学習塾業界のM&Aと事業承継の動向・案件情報2025年最新版

学習塾業界のM&A

学習塾業界に関する最新のM&A動向をご紹介します。 近年の市場推移やトピックス、業界再編にまつわる情報、学習塾業界の周辺業界を含めたM&A・事業承継の事例をわかりやすく解説しています。 また、日本M&Aセンターが取り扱う最新のM&A案件、当社仲介によりM&Aを実行された経営者様の事例、 各業界の動向やM&A(第三者承継)への理解を深めるセミナー情報などもご紹介します。

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学習塾業界の概要とM&A動向

学習塾業界には、児童・小中高生を対象として学習の補助を行う学習塾、進学塾や、主に高校生以上を対象に進学指導を行う予備校を運営する事業などが含まれています。大手企業の中で例を挙げると、栄光ゼミナールなどの学習塾事業・家庭教師派遣事業を傘下に持つZ会ホールディングス、ナガセ、明光ネットワークジャパン、リソー教育、市進ホールディングスなどを本サイトではこの業界に分類しています。

学習塾業界では、少子化や教育ニーズの多様化に対応するため、M&Aが活発に行われています。事業拡大や競争力強化を目的としたM&Aが増加傾向にあり、中でも、大手企業によるM&Aや、異業種からの参入事例が目立ちます。買収による完全子会社化だけでなく、資本提携などの手法も活用されています。今後ますます業界再編の動きは活性化すると予測されます。
また大手の学習塾グループでは、少子化により縮小する市場から視点をずらして、語学学校や法人への研修など、培ったノウハウを活用できる関連事業へのM&A・会社買収の動きも増加傾向にあります。こうした流れは今後も加速していくと考えられています。
一方、中小・個人経営の学習塾では、少子化により減少する生徒数に対応すべく、大手グループへのM&Aによる傘下入りやフランチャイズ化に前向きです。また長く経営されている学習塾も数多くある事から、経営者の高齢化による売却が行われる事も少なくありません。今後、さらに学習塾業界は再編の動きが活発となっていくでしょう。特に大手グループが未だ未進出の地域では、中小・個人経営を対象としたM&Aが増加する可能性も予測されます。

学習塾業界をとりまく環境

本セクションでは、日本の学習塾業界について、公的統計や業界調査を踏まえ、市場規模・事業者構造・需要動向・制度・人材・ガバナンス・M&A動向などを整理します。少子化の進展と教育投資ニーズの継続、デジタル技術の普及が同時進行する中で、学習塾業界は構造的な変化に直面していることが特徴です。
経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」によると、学習塾業の年間売上高は、2004年に約3,078億円であったのに対し、2023年には約5,540億円(速報値)へと約1.8倍に拡大しています。同期間に受講生数も約944万人から約1,409万人へと約1.5倍に増加しており、長期的には市場規模・利用者数ともに拡大してきたことが確認できます。
一方で、直近数年は伸び率が落ち着いています。例えば、同調査に基づく2022年の学習塾売上高は5,549億円で前年比0.6%増、受講生数は1,467万人で前年比0.2%減と報告されており、売上高は単価上昇を背景に緩やかに増加する一方、受講生数は微減傾向にあります。
さらに、東京商工リサーチが上場企業や大手を含む主要学習塾396社を対象に行った調査では、2023年度の売上高が5,431億円(前期比1.0%増)、最終利益は297億円(同3.8〜3.9%減)と「増収減益」となっており、コスト上昇や人件費の増加が収益を圧迫している状況が示されています。
以下では、こうしたマクロ統計と業界調査を踏まえ、学習塾業界をとりまく環境を複数の観点から整理します。

学習塾ビジネスの規模とトレンド

経済産業省「特定サービス産業動態統計調査(学習塾)」の長期系列によれば、学習塾の年間売上高は2000年代前半には3,000億円前後で推移していましたが、2010年代以降、受験競争の激化や個別指導需要の高まり、幼児教育・英語教育など周辺分野の拡大を背景に成長を続けてきました。2023年の売上高は約5,540億円と、2004年比で約1.8倍となっています。
同統計に基づく受講生数は、2004年の約944万人から2023年には約1,409万人へと約1.5倍に増加しており、長期的には「1人あたりの教育投資額の増加」と「塾利用率の上昇」が同時に進んできたと考えられます。一方で直近数年は受講生数が横ばい〜微減となる局面もみられ、少子化の影響が徐々に顕在化しているといえます。
学習塾が提供するサービスは、対象学年・目的・指導形態により多様化しており、おおむね以下のカテゴリに区分できます。

  • 小学生向け補習・中学受験塾(難関中学受験対策、基礎学力向上)
  • 中学生向け高校受験塾(定期テスト対策と高校入試対策)
  • 高校生向け大学受験予備校・現役専門塾
  • 個別指導塾(1対1〜1対数名の個別最適化された指導)
  • 集団指導塾(同一カリキュラムによる一斉授業)
  • オンライン塾/映像授業サービス(オンデマンド型・ライブ配信型)
  • 幼児教育・英才教育塾(知能開発・思考力育成・小学校受験など)
  • 英会話・語学塾、プログラミング教室、探究学習・STEAM教育特化型塾 など

これらのカテゴリの中でも、特に個別指導塾とオンライン塾の比重が高まっています。個別指導は、生徒一人ひとりの習熟度やスケジュールに合わせた学習設計が可能であり、保護者のニーズと整合しやすいことから、主要チェーンでは全教室の大半を個別指導フォーマットで展開するケースも増えています。
オンライン・映像授業については、コロナ禍を契機に導入が急速に進みました。公益社団法人全国学習塾協会の「2021年8月〜12月 学習塾の業況調査」では、調査対象143社のうち、半数強が対面授業を基本としつつ一部でオンライン授業を併用すると回答しており、純粋なオンライン専業は少数である一方、「対面+オンライン」のハイブリッド型が一般化していることがうかがえます。
単価面では、授業料の値上げや高付加価値コース(難関校受験・英語4技能・プログラミング・探究学習など)の拡充により、生徒1人あたり売上(ARPU)の引き上げが進んでいます。経済産業省が公表した学習塾業の分析では、少子化で対象人口が減少する中でも売上高指数が上昇している一因として、1人あたり単価の上昇が指摘されています。
一方で、東京商工リサーチの業績調査によると、主要学習塾396社のうち売上高100億円以上の企業は19社(構成比4.8%)に過ぎないものの、売上高シェアでは約66%を占めており、大手チェーンに売上が集中している状況が明らかになっています。他方、売上高5億円未満の企業は全体の約8割を占める一方で、売上高シェアは5%程度にとどまり、規模の経済が収益性に直結する構図が強まっています。

