トラック運送業界のM&Aと事業承継の動向・案件情報2025年最新版
トラック運送業界に関する最新のM&A動向をご紹介します。 近年の市場推移やトピックス、業界再編にまつわる情報、トラック運送業界の周辺業界を含めたM&A・事業承継の事例をわかりやすく解説しています。 また、日本M&Aセンターが取り扱う最新のM&A案件、当社仲介によりM&Aを実行された経営者様の事例、 各業界の動向やM&A(第三者承継)への理解を深めるセミナー情報などもご紹介します。
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トラック運送業界の概要とM&A動向
トラック運送業界には、企業間の調達物流や販売物流を、トラックを用いて請負う事業や、主に一般消費者を対象として比較的小さい荷物を配送する事業、個人や法人の住居や拠点の引越し・移転に関するサービスを提供する事業などが含まれています。
トラック輸送は日本の輸送ニーズに非常に適しており、国内物流において重要な役割を担っています。市場規模は約19兆円にも達し、産業活動や国民生活に不可欠な存在です。しかしながら、ドライバーの労働時間規制が施行され、さらなる働き方改革や賃金の引き上げが求められています。政府も物流革新に向けた政策を進め、業界と協力してドライバーの労働環境の改善に取り組んでいます。
トラック運送業界は2024年に大きな転換点を迎えました。「2024年問題」として労働時間の制限やドライバー及び後継者不足が顕著になっています。2024年から年960時間の上限規制が導入されたことで、売上や利益の減少のリスクが高まり、長時間労働と低賃金が続く中でドライバー不足が深刻化しています。また、近年は価格競争の激化や安全装備の導入に伴うコスト増加も問題です。中小事業者の参入により競争が激化し、利益が圧迫されています。さらに、燃料価格の上昇も影響を与え、運送会社の利幅を減少させています。
このような状況下で、運送会社のM&Aが注目を集めています。M&Aを通じて同業他社を買収することで、コストを抑えつつ迅速にリソースを確保することが可能です。加えて、後継者不足による廃業を防ぐために、自社を売却することで取引先との関係を維持し、従業員の雇用を守ることができます。
これらの課題に対して、M&Aが積極的な解決策として期待されています。M&Aにより、人材や車両の確保がスムーズになり、売却側にとっても従業員の雇用維持や後継者問題の解決が図れます。また、買う側には新規参入リスクの低減や既存事業の拡大といったメリットがあり、業界全体の改革と成長に寄与する可能性があります。
トラック運送業界をとりまく環境
トラック運送業界は、日本の国内貨物輸送の中核として、製造業・小売業・建設業など多様な産業を支えるインフラ的な役割を果たしています。道路貨物輸送は、鉄道や内航海運と比較して小口多頻度・短納期に強みがあり、特にラストワンマイル領域では代替手段が限られていることから、今後も一定の需要が継続すると見込まれます。一方で、人口減少・ドライバー不足・環境対応・2024年問題など、構造的な課題も顕在化しており、業界を取り巻く環境は中長期的な転換期にあるといえます。
以下では、市場規模・事業者構造・需要要因・制度・サプライチェーン・人材・ガバナンスの観点から、トラック運送業界を取り巻く環境を整理し、あわせて各論点がM&Aに与える示唆も整理します。
市場規模・輸送量・取引構造の動向
国土交通省の自動車輸送統計調査によると、2022年度の自動車による貨物輸送量は約38億トン、輸送トンキロベースでは約2,268億トンキロとなっており、前年度比ではトン数ベースで約1.6%減、トンキロベースで約1.2%増と報告されています。新型コロナウイルス感染症の影響で一時的に減少した貨物量は、2021年度以降低水準ながらも持ち直しつつあり、EC需要の伸長やサプライチェーン再構築などの要因も相まって、輸送トンキロは中長期的にはほぼ横ばいからやや増加基調にあると整理できます。
品目別・業態別にみると、BtoB向けの調達・販売物流では製造業向け部品輸送や建設資材輸送などが依然としてボリュームの中核を占める一方、BtoC向けでは宅配便・小口配送の比重が高まり、宅配便取扱個数はコロナ禍を経て高水準で推移しています。国土交通省や全日本トラック協会の資料では、宅配便の再配達率や荷物1個あたりの単価なども公表されており、物量増に対して収益性の改善が追いついていない構図がうかがえます。
価格面では、日本銀行「企業向けサービス価格指数」において道路貨物輸送の指数は2015年を100とした場合、2023年時点で110前後と全体平均108〜109をやや上回る水準にあります。ただし、燃料・人件費などのコスト上昇を十分に反映した水準とは言い難く、中小企業庁等の調査ではトラック運送業のコスト転嫁率が全27業種中最下位という結果も示されています。コスト増に対する運賃改定の難しさが続いていることが特徴です。
チャネル別には、大手荷主との長期契約・元請け取引に加えて、地域の中小荷主やEC関連荷主との直接取引、3PLや荷主系物流子会社を介した取引など、複数のチャネルが混在しています。荷主の物流アウトソーシング志向は中長期的に続くと見込まれる一方で、2024年問題をきっかけに、リードタイム延長や納品条件見直しなど、荷主側の行動変容も徐々に進みつつあります。
- M&A観点
- 市場全体としては大きく縮小しているわけではなく、構造変化とコスト圧力が同時進行している局面です。物量自体は底堅い一方で、価格転嫁の遅れが採算を圧迫しているため、スケールメリットやネットワーク補完を通じて単位コストを下げられる企業や、荷主との交渉力を高められる規模・ブランドを持つ企業が、M&Aのターゲットとして重要になります。特に、EC・ラストワンマイル・冷凍冷蔵・危険物など成長領域に強い事業者の評価は高まりやすいと考えられます。
事業者数・設備・拠点構造の動向
