け企業(買い手)がM&Aで押さえておきたいポイントとは?

譲受け企業(買い手)がM&Aで押さえておきたいポイントとは?

一言でM&Aといっても、買収戦略を実行していく譲受企業(買い手)側には様々な目的があります。M&Aの成功に向けて、押さえておきたいポイントを確認していきましょう。【登録無料】買収をご検討の方は、希望条件(地域、業種など)を登録することで、条件に合致した譲渡案件のご提案や新着案件情報を受け取ることができます。まずは登録から始めてみませんか?買収希望条件の登録はこちらM&A実行の目的・メリット一般的に

M&Aで失敗したくないなら、まずは日本M&Aセンターへ無料相談

M&Aニュース検索

注目のM&Aニュース

最新のM&Aニュース

日付別M&Aニュース

2024年3月
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31

月別M&Aニュース

注目ニュースワード