学習塾ビジネスの代表的なKPIとしては、以下のような指標が挙げられます。

  • 1教室当たり売上高(月次・年次)
  • 1教室当たり在籍生徒数(稼働率・座席稼働率)
  • 生徒1人当たり月額売上高(ARPU)
  • 継続率・退塾率(学年進級時・学期末の離脱率)
  • 講座別・コース別の粗利率(教材費・講師人件費・教室原価控除後)
  • 入会単価(1人当たり広告宣伝費・紹介比率)

これらのKPIは、大手チェーンでは本部のデータベースで一元管理され、教室別の損益管理と出店・統廃合判断に活用されています。一方、中小規模の塾では、紙台帳や表計算ソフトでの管理にとどまるケースも多く、データ活用度合いに大きなばらつきが存在します。

M&A観点
学習塾業界全体としては、市場規模が中長期的に緩やかな成長〜横ばい圏にある一方で、事業者間の収益格差と規模格差が拡大している状況です。スケールメリットを追求する広域チェーンによる地域塾のロールアップや、オンライン塾・EdTech企業と対面塾との補完関係を活かした統合が、今後も有力なM&Aテーマとなる可能性が高いです。特に、個別指導・オンライン・探究学習など成長領域の比率が高い企業は、買い手からの評価が相対的に高くなりやすいと見込まれます。

事業者・設備・拠点動向(学習塾チェーンと地域密着塾)

事業者構造を見ると、学習塾業界は「多数の地域密着型小規模塾」と「少数の大手チェーン」による二極構造が特徴です。全国学習塾協会の業況調査によれば、回答のあった学習塾事業者のうち、1事業所のみで運営する事業者が約7割(68.5%)、2〜10事業所が約2割強であり、10事業所以下の事業者が全体の約9割を占めています。
他方で、東京商工リサーチの調査が示すように、売上高100億円以上の大手はわずか数十社であるにもかかわらず、市場売上の過半を占めており、売上面では大手寡占の傾向が強まっています。大手は全国〜広域でのドミナント出店やM&Aを通じて教室網を拡大し、広告・教材仕入・IT投資・採用などでスケールメリットを享受している一方、小規模塾は差別化された指導や地域密着力を武器に生き残りを図っている状況です。

拠点形態としては、以下のようなフォーマットが一般的です。

  • 駅前一等地の大型校(難関校受験向けフラッグシップ校)
  • 住宅地・郊外の中小型校(補習・個別指導中心)
  • ショッピングセンター内のテナント型校(集客メリットと駐車場確保)
  • 教室数を抑えた小規模サテライト校(既存校の商圏拡大用)

大手では、自習室や自習ブース、個別指導ブース、面談スペース、オンライン配信設備などを備えた多機能型教室が増加しています。一方、小規模塾では、最低限の教室スペースとホワイトボード・PC等で運営されるケースも多く、設備投資の水準には大きな差があります。
運営形態としては、直営教室に加え、フランチャイズ(FC)での展開も一般的です。FC本部はブランド・教材・研修・運営ノウハウを提供し、加盟教室は地域の物件取得と運営を担うことで、資本負担を抑えながら教室網を拡大するスキームが広く用いられています。この構造は、M&A時には「本部の株式取得」と「加盟教室の個別承継」という2層構造の検討を要する点が特徴です。

M&A観点
事業者・拠点構造の観点からは、地域ドミナント戦略をとる大手・準大手による、未進出エリアへの一括参入や、小規模地域塾のグルーピングが重要な戦略テーマとなります。また、FC本部と加盟教室を同時にグループ内に取り込み、ブランド一元化・ロイヤリティ体系の再設計・教室レイアウト標準化を図る統合案件も想定されます。教室1拠点あたり売上・生徒数・利益水準の違いが可視化されているほど、M&A後の統廃合や改装・移転判断が行いやすくなります。

需要側ファクター(人口・教育投資・価値観)

需要側の最大の構造要因は少子化です。総務省統計局「人口推計」によると、2024年10月1日現在の総人口は1億2,380万人で、14年連続の減少となっています。このうち15歳未満人口は1,383万人で、総人口に占める割合は11.2%と過去最低水準となっており、将来の学習塾の潜在顧客ベース(0〜18歳人口)は中長期的に縮小が続く前提です。
文部科学省「令和6年度学校基本調査(確定値)」では、2024年5月1日現在の在学者数として、小学校が594万2千人(前年度比10万8千人減、過去最少)、中学校が314万1千人(同3万6千人減、過去最少)、高等学校が290万7千人(同1万2千人減)と報告されており、義務教育・高校段階の生徒数が一貫して減少傾向にあることが確認できます。
一方で、家計の教育支出は依然として大きなウエイトを占めています。総務省「家計調査(家計収支編)2023年平均結果」によれば、二人以上の世帯における「教育」への消費支出は月平均10,448円であり、名目で前年より8.7%減、実質で9.8%減と大きく減少したものの、その中には授業料や補習教育(学習塾等)への支出が含まれています。物価高や実質所得の伸び悩みのなか、教育費全体に節約圧力がかかる一方、進学や受験に直結する支出は優先度が高く、構成の見直しを通じて塾・予備校への支出を維持する世帯も少なくありません。
需要の質にも変化がみられます。大学入学共通テストの導入や新学習指導要領の実施、高校での探究学習・情報I必修化、英語4技能評価の拡充など、公教育側で「思考力・判断力・表現力」を重視する改革が進められた結果、学習塾にも従来型の知識詰め込みや過去問演習にとどまらない指導が求められるようになっています。探究型学習、プレゼンテーション、英会話・ライティング、プログラミングなど、従来以上に多様なメニューを求める保護者が増えていると指摘されています。
また、共働き世帯の増加や都市部への人口集中に伴い、放課後の「安全な居場所」としての機能や、送迎・自習室利用など利便性に対するニーズも高まっています。オンライン授業や映像配信は、送り迎えの負担軽減や感染症流行時や悪天候時の学習継続手段として評価されており、通塾と自宅学習を組み合わせたハイブリッド利用が一般化しつつあります。
さらに、EdTech・アダプティブラーニング・生成AIなどの技術進展により、生徒一人ひとりの習熟度や解答傾向を把握し、最適な問題や復習計画を提示するサービスが増えています。経済産業省「未来の教室」ビジョンでは、「学びの自立化・個別最適化」が柱の1つとして掲げられており、学校教育と民間教育サービスの双方で、データとテクノロジーを活用した個別最適化が中長期的な方向性であることが示されています。