トラック運送業は、中小・零細事業者が多数を占める典型的な分散業種です。全日本トラック協会や国土交通省の資料によると、一般貨物自動車運送事業者の多くは従業員数が数十人以下の小規模事業者であり、車両台数も数台〜数十台規模にとどまるケースが一般的です。一方で、全国ネットワークを持つ大手・準大手グループや宅配便大手、メーカー系・小売系の物流子会社など、上位層の寡占化も徐々に進行しており、二極化が進む構造となっています。
設備面では、大型・中型・小型トラックに加え、冷凍冷蔵車、ウイング車、ユニック車、タンクローリー、危険物車両など、多様な車両が活用されています。環境・安全対応の観点から、衝突被害軽減ブレーキやドライブレコーダー、デジタルタコグラフなどの装備が標準化しつつありますが、中小事業者では更新投資負担が課題となっています。
拠点構造としては、幹線輸送を担う広域拠点、地域密着型の営業所、ラストワンマイル配送用の小型拠点、倉庫・3PL機能を兼ね備えた物流センターなどが組み合わされ、ネットワークを構成しています。都市部周辺では物流施設の賃料上昇や用地取得難が続いており、郊外立地やマルチテナント型物流施設の活用が進んでいます。
- M&A観点
- 車両・拠点・倉庫などのハード資産は、一体としてのネットワーク価値が高い一方、個別に再構築すると時間とコストを要します。そのため、特定エリアに強い中堅事業者や、冷凍冷蔵・危険物などの専門車両・設備を備えた事業者をグループに取り込むことで、短期間でネットワークと機能を拡張できる点がM&Aの大きな魅力になります。老朽設備の更新負担を抱える事業者にとっても、グループ入りによる投資負担の平準化は承継動機となり得ます。
需要側ファクター:人口動態・産業構造・ライフスタイル
総務省統計局の人口推計によると、2024年10月1日時点の日本の総人口は約1億2,380万人で、14年連続の減少となっています。高齢化の進行と生産年齢人口の減少は、国内市場の縮小圧力としてトラック運送業にも影響しますが、一方で高齢者向けサービス・医療・介護関連物流など、新たな物流ニーズも生まれています。
産業構造面では、製造業の国内回帰・再編や、建設投資の地域偏在、小売業のECシフトなどが進行しています。特にEC市場の拡大は、宅配便・ラストワンマイル配送の物量を押し上げ、再配達・時間指定配送・少量多頻度配送など、トラック運送業にとって負荷の大きいオペレーションを増やす要因となっています。国土交通省の資料では、宅配便の再配達率が政策パッケージの取り組みにより一定程度改善したものの、依然として1割程度の水準にあることが示されており、効率化余地の大きさがうかがえます。
インバウンド観光の回復や、輸出入貨物の動きもトラック輸送需要に影響します。港湾・空港から内陸の物流拠点・消費地への接続輸送はトラックが担っており、国際物流の変動(地政学リスクや海上輸送の混乱など)は、トラック輸送にも波及する可能性があります。
- M&A観点
- 人口減少というマクロトレンドの中でも、EC関連・医療・介護・医薬・食品・産業廃棄物など、成長または底堅い需要が期待できるセグメントは明確です。こうした成長・底堅い需要が見込める荷主ポートフォリオや、高い再配達削減ノウハウ・ラストワンマイル運営力を持つ事業者は、M&Aにおける評価が高まりやすく、自社のポートフォリオを補完する買収対象として注目されます。
制度・規制・2024年問題・物流DX
トラック運送業には、貨物自動車運送事業法や道路運送車両法、道路交通法などの法令に加え、労働関係法令や環境関連法令が広く関わっています。特に近年の大きなトピックは、働き方改革関連法と「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)」の見直しを背景とする、いわゆる「2024年問題」です。
2024年4月から、トラックドライバーの時間外労働の上限が年960時間とされ、改善基準告示による拘束時間の上限も見直されました。経済産業省・国土交通省・農林水産省の検討会では、2030年時点でドライバー不足により輸送能力の約2割が不足し得るとの推計が示されており、2024年問題の影響も含めると輸送能力の3割超が不足する可能性が指摘されています。
また、物流関連二法の改正や標準的な運賃の導入、トラックGメンによる監視強化など、荷主・運送事業者双方に対し、適正な取引と労働環境改善を促す制度改正が順次進められています。一方で、電子帳簿保存法・インボイス制度・電子契約の普及など、税務・文書管理に関するデジタル対応も求められています。
これらを背景に、トラック運送業では、デジタルタコグラフ・ドライブレコーダー・車両位置情報を活用した動態管理、TMS(輸配送管理システム)・WMS(倉庫管理システム)の導入、電子受領書や電子サインの活用など、物流DXが進展しつつあります。国土交通省の「物流を取り巻く動向と物流施策の現状・課題」でも、再配達率の低減や共同配送・中継輸送・モーダルシフトなどとあわせ、DX・GXに向けた施策が整理されています。
- M&A観点
- 制度対応・DX対応には一定の固定費投資が必要であり、事業規模の小さな事業者ほど負担感が大きくなります。こうした環境下では、規模・収益力・ガバナンス体制の整った企業に統合されることで、コンプライアンス対応力や投資余力を確保するメリットが高まります。買い手側にとっても、既にDXや標準的な運賃運用に取り組んでいるターゲット企業は、PMI後に全社展開するモデルケースとしての価値が高いといえます。
供給・ロジスティクス/サプライチェーン環境
供給サイドからみると、燃料価格・車両価格・保険料・整備費用など、トラック運送業のコスト構造を左右する要因が複数あります。エネルギー価格の高止まりや環境規制の強化により、燃費性能の高い車両やEVトラック・ハイブリッド車などへの更新ニーズが高まる一方、車両調達コストは上昇傾向にあります。
サプライチェーン全体では、幹線輸送と地域配送の分業、鉄道・内航海運へのモーダルシフト、共同配送・中継輸送の活用など、輸送効率化の取り組みが政策的にも後押しされています。国土交通省の白書等では、倉庫業との連携やGX(グリーントランスフォーメーション)を意識した省エネ設備・再生可能エネルギー導入支援なども取り上げられており、トラック運送事業者単独では対応しきれない領域も増えています。