M&A観点
需要構造の観点では、①少子化による対象人口の減少、②一人当たり教育投資の高止まり〜高度化、③探究・英語・STEAM・プログラミングなど新領域ニーズの拡大、④共働き世帯増加と安全・利便性ニーズの高まり、⑤オンライン・EdTech利用の浸透、が重要な変数です。少子化が進む地方では、教室統廃合や広域展開を前提とした再編ニーズが高まりやすく、都市部では教育DXに強みを持つ企業との提携・買収が、サービスライン拡充と差別化のための有力手段となります。

制度・規制・DX(民間教育事業としての枠組み)

学習塾は学校教育法上の学校ではなく、基本的には民間教育事業者として位置づけられています。そのため、設置認可やカリキュラムの法定基準はありませんが、消費者保護や情報公開、個人情報保護など、他のサービス業と同様の法令・ガイドラインへの対応が求められます。
文部科学省は、「民間教育事業者における評価・情報公開等に係るガイドライン(検討のまとめ)」および関連調査研究報告書の中で、学習塾・語学学校等の民間教育事業者を対象に、学習サービスの質の保証・向上と情報公開を促す枠組みを提示しています。この中では、事業者による自己評価・第三者評価、費用・プログラム内容・講師体制・学習成果などの情報提供の重要性が示されており、学習者が適切なサービス選択を行えるようにすることが意図されています。
消費者保護の観点では、学習塾は「特定商取引法」における特定継続的役務提供に該当する役務のひとつとされ、契約書面の交付義務、クーリング・オフ、中途解約制度などが適用されます。消費者庁のガイドによれば、学習塾・家庭教師・語学教室などがこの枠組みの対象となっており、長期・高額の契約においてトラブルが生じやすいことを前提に、事業者に対する行為規制が設けられています。
加えて、不当景品類及び不当表示防止法(景表法)により、合格実績や指導成果、料金に関する表示は、客観的な根拠を欠いた過大表示が禁止されています。消費者契約法は、誤認や困惑を招く勧誘により締結された契約の取り消しを認めており、説明義務の履行や勧誘方法の適正化が求められます。個人情報保護法および個人情報保護委員会のガイドラインにより、生徒・保護者の連絡先情報、成績データ、出欠情報などの取り扱いについても適切な管理体制構築が必須です。
DXの観点では、オンライン授業・学習管理システム(LMS)、電子契約・電子帳票、オンライン決済、学習履歴・成績データの分析などが進展しています。これに伴い、クラウドサービス利用に関する情報セキュリティ対策や、学習データの二次利用・分析に関するプライバシー保護への配慮も重要になっています。
注記:経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」は、2024年12月調査をもって終了しており、今後は統計の継続性や代替データの活用に留意する必要があります。

M&A観点
制度・規制・DXの観点では、①特定商取引法・景表法・消費者契約法・個人情報保護法への対応状況、②文部科学省ガイドライン等に沿った情報公開・自己評価の実施状況、③学習管理システムやオンラインプラットフォーム、CRM等のIT基盤整備状況が、デューデリジェンス時の重要な評価ポイントとなります。教育DXプラットフォームやLMSを保有する事業者の買収・資本業務提携は、既存塾チェーンにとってサービス高度化・データ活用を一気に進める手段となり得ます。

供給・ロジスティクス/サプライチェーン(教材・コンテンツ・ICT)

学習塾のサプライチェーンは、主に「教材・テスト・コンテンツ」と「ICT・設備」に分けて考えることができます。前者には、教科書準拠教材やオリジナルテキスト、問題集、模擬試験・外部模試、英検等の検定連携教材、映像授業コンテンツなどが含まれます。後者には、PC・タブレット端末、電子黒板、ネットワークインフラ、LMS・テスト配信システム、保護者向けアプリなどが含まれます。
教材・模試については、大手教材出版社や模試会社との取引が中心であり、全国規模で利用される標準教材をベースに、各塾が独自プリント・カリキュラムで差別化を図る構造が一般的です。近年は、タブレット向けデジタル教材やAIドリル、アダプティブテストなどが増加しており、紙教材中心の塾でも一部教科・学年からデジタルコンテンツを取り入れるケースが増えています。
ICT投資は、初期投資とランニングコストの両面で中小塾にとって負担になりやすい領域です。クラウド型の月額課金サービスが普及したことで導入ハードルは下がったものの、高速インターネット回線・端末更新・サポート費用などを含めた総コストを踏まえると、1教室あたりの投資余力に応じた優先順位付けが必要になります。大手では本部主導で統一システムを導入し、授業配信・宿題管理・成績管理・保護者連絡などを一体で運用する動きがみられます。

M&A観点
供給・コンテンツ・ICTの観点では、①自社オリジナル教材・模試・映像コンテンツを保有する企業、②AIドリル・学習アプリ・LMSなどEdTechサービスを提供する企業、③塾専用POS・CRM・教務システムなどを開発するベンダーとのM&A・資本業務提携が重要です。買い手側にとっては、コンテンツやシステムをグループ内で横展開することにより、1教室あたりの教材原価やシステム費用を逓減させ、同時にサービス差別化を図ることができます。

人材(講師・教室長・本部スタッフ)

学習塾ビジネスの最大の資産は「人材」であり、講師の質がサービスの品質をほぼ決定づけると言っても過言ではありません。主な職種としては、専任講師・非常勤講師、教室長・教室運営スタッフ、エリアマネージャー、本部スタッフ(カリキュラム開発・教材編集・マーケティング・DX担当・人事など)が挙げられます。
全国学習塾協会の業況調査等によれば、多くの事業者が講師の採用・定着を重要課題として挙げており、特に大学生アルバイト講師に依存する個別指導塾では、採用市場のひっ迫や待遇改善要請により人件費負担が増加する傾向にあります。他方、専任講師比率を高めることで授業品質を安定させている塾もありますが、その場合は固定費負担が大きくなり、稼働率管理・授業コマ数の平準化が収益性の鍵となります。
労務面では、夕方〜夜間の勤務が中心となる業態特性から、長時間労働・休日取得の難しさが課題とされてきました。働き方改革関連法制の施行や人手不足を背景に、授業時間帯の見直し、授業準備・事務作業の効率化、オンライン授業の活用による移動時間削減などを通じて、講師・教室長の労働時間を抑制する取り組みが進んでいます。
また、EdTech活用やデータ分析が進む中で、教務スキルに加え、ICTリテラシーやデータリテラシーを備えた人材の重要性も高まっています。本部レベルでは、デジタルマーケティング、プロダクトマネジメント、CRM運用など、他業種と共通する高度専門職の採用ニーズも顕在化しています。

M&A観点
人材の観点では、①人材育成・研修体系が整備されている企業、②評価制度と報酬制度が明確で離職率が低い企業、③採用力や育成ノウハウを持つ企業は、買い手にとってPMI時の「人材面ロールモデル」となり得ます。特に、買い手が異業種や新規参入企業である場合、既存塾チェーンのマネジメント層・教室長・教務責任者をどの程度維持・活用できるかが、M&A成功の成否を左右します。

ガバナンス/広告・品質/コンプライアンス

学習塾業界では、子どもを対象とするサービスであるがゆえに、安全管理・ハラスメント防止・情報管理など、ガバナンス・コンプライアンス体制が重視されています。文部科学省のガイドラインや各種調査研究では、民間教育事業者が自らのサービスの質を保証し、学習者や保護者に対して適切な情報を提供することの重要性が繰り返し指摘されています。
広告・表示の面では、合格実績や合格者数の表示、偏差値や難易度の表現、料金表示などに関して、景表法や特定商取引法、消費者庁のガイドに沿った適正表示が求められます。例えば、「〇年連続合格者数No.1」などの表現には合理的根拠が必要であり、過度な成功事例を強調するプロモーションはクレームや行政指導のリスクを伴います。
子どもの安全・防犯の観点では、送迎時の安全管理、防犯カメラの設置、入退室管理システムの導入、不祥事発生時の迅速な情報開示や再発防止策などが重要です。全国学習塾協会は、新型コロナウイルス感染症対策ガイドラインやその講習制度を策定しており、感染症対策を含む安全対策の標準化が進んでいます。
情報セキュリティ面では、生徒・保護者の個人情報や成績データ、オンライン授業における映像・音声データなどを扱うため、アクセス権管理、暗号化、ログ管理、外部委託先の管理など、一般的な情報セキュリティ対策に加え、教育データの取扱いに配慮したルール作りが求められます。内部通報制度やハラスメント相談窓口の整備も、レピュテーションリスク管理の一環として重要です。

M&A観点
ガバナンス・コンプライアンスの観点では、①広告表示・契約書面・返金規定などの適正性、②安全管理・ハラスメント防止・個人情報保護体制、③内部統制・内部通報制度の有無・機能度合いが、デューデリジェンスにおける重要な確認ポイントとなります。買収後にコンプライアンス問題が顕在化した場合、ブランド価値の毀損や生徒離脱につながるリスクが高く、M&Aの前段階でリスクを適切に評価し、PMIでグループ標準のガバナンス体制に統合することが不可欠です。

M&Aリレーション(業界再編の潮流)

学習塾業界では、全国チェーン〜地域チェーンによる中小・個人塾の買収や、幼児教室・英会話スクール・スポーツ教室など隣接分野との統合など、多様なM&Aが行われています。学習塾専門のM&A仲介サイトや業界記事では、難関校受験塾、個別指導塾、オンライン学習サービス、EdTech企業などを対象とした取引事例が数多く紹介されており、学習塾事業が事業承継・事業多角化の対象として注目されていることがうかがえます。
他方で、東京商工リサーチや帝国データバンクの調査によれば、学習塾の倒産件数は2023年に45件と2000年以降で最多となり、2024年には53件へとさらに増加、2025年も1〜9月だけで37件と過去最多ペースで推移しているとされています。休廃業・解散も含めると退出件数はさらに多く、少子化と競争激化により中小塾の経営環境が厳しさを増していることがわかります。
また、学習塾市場では新規参入も活発です。東京商工リサーチの分析によると、2023年の学習塾市場では、休廃業・解散が113社である一方、新設法人が519社と、退出を大きく上回る新規参入が続いています。小資本でも開業しやすく、個人の経験・ノウハウを活かしたビジネスとしての魅力がある一方で、競争は構造的に激化しやすい環境にあります。

M&A観点
業界再編の潮流としては、①後継者難・経営者高齢化を背景にした地域密着塾の承継ニーズ、②難関校受験や特定科目に強みを持つ専門塾のブランド・ノウハウ取得、③幼児教育・英会話・プログラミング教室など周辺教育事業とのグループ化、④オンライン塾・EdTech企業との垂直・水平統合、が主要なテーマです。スケールメリット(教材・マーケティング・IT・採用)を活かしやすい一方、買収後に講師の退職やブランド毀損が生じるリスクもあるため、ターゲット企業の強みを尊重したPMI設計が成功の鍵となります。

学習塾業界の今後の課題と展望

ここでは、今後3〜5年程度を想定し、学習塾業界の主要な課題と対応策、その中でのM&Aの役割について整理します。少子化や教育制度改革、デジタル化の進展など不確実性が高いため、あくまで「ベースシナリオ」「上振れシナリオ」「下振れシナリオ」としての概括的な見通しであり、個別企業・地域ごとの事情に応じた精査が必要です。
ベースシナリオでは、児童生徒数は年率0.5〜1.0%程度で減少する一方、学習塾の1人当たり単価や高付加価値コース比率の上昇により、業界全体の売上高は横ばい〜緩やかな増加(年率0〜1%程度)を維持する姿が想定されます。上振れシナリオでは、教育DXの進展や外部試験・資格ニーズの高まりにより、高付加価値サービス比率が高まり、1人当たり売上が想定以上に上昇するケースが考えられます。下振れシナリオでは、家計の実質所得低下や価格競争の激化により、単価上昇が抑制され、倒産・撤退が増加する一方で、価格重視のオンラインサービスへのシフトが進む可能性があります。