また、食品・医薬品・化学品など、温度管理やトレーサビリティが厳しく求められる分野では、コールドチェーンや危険物対応に関する専門性が重視されます。これらの領域では、GMP/GDPや各種ガイドラインに準拠した品質管理が重要であり、専用設備・車両・運用ノウハウを持つ事業者の価値は相対的に高くなります。
- M&A観点
- 幹線輸送・地域配送・コールドチェーン・危険物輸送などの機能を、単独で一から構築するには時間と投資が必要です。そのため、既に特定分野に強みを持つ事業者を取り込むことで、ネットワークと機能を一気に拡張し、サプライチェーン全体の提案力を高めることができます。GXやコールドチェーン対応を背景とした機能補完型M&Aは、今後も一定のニーズが続くと見込まれます。
人材・労働市場の動向
トラック運送業は、長時間労働・休日の少なさ・荷役作業負荷などのイメージから、他産業と比べて人材確保が難しい業種とされています。全日本トラック協会が公表した「2023年度版 トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態」によると、全職種平均の1カ月あたり賃金は約31万9千円、賞与1カ月平均額を加えた月額は約36万7千円とされています。また、全職種の平均年齢は約47歳台、男性運転者の平均年齢は約49歳と、高齢化が進んでいる状況が示されています。
一方で、働き方改革や人手不足を背景として、賃金水準は中長期的には上昇傾向にあります。厚生労働省や総務省の統計では、道路貨物運送業の実労働時間は徐々に短縮する一方、現金給与総額は緩やかに増加していることが示されており、時間当たりのコストは上昇しています。
人材確保の観点では、女性ドライバーやシニアドライバー、外国人材の活用、働きやすい職場認証制度の活用、勤務シフトの工夫など、多様な取り組みが求められています。ドライバーだけでなく、運行管理者・配車担当・整備士・倉庫オペレーターなど、複数職種の確保・育成が必要であり、教育・研修・安全管理体制の整備も重要な経営課題です。
- M&A観点
- 人材はトラック運送業における最大の経営資源であり、特にベテランドライバーや運行管理者、安全担当者などのノウハウを含めて承継できるかどうかが、M&Aの成否を左右します。採用力の高い企業、教育・安全管理の仕組みが整った企業、働きやすい職場づくりで実績のある企業は、グループ全体の人材戦略の中核として位置づけやすく、プレミアム評価の対象となりやすいと考えられます。
ガバナンス・コンプライアンス・リスク環境
トラック運送業は、人命・貨物・社会インフラを扱う業種であり、安全・コンプライアンス・ガバナンスの重要性が極めて高い領域です。長時間労働、過積載、速度超過、飲酒運転などのリスクに加え、近年では情報セキュリティや個人情報保護、下請法・独占禁止法・下請代金支払遅延等防止法の遵守など、法令順守の範囲は拡大しています。
また、帝国データバンクの「人手不足倒産」のレポートでは、2024年度の人手不足倒産が過去最多を更新し、そのうち物流業が件数の上位を占めることが示されています。人手不足を背景とした経営悪化や安全投資の遅れは、倒産・事故・コンプライアンス違反として顕在化するリスクがあり、金融機関や荷主の目線も厳しくなっています。
ガバナンス面では、経営層による安全・コンプライアンス重視の姿勢、内部通報制度、事故・ヒヤリハット情報の共有・改善プロセスなどが求められます。上場企業グループや大手荷主と取引するうえでは、ESGやサステナビリティ報告との整合性も重要となりつつあります。
- M&A観点
- ガバナンスやコンプライアンス水準は、デューデリジェンスにおける重要なチェックポイントです。買い手にとっては、事故・労務・コンプライアンスリスクが顕在化した場合の損失が大きいため、一定水準以上の管理体制を持つ企業は評価されやすく、逆に課題の大きい企業はバリュエーションや契約条件に反映されます。一方で、ガバナンス面に課題があるものの事業・人材・顧客基盤に魅力がある企業は、改善余地が大きいターンアラウンド案件として位置づけられることもあり、PMIでの統合・改善計画が重要になります。
M&Aリレーションの概況
トラック運送業界では、後継者不在・ドライバー不足・2024年問題への対応負担などを背景に、近年M&A・事業承継案件が増加傾向にあります。特に、地域密着の中小運送事業者が、大手・準大手グループや同業中堅企業に事業承継するケースが目立ちます。
全日本トラック協会の「日本のトラック輸送産業 現状と課題」や国土交通省の物流関連資料でも、業界再編・共同配送・ネットワーク統合などの必要性が示されており、政策面からも連携・統合の重要性が繰り返し指摘されています。
- M&A観点
- M&Aは単なる出口戦略ではなく、2024年問題やDX・GX・人材不足などの構造課題への対応手段でもあります。売り手にとっては、後継者難や投資負担を解消しつつ、従業員・荷主・取引先との関係を維持できる選択肢となり、買い手にとっては、エリア・車両・ドライバー・顧客・ノウハウを一体で獲得できる成長戦略の一環となります。特に、エリア補完・機能補完・人材補完の3つの観点から、自社にとってシナジーが高いターゲットを選定することが重要です。
トラック運送業界の今後の課題と展望
トラック運送業界の今後3〜5年程度(目安として2025〜2030年)を展望すると、「需要は一定程度維持されるものの、供給制約とコスト上昇が続き、業界内の二極化と再編が進む」というシナリオがベースケースとして想定されます。ここでは、主要な課題を「課題→対応策→M&A観点」の流れで整理し、ベースシナリオ・上振れシナリオ・下振れシナリオのイメージを示します。
利益率圧迫要因:人件費・燃料費・車両コスト
- 課題
- 人件費は、ドライバー不足と時間外労働規制強化を背景に上昇圧力がかかっています。前述のとおり、トラック運送事業の平均賃金は緩やかに上昇しており、時間当たりのコストも増加しています。一方で、燃料費や車両価格、保険料・整備費用、安全装備投資などのコストも高止まりしており、運賃への転嫁が十分に進まなければ、営業利益率は一段と圧迫される可能性があります。
- 対応策
- 短期的には、荷主との価格交渉力を高め、標準的な運賃や附帯作業料・待機料の適正収受を徹底することが重要です。中長期的には、積載率向上・空車回送の削減・共同配送や中継輸送の活用などにより、コスト構造そのものを改善する必要があります。また、パレット化推進やバース予約システム導入、倉庫との一体運営による荷待ち時間削減といったオペレーション改善も有効です。
- M&A観点
- スケールメリットにより燃料・車両・保険・システムなどの調達条件を改善できる企業、共同配送ネットワークを構築済みの企業、3PL・倉庫機能を持つ企業などは、コスト構造改善のレバレッジとして有力なM&Aターゲットとなります。買い手側は、自社との組み合わせでどの程度の積載率改善・単位コスト削減が見込めるかを、事業計画・シナジー試算のKPIとして明確化することが重要です。
ロジスティクス再編・2024年問題対応
- 課題
- 2024年問題を契機に、従来型の長距離一人運行・短いリードタイム・過密ダイヤを前提とした輸送モデルは、持続可能性が低下しています。改善基準告示の見直しにより、年間拘束時間の上限や休息時間の基準が厳格化され、特に長距離幹線輸送においては運行スキームの抜本的な見直しが求められています。2030年にかけて、ドライバー不足に伴う輸送能力のギャップが拡大するとの公的試算もあり、何も手を打たなければ「運べないリスク」が現実化する可能性があります。
- 対応策
- 幹線輸送と地域配送を分業し、中継輸送・リレー輸送・ダブル連結トラックなどの活用により、1人あたりの拘束時間を抑えつつ輸送能力を確保する取り組みが必要です。モーダルシフトにより、長距離区間を鉄道・内航海運に切り替え、トラックは集配送に特化するモデルも有効です。また、荷主との協議を通じて、リードタイムの見直しや納品時間帯の柔軟化、荷待ち・附帯作業削減など、サプライチェーン全体で労働時間削減に取り組む必要があります。
- M&A観点
- 自社単独では幹線・中継拠点・地域配送網を十分に整備できない場合、補完関係にあるエリア・機能を持つ事業者とのM&A・業務提携は有力な選択肢となります。例えば、幹線輸送に強い企業が地域配送網を持つ企業を取り込むケースや、モーダルシフト対応力を持つ事業者との統合により、荷主に対して持続可能な輸送スキームをパッケージで提案できる体制を構築することが考えられます。PMIでは、運行計画・配車システム・運賃テーブル・荷主契約条件の統合が重要なテーマとなります。
人材確保・定着・スキル高度化
- 課題
- ドライバーの高齢化・若年層の入職減少・女性ドライバー比率の低さなどにより、トラック運送業の人材確保は引き続き最重要課題です。人手不足倒産が物流業で多発していることからも明らかなように、人が採れない・辞めてしまうこと自体が事業継続リスクとなっています。
- 対応策
- 賃金水準・処遇の改善に加え、勤務時間・休日・休暇制度の見直し、荷待ち時間削減、安全で負荷の少ない車両・設備の導入など、総合的な労働環境改善が求められます。また、女性やシニア・外国人材の活用、普通免許からの段階的なキャリアパス設計、運行管理者・整備士・配車担当を含めた研修・教育の仕組みづくりも重要です。DXツールの導入による配車業務の効率化・属人性低減も、人材不足対策として有効です。
- M&A観点
- 採用力・教育力の高い企業や、働きやすい職場認証などの制度を取得している企業は、グループ全体の人材戦略の中核として位置づけやすく、M&Aにおける戦略的なターゲットとなります。買収後のPMIでは、人事制度・評価制度・安全文化の統合や、優秀なドライバー・運行管理者の離職防止が重要なテーマとなり、クロスアサインや教育体系の共有などを通じて、グループ全体の人材ポートフォリオを最適化していくことが求められます。
デジタル/データ活用・物流DX
- 課題
- 多くの中小運送事業者では、配車・積載・ルート設計が個人の経験や勘に依存しており、車両・運行データ・荷主データがシステム上で十分に統合されていないケースが少なくありません。この結果、積載率・空車率の改善余地が残り、異常値検知や事故リスク管理が後手に回る傾向があります。また、電子帳票・電子請求・電子契約への対応が遅れれば、荷主側のデジタル化とのギャップが生じ、取引上の不利要因となる可能性もあります。
- 対応策
- TMS・WMS・配車支援システムの導入や、デジタルタコグラフ・ドライブレコーダー・GPSなどのデータを活用した運行管理を通じて、積載率向上・回送削減・安全運転管理の高度化を進める必要があります。また、AIを活用した需要予測・ダイナミックルーティング・異常検知、電子インボイス・電子受領書・ポータル連携など、荷主とのデータ連携を強化することで、取引コスト削減とサービス品質向上の両立を図ることができます。
- M&A観点
- 自社で一からDXを推進するのが難しい場合、IT・DXに強みを持つ物流企業や、物流ITベンダーとのM&A・資本業務提携は有力な選択肢です。買収後のPMIでは、マスタ統合・システム統合・データ基盤統合が大きなテーマとなるため、段階的な統合計画と現場負荷への配慮が重要になります。また、DXに成功している事業者の現場ノウハウをグループ全体に展開することで、シナジー効果を高めやすくなります。
ガバナンス/コンプライアンス・リスクマネジメント
- 課題
- 労働時間規制・安全運行・環境規制・下請法・独占禁止法・個人情報保護法など、トラック運送業が遵守すべき法令は多岐にわたります。法令違反や重大事故が発生した場合、行政処分・損害賠償・信用失墜といった影響が大きく、金融機関や荷主との取引にも直結します。また、自然災害・感染症・地政学リスクなど、サプライチェーンを揺るがす事象も増えており、BCP(事業継続計画)の整備も不可欠です。
- 対応策