利益率圧迫要因と収益モデルの再設計

課題
学習塾の収益性は、人件費・賃料・光熱費・広告宣伝費・ITコストなどの固定費の影響を強く受けます。東京商工リサーチの調査では、主要学習塾396社のうち約3割が赤字であり、2023年度は売上高が微増する一方、最終利益が減少していることが報告されています。教室賃料や電気料金の上昇、講師の採用難に伴う人件費の増加、オンライン授業・LMS導入に伴うシステム費用など、複数のコスト要因が利益率を圧迫しています。
対応策

利益率改善に向けては、以下のような収益モデルの再設計が検討されます。

  • 「単価戦略」の見直し:一律値上げではなく、難関校受験・少人数ゼミ・探究学習・英語4技能・STEAM・プログラミングなど付加価値の高いコースにプレミアム料金を設定し、標準コースとの価格差を明確化する。
  • 「学年縦断・一貫教育モデル」の構築:幼児〜小学生〜中学生〜高校生までを一貫して受け入れることで、LTV(ライフタイムバリュー)を高め、広告費の効率化を図る。
  • 「稼働率管理」の高度化:時間帯別・教室別・コース別の稼働率を可視化し、低稼働時間帯のクラス統合や講座入れ替え、オンライン併用による教室稼働の平準化を図る。
  • 「費用構造」の見直し:紙教材からデジタル教材への一部移行や、本部主導での教材・備品一括購買によるスケールメリットの活用、広告媒体のデジタルシフトによるCPAの改善など。
M&A観点
高付加価値コースや独自カリキュラム、探究学習プログラム、オンライン講座を有する事業者の買収は、既存チェーンの単価戦略・コースポートフォリオを強化する上で有効です。また、教材出版社・コンテンツプロバイダ・EdTech企業をグループに取り込むことで、自社グループ内で完結する教材・システム供給体制を構築し、中長期的な原価率改善につなげることも可能です。さらに、採算性の低い教室の統廃合や賃料交渉を前提とした再編案件では、1教室あたりの収益性向上をKPIとしたPMI計画が重要となります。

教室網・フォーマット戦略(出店・統廃合・FC)

課題
少子化が進む中で、既存教室網を維持するだけでは、教室あたりの生徒数・売上高が低下し、固定費負担を吸収できないリスクがあります。特に郊外・地方都市・人口減少地域では、通塾圏内の児童生徒数が長期的に減少することが確実視されており、従来と同じ教室配置では座席稼働率の低下や講師の稼働効率悪化が避けられません。
対応策

教室網・フォーマット戦略としては、以下のような方向性が考えられます。

  • 都心部では、駅前一等地の大型旗艦校に高付加価値コースと面談機能を集約し、周辺に小型サテライト校を配置する「ハブ&スポーク」型配置により、講師・設備の集約とブランド訴求を両立する。
  • 郊外・地方では、学年やコースを絞り込んだ小型教室への転換や、他業態(学童保育・習い事・予備校など)との複合化によるスペース効率改善を図る。
  • FCモデルを活用し、物件開拓や地域採用を加盟オーナーに委ねつつ、本部はブランド・教材・システム提供に集中することで、資本効率と成長スピードのバランスを取る。
  • オンライン専用コースやハイブリッドコースを設け、物理的な通塾圏を超えた生徒獲得を図るとともに、1教室あたりの定員制約を緩和する。
M&A観点
教室網・フォーマット戦略の観点では、①特定エリアで強いブランドとシェアを持つ地域塾のグループ化、②空白エリアへの一括参入を目的としたチェーン同士の統合、③FC本部と加盟教室の同時承継、が重要なシナリオとなります。買い手側は、人口動態・通学動線・競合配置を踏まえて、買収後3〜5年での教室統廃合・移転・フォーマット変更シナリオを描き、1教室あたり売上高・営業利益の目標値(例:2024年度比で10〜20%増など)をKPIとしてPMI計画を策定することが望ましいです。

人材確保・育成・働き方改革

課題
講師・教室長の採用難と離職率の高さは、多くの学習塾に共通する課題です。少子化に加え、若年層の就労機会が多様化する中で、夕方〜夜間中心の勤務や土日出勤を伴う学習塾業は、人材確保の面で他業種と比較して不利になりやすい側面があります。大学生アルバイト講師に依存するモデルでは、採用・シフト調整の手間や、一定期間ごとに入れ替わることによる授業品質のばらつきも懸念されます。
対応策

人材確保・育成・働き方改革に向けては、以下のような取り組みが有効と考えられます。

  • 評価・報酬制度の透明化:授業評価・入会数・継続率・教室収益などを踏まえた評価指標を明文化し、昇給・昇格・インセンティブとの連動を明確にする。
  • 研修体系の整備:新人研修・教科別研修・授業スキル研修・保護者対応研修・マネジメント研修などを体系化し、オンライン研修も組み合わせて、教室間での指導品質のばらつきを抑制する。
  • シフト設計と業務分担の見直し:授業と事務作業を役割分担し、講師は授業・教材研究に集中し、事務スタッフが入退会手続きや経理処理を担うなど、専門性に応じた業務設計とする。
  • 働き方改革:授業準備の標準化・教材の共通化・ICT活用により、残業時間を削減しつつ、オンライン授業や録画授業の活用で柔軟な勤務形態を実現する。
M&A観点
人材面のM&Aシナリオとしては、①体系的な研修・評価制度を構築している企業をロールモデルとしてグループ全体に展開する、②教室長・マネージャー層の層が厚い企業を買収し、PMIで人事・評価制度を統合する、③採用ブランディングや人材紹介ネットワークに強みを持つ企業との連携を通じて、採用基盤を強化する、といった方向性が考えられます。買収後には、キーパーソン講師・教室長の早期退職を防ぐためのインセンティブ設計や、役職・役割の明確化が重要になります。