- 就業規則・運行規程・安全マニュアルの整備、定期的な安全教育・コンプライアンス研修、事故・ヒヤリハット情報の収集・分析・再発防止策の徹底などを通じて、組織的なリスク管理体制を構築する必要があります。あわせて、災害時の代替輸送ルート・拠点分散・情報システムのバックアップなど、BCPの観点での備えも重要です。
- M&A観点
- ガバナンスやコンプライアンス体制の成熟度は、M&Aのデューデリジェンスにおける主要な評価ポイントです。買い手は、法令遵守状況・事故歴・労務リスク・内部統制などを精査し、必要に応じて契約条件や価格に反映する必要があります。一方で、体制が未整備でも改善余地が大きい企業は、買収後にグループ標準のガバナンス・コンプライアンス体制を適用することで、企業価値の向上が期待できる改善型案件として位置づけられます。
ネットワーク戦略・拠点再構築
- 課題
- 人口減少・地域経済の縮小・都市圏への集中などにより、一部の地方拠点では収益性が悪化している一方、都市圏・幹線沿いでは地価・賃料・人件費の上昇が負担となっています。老朽化した営業所・倉庫の建替えや環境対応投資も必要であり、ネットワーク全体の再構築が求められています。
- 対応策
- 幹線拠点・中継拠点・ラストワンマイル拠点の役割を明確にし、拠点統廃合・集約・新設を通じてネットワークの最適化を図る必要があります。マルチテナント型物流施設の活用や、協業パートナーとの共同利用などにより、個社で全拠点を保有する負担を軽減する選択肢もあります。
- M&A観点
- 自社のネットワークにとってホワイトスペースとなっているエリアに強い事業者を取り込むことで、短期間でエリアカバレッジを向上させることができます。また、港湾・空港・大型物流施設近接の拠点を保有する企業は、国際物流・EC物流の観点からも戦略的価値が高く、プレミアムがつきやすいターゲットとなり得ます。
外需・GX/環境対応・サステナビリティ
- 課題
- 国際物流の変動や脱炭素の潮流は、トラック運送業にも影響を与えています。CO2排出削減・燃費規制・カーボンプライシングの議論などを背景に、トラック輸送にも環境配慮型のオペレーションが求められています。車両の電動化・燃料転換や、モーダルシフト・共同配送による排出削減など、対応の選択肢は多岐にわたりますが、車両更新やインフラ整備には多額の投資が必要です。
- 対応策
- 政府の補助金・税制優遇等を活用しつつ、EVトラックやハイブリッド車の導入、エコドライブ教育、アイドリングストップ、積載率向上、モーダルシフト推進など、実行可能な施策から段階的に取り組むことが現実的です。また、荷主との協働により、物流のGXやサプライチェーン全体の脱炭素戦略に参画することも重要です。
- M&A観点
- GX・環境対応に先行して取り組んでいる企業、EVトラックや再エネ活用型倉庫を運用している企業、CO2排出量の可視化・報告の仕組みを持つ企業などは、今後のサステナビリティ経営を見据えたグリーンM&Aの有力なターゲットとなります。買収後は、環境対応ノウハウや仕組みをグループ全体に展開し、荷主に対する提案力を高めることが期待されます。
倒産・再編の地合いとシナリオ
- 課題
- 帝国データバンクなどの調査によると、人手不足を主因とする倒産は2024年度に350件と、統計開始以来最多を更新しており、そのうち物流業の件数も高水準となっています。金利水準の変化や金融機関の姿勢次第では、設備投資負担・人件費増・燃料高の三重苦を抱える中小運送事業者の資金繰りが悪化し、再編・退出の動きが一段と加速する可能性があります。
- 対応策
- 経営者としては、業績が悪化してからではなく、ある程度余力のある段階から早期に事業承継・資本提携・M&Aの選択肢を検討し、金融機関や専門家と対話を行うことが重要です。また、経営改善・コスト構造見直し・事業ポートフォリオ再構成などを通じて、金融機関からの信頼を高める取り組みも欠かせません。
- M&A観点
- 買い手側にとっては、再編局面におけるスポンサー型M&A・事業再生型M&Aの機会が増える可能性がありますが、同時に労務・安全・コンプライアンス・環境対策などの潜在リスクも大きくなります。デューデリジェンスでリスクを適切に見極め、価格・契約・PMI計画に反映することが重要です。業界全体としては、無理な価格競争を是正し、持続可能な条件で事業を維持できる体制を整えることが、中長期的な安定につながると考えられます。
今後3〜5年の簡易予測
ベースシナリオでは、国内貨物量は横ばい〜微減にとどまり、EC・医療・食品・産業廃棄物などの分野で底堅い需要が見込まれます。一方で、ドライバー不足・人件費上昇・燃料費・車両コスト増などの圧力が続き、業界内の再編・統合が進むと想定されます。
上振れシナリオにおいては、標準的な運賃の浸透や荷主側の行動変容、物流DX・GXの進展により、積載率向上・空車削減・モーダルシフトが進み、単位コストが低減することで、一定の利益率改善が実現する可能性があります。この場合、M&Aはネットワーク・機能補完を通じて成長を加速する手段として活用されます。
下振れシナリオでは、価格転嫁が進まず、2024年問題の影響が顕在化して輸送能力不足や人手不足倒産が増加する一方、景気後退や外需減少により物量も減少するケースが想定されます。この場合、再生型M&Aやスポンサー型M&Aが増加し、業界構造の急速な再編が進む可能性があります。
- M&A観点
- どのシナリオにおいても、M&Aは撤退・承継の手段であると同時に、成長・構造改革の手段でもあります。買い手・売り手双方が自社のポジションとシナリオを明確にし、エリア・機能・人材・ガバナンス・DX/SXといった観点から、自社にとって最適なパートナーを選定することが、トラック運送業界におけるM&A成功の鍵になると考えられます。
- 参考URL:
-
総務省統計局・国土交通省「自動車輸送統計調査(自動車輸送統計年報)」
公益社団法人 全日本トラック協会「2023年度版 トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態(抜粋版)」
公益社団法人 全日本トラック協会「日本のトラック輸送産業 現状と課題 2024」
国土交通省「交通関係統計資料:自動車輸送統計調査の結果の概要(令和4年度)」
国土交通省「物流を取り巻く動向と物流施策の現状・課題」
国土交通省「倉庫業の動向と施策」
国土交通省 中部運輸局「持続可能な物流セミナー2024」『2024年問題』の現状と課題
トラック運送業界における
M&A活用のメリット
トラック運送業界におけるM&A活用のメリットをご紹介します。
- 譲渡側のメリット
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- 規模の拡大により、トラックの実働率、積載効率の向上が見込め、より安定的な経営計画が描ける
- 流通機能全般を一括して請け負う3PL等の特徴ある物流システムを構築することができる
- 後継者問題を解決できる
- オーナー社長は個人保証や担保提供から解放され、ハッピーリタイアができ、必要に応じて、役員等として継続してかかわることも可能
- 適切な会社に譲渡すれば、社員の雇用は保証され、成長機会も増える
- 譲受け側のメリット
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- 既存顧客への新商品の提供
- 売上規模・シェアの拡大
- 事業多角化・新規事業への参入
- 人的リソースを獲得できる
- バリューチェーンの補完・関連事業領域の拡大
- リスク分散ができる
- コストの削減・財務力強化(管理部門コスト、物流コスト等)
- 規模の拡大により、トラックの実働率、積載効率の向上が見込める
- エリアの拡大、顧客の多様化を時間をかけずに実現できる
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トラック運送業界で
M&Aを実行する際のポイント
トラック運送業界でM&Aを実行する際に注意すべきポイントには、下記のようなものがあります。
- トラック・車両等の整備状況
- 過去の事故履歴や安全対策
- 取引先等との関係性
- 人的リソース管理
- 財務問題
- 労務問題
- コンプライアンス
- ガバナンス・管理体制
ここでは一般的なポイントをご紹介させていただいておりますが、実際には、個別事情を勘案すると大きく変わります。また、業界によっては独自の規制や商習慣が存在するため、M&Aの仲介を行ううえで、それぞれの業種・業界の特性を正しく理解していることが非常に大切です。
全国に拠点を展開する日本M&Aセンターでは、各業界に精通したコンサルタントが所属しているため、専門性の高いサービスを提供させていただくことが可能です。秘密保持を厳守のうえ、個別相談を無料でお受けしています。M&Aの進め方やポイントなど、気になることがありましたら、お気軽にお問い合わせください。
トラック運送業界における
M&Aの価格相場
トラック運送業界のM&Aにおける価格や相場感について説明いたします。まず、中小企業のM&Aには明確な相場が存在せず、最終的な価格は売り手と買い手の交渉によって決まることが特徴です。M&Aの価格は、業種や企業の規模、人材の質、財務状況、ブランド力、将来性、市場環境など、多岐にわたる要素によって変動します。そのため、個別の状況を考慮しながら価格が算出されることになります。
M&Aの価格算定にはいくつかの評価方法がありますが、その中の一つに「取引事例法」があります。取引事例法は、過去のM&A事例の中から、事業内容や地域、財務指標が似ている企業の売買実績を基に価値を評価する方法です。取引事例法において重要なのは、類似の取引事例を参考にすることですが、類似条件を見つけるためには、相当数の事例を蓄積する必要があります。非上場企業のM&Aの多くが非公開情報であることから、他社の実績を参考にすることはハードルが高い方法でもあります。その点、日本M&Aセンターでは、M&Aにおいて成約実績10,000件超、M&A成約件数で世界No.1*のギネス世界記録™に5年連続で認定されるなど、豊富な実績があります。事業内容や地域、財務指標に基づく似た会社の売買事例を選定し、一定のルールに従って公正な価値評価を行うことが可能です。こちらから当社の株価算定シミュレーションを体験することができます。
※ギネス世界記録™:M&Aフィナンシャルアドバイザリー業務の最多取扱い企業 2020~2023年に続き、5年連続でギネス世界記録™に認定
次に、より高い評価を得て会社を高く譲渡売却するためには、よりシナジーのある買い手を見つけることが重要です。M&Aの最終価格は、売り手企業と買い手企業の交渉によって決まるため、買い手が「この会社が欲しい」と思う要素を増やしていく必要があります。例えば、現在、トラック運送業界の市場では人材不足が全体的な問題となっており、若くて優秀な人材を採用できる利点がある場合、買い手企業にとってM&Aの魅力が増します。
さらに、コンプライアンスやガバナンスに関する問題も重要な要素です。具体的には、顧客とのトラブルが存在しないか、社会保険への適切な加入状況が確認されることが求められます。これらの問題があると、潜在的な費用や負債として見なされ、価格交渉において不利な要因となり得ます。これらの要素が事前にクリアである場合、買い手企業も安心してM&Aを進めることができ、価格交渉もスムーズに進行しやすくなる傾向があります。
最後に、M&Aを成功させるためには、総合的に企業の魅力を高める努力が欠かせません。これは、価格評価への影響だけでなく、交渉の流れにも深く関わる要素であるといえるでしょう。
なお、実際には個別の業種や取引環境等によって価格相場は変動しますし、場所や経営状態によっても大きく左右されます。初期的なご相談や、簡易的な株価診断は無料にておこなっておりますので、よりくわしく評価や課題について聞きたい方は、弊社コンサルタントから詳細をご説明いたしますので、お気軽にご相談ください。
株式会社日本M&Aセンター