デジタル/データ活用・EdTech・AI

課題
オンライン授業やLMS、学習アプリなどの導入が広がる一方で、多くの学習塾ではシステムが部分的・断片的に導入されており、「データが点在していて活用できていない」「現場での運用負荷が高く、形骸化している」といった課題がみられます。システム投資負担に対する慎重姿勢や、現場講師のITリテラシー格差も、デジタル化のボトルネックになり得ます。
対応策

デジタル・データ活用に関する対応策としては、以下が挙げられます。

  • 段階的導入:まずは入退室管理・保護者連絡・請求管理など、現場の業務効率化と安全性向上に直結する領域から導入し、その後、学習履歴管理やテスト分析、カリキュラム自動編成など高度な機能へ発展させる。
  • 標準KPIの設定:継続率・退塾率、講座別利益、キャンペーン別入会数、オンライン受講比率など、データで追うべき指標を絞り込み、全教室で共通のダッシュボードを用いる。
  • 外部パートナーとの連携:自社でゼロからシステムを構築するのではなく、EdTechベンダーやSaaSプロバイダを活用し、必要な機能を組み合わせることで投資負担を抑える。
  • 生成AI・AIドリルの活用:宿題添削・質問応答・個別カリキュラム提案など、生成AIを活用する際には、誤答リスクや個人情報保護に配慮しつつ、講師の業務を補完する形で導入する。
M&A観点
デジタル・データ活用の加速には、EdTech・AIベンダーとのM&A・資本業務提携が有力です。「未来の教室」ビジョンで示されるような学びの自立化・個別最適化を実現するためには、学習ログ・テストデータ・行動データを統合的に扱う基盤が必要であり、こうした基盤を有する企業を取り込むことで、一気にDXを進めることができます。買収後は、データ定義・ID体系・プライバシーポリシーをグループ全体で統一し、徐々に教室運営・指導改善・マーケティングにデータ活用を浸透させることが重要です。

ガバナンス/コンプライアンス・リスク管理

課題
前述のとおり、学習塾は特定商取引法の特定継続的役務提供に該当し、長期・高額契約に関する契約トラブルや広告表示に関する問題が発生しやすい業態です。また、子どもを対象とするサービスであることから、ハラスメント・性被害・安全管理・情報漏えいなどに関する事件が発生した場合の社会的影響が大きく、レピュテーションリスクが高いといえます。
対応策

ガバナンス・コンプライアンス・リスク管理に関する対応策としては、以下が挙げられます。

  • 法令対応の明文化:特定商取引法・景表法・消費者契約法・個人情報保護法などの要点を社内規程やマニュアルに落とし込み、全教室で共通の契約書式・重要事項説明書・広告テンプレートを用いる。
  • 安全管理体制の整備:防犯カメラ・入退室管理・送迎ルール・避難訓練・事故発生時の対応フローを整備し、従業員研修を継続的に実施する。
  • 内部通報・相談窓口の設置:ハラスメント・不正・ルール違反の相談窓口を設け、匿名相談も含めて早期に問題を把握・是正できる仕組みを整える。
  • 倒産・資金繰りリスクのモニタリング:金利上昇や信用環境の変化を踏まえ、キャッシュフロー・借入状況・保証人リスクを継続的にモニタリングし、必要に応じてリファイナンスや資本増強を検討する。
M&A観点
M&Aにおいては、ガバナンス・コンプライアンスの状況は財務指標と同等に重要です。買収候補先について、過去のクレーム・訴訟・行政指導の有無、広告表示・契約書式・個人情報管理の運用実態、ハラスメント・安全管理に関する内部ルールと運用状況などをデューデリジェンスで確認し、リスクが高い場合は価格調整や条件設定、買収後の早期是正計画を検討する必要があります。PMIでは、親会社側のコンプライアンス基準を段階的に適用しつつ、現場の負荷とバランスを取りながらルール統合を進めることが重要です。

地域・エコシステム連携・外需

課題
地域によっては、学校・自治体・NPO・企業などと連携した放課後学習支援や探究学習プログラムが拡大しており、学習塾単独では対応しきれないニーズが増えています。また、人口減少地域では、個々の塾が単独で教室運営を続けることが難しくなりつつあり、地域全体で教育リソースをどのように維持・活用するかが課題となっています。
対応策

地域・エコシステム連携・外需の観点では、以下のような方向性が考えられます。

  • 地域包括的な教育ネットワークへの参画:自治体や学校、NPOと連携し、放課後学習支援・不登校支援・探究学習プログラムなどを共同で企画・運営することで、地域教育インフラとしての役割を高める。
  • 共同購買・共同マーケティング:地域の複数塾が協同組合的なスキームで教材・備品の共同購買や合同説明会・模試の共同実施を行い、コスト削減と認知度向上を図る。
  • 外需・越境教育の活用:日本語教育や日本の入試制度に対応した指導を行う海外校との連携、オンラインを活用した在外日本人・帰国子女向けサービスなど、対象市場を国内に限定しない事業展開を検討する。
M&A観点
地域・エコシステム連携の観点では、①地域内の複数塾をグループ化しつつ、自治体・学校との連携窓口を一元化する「地域教育プラットフォーム」の構築、②日本語学校や留学支援事業者との統合によるクロスボーダー教育サービスの展開、といったシナリオが考えられます。こうした統合は、単なる売上・利益の足し算にとどまらず、地域や特定セグメントに対する包括的な教育サービス提供能力を高める観点から検討することが重要です。
学習塾の経営が厳しいと言われる理由と成功させるためのポイント
全国学習塾協会|学習塾事業者における新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン(第7版)
全国学習塾協会|2021年8月?12月 学習塾の業況調査結果について
学習塾の買収|動向・事例・メリット・デメリット・進め方を解説
学習塾の倒産、2023年は過去20年間で最多…原因は?
特定サービス産業動態統計調査(学習塾の売上高、受講生数、事業所数、従業者数及び講師数 年次・実数)
経済産業省|『未来の教室』ビジョン(第2次提言)
経済産業省|止まらない少子化、学習塾への影響は?
経済産業省|調査の結果|特定サービス産業動態統計調査
文部科学省|民間教育事業者における評価・情報公開等の在り方に関する調査研究
文部科学省|民間教育事業者における評価・情報公開等に係るガイドライン
文部科学省|令和6年度学校基本調査(確定値)について
特定継続的役務提供 - 特定商取引法ガイド
総務省統計局|人口推計(2024年(令和6年)10月1日現在)
総務省統計局|家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)平均結果の概要
東京商工リサーチ|上半期の『学習塾』の倒産 過去最多の26件 少子化のなか新規参入が相次ぎ、競争が激化
東京商工リサーチ|全国396社『学習塾』業績動向調査