業界別M&Aレポート編集部は、日本M&Aセンターの社員によって執筆・運営されています。各業界・業種のM&Aや事業承継に関する情報、トピックをお届けします。
トラック運送業界の
最新M&A事例を解説
2024年問題を機に物流業界全体で再編が進み、M&A件数も増加傾向にあります。とくに、上場企業が買い手となる買収、資本参加が増加しました。トラック運送業界では、2024年問題や業界再編、DX化など、様々な要因がM&Aを加速させています。上場企業による買収が増加し、中小企業は同業他社とのM&Aや、大手企業の傘下に入ることで、業界の変化に対応しようとしています。
運送業・倉庫業×運送業
トナミ運輸、イディアトランスポートサービスの事業譲受
- 譲渡企業
- 株式会社イディアコーポレーション(神奈川県横浜市)、株式会社イディアトランスポートサービス(栃木県宇都宮市)
- 譲受け企業
- トナミ運輸株式会社(富山県高岡市)
M&Aの概要
スキーム:事業譲渡 実行時期:2025年5月1日
2025年5月1日、トナミ運輸株式会社は、株式会社イディアトランスポートサービスの宇都宮事業所の事業を譲受する事業譲渡契約を締結しました。また、併せてイディアトランスポートサービスの親会社である株式会社イディアコーポレーションより、該当の不動産を取得しました。
トナミ運輸は、トナミホールディングスグループの中核事業会社。貨物自動車運送事業、貨物利用運送事業、倉庫業、コンピュータによる情報処理、ソフトウェアの開発・販売等を行っています。
イディアトランスポートサービスは、一般貨物自動車運送事業、倉庫業、構内作業請負業を行っています。
事業譲受の内容は下記のとおりです。
・イディアトランスポートサービスは、宇都宮事業所と高崎事業所の2か所に営業所を有していますが、今回の事業譲受の対象は、「宇都宮事業所」に係る事業のみとなります。
・宇都宮事業所の土地および建物の一部は、イディアトランスポートサービスの親会社であるイディアコーポレーションが所有しています。今回の事業譲受に伴い、イディアコーポレーションからの不動産取得も同時に行います。
トナミ運輸は、本事業を譲り受けることを通じて、栃木県内における配送業務の効率化や新たな販路拡大、配送サービスの効率化、ドライバーをはじめとする人材の確保を図ります。
運送業×物流・金融
日本郵便、物流大手のトナミHDへのTOBが成立
- 譲渡企業
- トナミホールディングス株式会社(9070)
- 譲受け企業
- 日本郵便株式会社(東京都千代田区)、JWT株式会社(東京都千代田区)
M&Aの概要
スキーム:TOB 実行時期:2025年4月10日
日本郵便株式会社の子会社であるJWT株式会社を通じて実施された、トナミホールディングス株式会社(以下:トナミHD)の公開買付け(TOB)が、2025年4月10日をもって終了しました。応募株券等の総数(7,916,930株)が買付予定数の下限(6,036,500株)以上となったため、成立しています。
本公開買付けの結果、2025年4月10日(本公開買付けの決済の開始日)付で、トナミHDは、JWTの連結子会社、日本郵便の孫会社となりました。今後、トナミHDは上場廃止となる見通しです。
日本郵便は、郵便業務、銀行窓口業務、保険窓口業務、印紙の販売、地方公共団体からの受託業務、前記以外の銀行業、生命保険業および損害保険業の代理業務、国内・国際物流業、ロジスティクス事業、不動産業、物販業等を行っています。
トナミHDは、貨物自動車運送事業等を営む会社の事業活動の支配・管理を行っています。
物流業界を取り巻くさまざまな環境変化がある中、日本郵便とトナミHDにおいて意見交換などを継続的に実施した結果、双方にとって最適なパートナーであるという認識に至りました。そのため、トナミHDのマネジメント・バイアウト(MBO)を企図し、創業家代表・経営陣・日本郵便の共同コンソーシアムによる公開買付けを実施することとなりました。
本件M&Aにより、トナミHDと日本郵便との協業による更なる付加価値の創出を目指します。
運送業×物流
丸運、機工事業の中村運輸機工を買収
- 譲渡企業
- 有限会社中村運輸機工(東京都大田区)
- 譲受け企業
- 株式会社丸運(9067)
M&Aの概要
スキーム:株式譲渡 実行時期:2025年4月1日
株式会社丸運は、有限会社中村運輸機工の全株式を取得する株式譲渡契約を締結し、2025年3月31日付で同社を完全子会社化しました。
丸運は、一般貨物輸送、エネルギー輸送、国際物流など、幅広い物流サービスを提供する総合物流会社です。
中村運輸機工は、1976年設立で、重量物運搬や据付撤去工事などに強みを持っています、一般貨物自動車運送事業、重量品運搬および据付撤去工事、クレーンのおよび荷役機械の賃貸業等を行い、機工事業に永年の経験と優れた技能を保有しています。
丸運は、2022年に公表した長期ビジョンにおいて、今後成長が見込める分野として「機工事業」を掲げ、積極的な投資を実行していくことを表明しています。
本件M&Aにより、優秀な人材や車両を確保することで、機工事業の拡充を図ります。
物流(3PL)×運送業
ヤマトHD、コントラクト・ロジスティクス事業のナカノ商会を子会社化
- 譲渡企業
- 株式会社ナカノ商会(東京都江戸川区)
- 譲受け企業
- ヤマトホールディングス株式会社(9064)
M&Aの概要
スキーム:株式譲渡 実行時期:2024年12月1日
ヤマトホールディングス株式会社(以下:ヤマトHD)は、2024年12月1日に、株式会社ナカノ商会の株式を取得し、連結子会社化しました。
ヤマトHDは、「宅急便」など各種輸送に関わる事業を行っています。
ナカノ商会は、3PL(サードパーティー・ロジスティクス)に強みがあり、多くの企業に物流アウトソーシングを提供する総合物流企業です。
ヤマトグループは、基盤領域であるエクスプレス事業の利益成長に向けた収益拡大、および、宅急便ネットワークの強靭化、成長領域であるコントラクト・ロジスティクス事業、グローバル事業の拡大による事業ポートフォリオの変革に取り組んでいます。
一方、ナカノ商会は、保管・庫内作業・輸送サービスに加え、顧客仕様に再構築した物流施設のサブリースなど、顧客ニーズに合わせた複数の機能を一貫して提供することで、小売事業者や、食品等のメーカー・サプライヤー、EC事業者の上流の物流領域を中心に、法人顧客を有しています。
法人顧客を持つナカノ商会がグループに加わることで、①コントラクト・ロジスティクス事業の拡大、②エクスプレス事業とのシナジー創出、③両社のリソースを共同利用するなどコストシナジー創出などを通じて、法人ビジネス領域を拡大することが期待されています。
トラック運送業界の
M&Aニュース
トラック運送業界のM&Aニュースを表示します。
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2026.1.28
鴻池運輸、インドでエンジニアリング事業を行うVertex Engineersの株式を取得
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2026.1.20
SBSホールディングス、オランダのブラックバードロジスティクスを完全子会社化
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2025.12.25
SBS東芝ロジスティクス、精密・医療機器物流の丸嘉運輸倉庫を買収
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2025.11.28
センコーグループHD、シンガポールの青果物輸入・卸売のTotal Fresh Connectionを買収
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2025.11.13
センコーグループHD、丸運の連結子会社化に向けTOB実施
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2025.10.14
丸全昭和運輸、貨物自動車運送業の日東富士運輸を買収
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2025.9.30
キユーソー流通システム、子会社のフードクオリティーロジスティクスを吸収合併
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2025.9.16
マーケティングパートナー、子会社のグローバルペットニュートリションと経営統合
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2025.9.9
センコーグループHD、ベリテへのTOBが成立
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2025.8.21
AZ-COM丸和ホールディングス、物流サービスの山本水産輸送を買収
トラック運送業界の
M&A仲介実績
日本M&Aセンターが仲介・支援して成約したトラック運送業界のM&A案件をご紹介します。
※現在、2025年9月までの実績を掲載しています。次回の更新(2025年10月~12月分)は2026年1月30日以降の予定です。
| 譲渡・売却企業 | 譲受け・買収企業 | |
|---|---|---|
| 2025年9月 | トラック運送(中国・四国) | 日用雑貨製造(関東) |
| 2025年9月 | トラック運送(東海・北陸) | トラック運送(東海・北陸) |
| 2025年9月 | タクシー(関東) | タクシー(東海・北陸) |
| 2025年9月 | 倉庫(海外) | 倉庫(関西) |
| 2025年9月 | 運送関連サービス(東海・北陸) | 自動車小売(関西) |
| 2025年8月 | トラック運送(中国・四国) | トラック運送(中国・四国) |
| 2025年7月 | トラック運送(九州・沖縄) | 漁業(九州・沖縄) |
| 2025年7月 | トラック運送(関東) | ファンド(関東) |
| 2025年6月 | トラック運送(関東) | トラック運送(東海・北陸) |
| 2025年6月 | 運送関連サービス(関東) | エネルギー(関東) |
トラック運送業界の
最新のM&A事例インタビュー
当社の仲介によりM&A・事業承継されたトラック運送業界の事例を、経営者様へのインタビュー形式でご紹介します。
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深刻なドライバー不足と高齢化で事業継続が困難に。採用力のある会社にグループインしてわずか半年で採用に成功
譲渡:北海道深川市 貨物自動車運送業、クレーンリース業
譲受け:北海道札幌市 運送事業、普通倉庫業宮本運輸は、長らく人材不足の課題を抱えていました。事態が深刻化し、採用力のある会社への譲渡を行って半年、採用を含め現状について話を伺いました。
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マレーシア現地企業2社に出資。 自社の戦略に合致する企業と手を組み 国境を越えて配送網を構築
譲渡:東京都千代田区 倉庫・運輸関連業
譲受け:マレーシア 低温輸送・冷凍冷蔵倉庫/倉庫賃貸・運送車両賃貸及び修繕多彩な低温物流サービスを行うニチレイロジグループ。マレーシアで低温物流事業を手掛ける会社に出資を行った同社に海外戦略をお聞きしました。
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企業の一員になったことで物流業界に明るい未来が描けるようになりました
譲渡:埼玉県戸田市 特定貨物自動車運送業
譲受け:運送事業を手掛けるアジェクト。近年、管理体制に課題を抱え、自社の体質改善や企業価値向上を目的に、3PLの企業と提携を結びました。
トラック運送業界の
セミナー情報
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