学習塾業界における
M&A活用のメリット

学習塾業界におけるM&A活用のメリットをご紹介します。

譲渡側のメリット
  • グループを形成することにより、教材、映像コンテンツ、教師の充実が見込め、教務レベルが向上する
  • 後継者問題を解決できる
  • オーナー社長は個人保証や担保提供から解放され、ハッピーリタイアができる
  • 個人保証や担保提供から解放されたうえで役員等として継続してかかわることも可能
  • 事業意欲旺盛な会社との協業により、相互に発展することが可能
  • 適切な会社に譲渡すれば、社員の雇用は保証され、成長機会も増える
譲受け側のメリット
  • 立地のよい土地・建物を獲得できる
  • 知名度・ブランドの獲得
  • 売上規模・シェアの拡大が見込める
  • 事業多角化・新規事業への参入
  • 人的リソースを獲得できる
  • バリューチェーンの補完・関連事業領域の拡大
  • リスク分散ができる
  • 財務力強化・コストの削減(管理部門コスト等)
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学習塾業界で
M&Aを実行する際のポイント

学習塾業界でM&Aを実行する際に注意すべきポイントには、下記のようなものがあります。

  • 取引先等との関係性
  • 人的リソース管理
  • 財務問題
  • 労働問題
  • コンプライアンス
  • ガバナンス・管理体制

ここでは一般的なポイントをご紹介させていただいておりますが、実際には、個別事情を勘案すると大きく変わります。また、業界によっては独自の規制や商習慣が存在するため、M&Aの仲介を行ううえで、それぞれの業種・業界の特性を正しく理解していることが非常に大切です。日本M&Aセンターでは各業界に精通したコンサルタントが所属しているため、専門性の高いサービスを提供させていただくことが可能です。
当社では秘密保持を厳守のうえ、個別相談を無料でお受けしています。当社は全国に拠点を展開しております。気になることがありましたら、お気軽にお問い合わせください。

学習塾業界における
M&Aの価格相場

学習塾業界のM&Aにおける価格や相場感について説明いたします。まず、中小企業のM&Aには明確な相場が存在せず、最終的な価格は売り手と買い手の交渉によって決まることが特徴です。M&Aの価格は、業種や企業の規模、人材の質、財務状況、ブランド力、将来性、市場環境など、多岐にわたる要素によって変動します。そのため、個別の状況を考慮しながら価格が算出されることになります。
M&Aの価格算定にはいくつかの評価方法がありますが、その中の一つに「取引事例法」があります。取引事例法は、過去のM&A事例の中から、事業内容や地域、財務指標が似ている企業の売買実績を基に価値を評価する方法です。取引事例法において重要なのは、類似の取引事例を参考にすることですが、類似条件を見つけるためには、相当数の事例を蓄積する必要があります。非上場企業のM&Aの多くが非公開情報であることから、他社の実績を参考にすることはハードルが高い方法でもあります。その点、日本M&Aセンターでは、M&Aにおいて成約実績10,000件超、M&A成約件数で世界No.1*のギネス世界記録™に5年連続で認定されるなど、豊富な実績があります。事業内容や地域、財務指標に基づく似た会社の売買事例を選定し、一定のルールに従って公正な価値評価を行うことが可能です。こちらから当社の株価算定シミュレーションを体験することができます。

※ギネス世界記録™:M&Aフィナンシャルアドバイザリー業務の最多取扱い企業 2020~2023年に続き、5年連続でギネス世界記録™に認定

あなたの会社の評価額はいくら?

無料で診断(かんたん60秒

あなたの会社が現在どう評価をされるか、ぜひ見てみませんか?

次に、より高い評価を得て会社を高く譲渡売却するためには、よりシナジーのある買い手を見つけることが重要です。M&Aの最終価格は、売り手企業と買い手企業の交渉によって決まるため、買い手が「この会社が欲しい」と思う要素を増やしていく必要があります。例えば、現在、学習塾業界の市場では人材不足が全体的な問題となっており、若くて優秀な人材を採用できる利点がある場合、買い手企業にとってM&Aの魅力が増します。
さらに、コンプライアンスやガバナンスに関する問題も重要な要素です。具体的には、顧客とのトラブルが存在しないか、社会保険への適切な加入状況が確認されることが求められます。これらの問題があると、潜在的な費用や負債として見なされ、価格交渉において不利な要因となり得ます。これらの要素が事前にクリアである場合、買い手企業も安心してM&Aを進めることができ、価格交渉もスムーズに進行しやすくなる傾向があります。
最後に、M&Aを成功させるためには、総合的に企業の魅力を高める努力が欠かせません。これは、価格評価への影響だけでなく、交渉の流れにも深く関わる要素であるといえるでしょう。

なお、実際には個別の業種や取引環境等によって価格相場は変動しますし、場所や経営状態によっても大きく左右されます。初期的なご相談や、簡易的な株価診断は無料にておこなっておりますので、よりくわしく評価や課題について聞きたい方は、弊社コンサルタントから詳細をご説明いたしますので、お気軽にご相談ください。

株式会社日本M&Aセンター

業界別M&Aレポート編集部

株式会社日本M&Aセンター

業界別M&Aレポート編集部は、日本M&Aセンターの社員によって執筆・運営されています。各業界・業種のM&Aや事業承継に関する情報、トピックをお届けします。

学習塾業界の
最新M&A事例を解説

学習塾業界は、少子化による生徒数の減少、EdTechの普及や、新カリキュラムへの対応など変化が大きい業界です。また、経営者の高齢化や人手不足が進む中で、事業承継を目的とするM&Aが増加しています。また、新規参入を目指す企業も、M&Aを通じて事業を拡大しようと活動しています。

教育サービス×投資会社
NSSKグループ、ウィザスの完全子会社化に向けTOB実施へ

譲渡企業
株式会社ウィザス(9696)
譲受け企業
株式会社日本産業推進機構(東京都港区)、株式会社NSSK-J1(東京都港区)

M&Aの概要

スキーム:TOB 実行時期:2025年7月頃(予定)

2025年6月9日、株式会社日本産業推進機構(以下:NSSK)は、株式会社NSSK-J1を通じて、株式会社ウィザス(9696)の株券等を公開買付け(TOB)により取得することを決定しました。ウィザスは、本TOBに対して賛同を表明しています。TOBが成立した後、ウィザス株式は上場廃止となる見通しです。

NSSKグループは、投資運営事業を展開しています。
ウィザスは、総合教育サービス企業として、広域通信制単位制高等学校及び学習塾の運営を主たる業務として行っています。

NSSK-J1は、ウィザスを完全子会社化することにより、今までウィザスが築き上げてきたブランド・事業基盤を活かしつつ、NSSKグループが有する経営資源、教育業界における知見及びネットワークの提供により、ウィザスの企業価値向上を狙います。
具体的には以下のような支援を想定しています。
・経営の見える化の促進
・内部管理体制(ガバナンス)の強化
・従業員の定着率の向上
・M&A及び事業提携による非連続的な成長の実現

買付け等の期間
2025年6月10日(火曜日)から 2025年7月22日(火曜日)まで(30営業日)

スポーツジム×学習塾
ナガセ、住友ゴム工業傘下のダンロップスポーツウェルネスを買収

譲渡企業
株式会社ダンロップスポーツウェルネス(千葉県千葉市)
譲受け企業
株式会社ナガセ(9733)

M&Aの概要

スキーム:株式譲渡 実行時期:2024年12月13日

2024年9月27日、株式会社ナガセは、株式会社ダンロップスポーツウェルネスの株式を取得し、子会社化することを決定しました。

ナガセは、高校生部門(東進ハイスクール、東進衛星予備校、早稲田塾等)、小・中学生部門(四谷大塚等)の塾・予備校事業等を展開しています。
ダンロップスポーツウェルネスは、フィットネスジムの運営を主な事業として行っています。

ナガセは、2008年に株式会社イトマンスイミングスクールを、2022年に株式会社イトマンスイミングスクールをグループ会社化し、「心・知・体」の教育を総合的に行える体制を構築しました。
フィットネス事業を主な事業とし、幅広い年齢層を対象とするダンロップスポーツウェルネスと、小学生・幼児向けのスイミングスクール事業中心のイトマン、イトマンスポーツでは、会員の重なりが少なく、拠点の重複もないことから、3社を合わせると、品質や事業規模においても日本を代表する総合型スポーツジム、スイミングスクールとなることが期待できるため、本件M&Aの実行に至りました。

ナガセは、ダンロップスポーツウェルネス、イトマンスイミングスクール及びイトマンスイミングスクールの知見・ノウハウを、生徒指導面、募集施策面、校舎運営面で相互に融合し、有効に活用することで、各地域において、ブランド力、顧客満足度を高めた発展を目指す予定です。
ダンロップスポーツウェルネスを取得後、運営会社の商号を株式会社イトマンスポーツウェルネス、スポーツクラブの名称を「イトマンスポーツスクエア」にそれぞれ変更しています。

幼児教育×学習塾
早稲田アカデミー、幼児教室経営の幼児未来教育を買収

譲渡企業
株式会社幼児未来教育(東京都渋谷区)
譲受け企業
株式会社早稲田アカデミー (4718)

M&Aの概要

スキーム:株式譲渡 実行時期:2024年1月31日

株式会社早稲田アカデミーは、2024年1月31 日付で、株式会社幼児未来教育(東京都渋谷区)の全株式を取得し、子会社化しました。

早稲田アカデミーは、小学生・中学生・高校生を対象とする進学塾の経営など、進学塾事業を展開しています。
幼児未来教育は、「ベンチャースクール サン・キッズ」のブランド名で、1歳から6歳までの未就学児を対象とする幼児教室を経営しており、東京都心部の3教室において独自のプログラムによる学びを提供しています。加えて、幼稚園受験や小学校受験への充実した対策プログラムも有しています。

早稲田アカデミーは、幼児未来教育がグループに加わることで、新たな事業領域に進出できるようになります、また、同社が持つ未就学児向けの教育ノウハウの共有、並びにこれまで接点が少なかった顧客層との接点強化により、ライフタイムバリュー(顧客生涯価値)を高めることができ、一層の業容拡大を推進することが可能と捉えています。さらに両社の理念や事業の親和性も高いことから、幼児未来教育を子会社化することにより、女性活躍の場を広げていく取り組みも含め、早期のシナジー創出が実現できるものと考えています。

学習塾業界の
M&Aニュース

学習塾業界のM&Aニュースを表示します。

学習塾業界のM&Aニュース一覧

学習塾業界の
M&A仲介実績

日本M&Aセンターが仲介・支援して成約した学習塾業界のM&A案件をご紹介します。
※現在、2025年9月までの実績を掲載しています。次回の更新(2025年10月~12月分)は2026年1月30日以降の予定です。

譲渡・売却企業 譲受け・買収企業
2025年9月 教育(関東) ファンド(関東)
2025年9月 教育(関東) ホテル・旅館(関東)
2025年6月 出版(海外) 労働者派遣(関東)
2025年6月 セールスプロモーション(関東) 出版(東海・北陸)
2025年3月 乳幼児向け教育・施設(関東) 労働者派遣(関東)
2025年3月 畜産加工・卸売(九州・沖縄) 教育(関西)
2025年2月 出版業(関東) 法人向けサービス(関東)
2025年2月 自動車教習所(中国・四国) 教育(中国・四国)
2025年1月 乳幼児向け教育・施設(関東) 教育(関東)
2024年12月 アパレル(北海道・東北) その他(関東)

学習塾業界を含む教育・出版業のM&A仲介実績一覧

学習塾業界の
最新のM&A事例インタビュー

当社の仲介によりM&A・事業承継された学習塾業界の事例を、経営者様へのインタビュー形式でご紹介します。

学習塾業界のM&A事例インタビュー一覧

学習塾業界の
セミナー情報

当社では、M&Aや事業承継をはじめ、経営に役立つさまざまセミナーを開催しております。ぜひご参加ください。

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