紙・パルプ・紙加工品製造業界のM&Aと事業承継の動向・案件情報2025年最新版
紙・パルプ・紙加工品製造業界に関する最新のM&A動向をご紹介します。 近年の市場推移やトピックス、業界再編にまつわる情報、紙・パルプ・紙加工品製造業界の周辺業界を含めたM&A・事業承継の事例をわかりやすく解説しています。 また、日本M&Aセンターが取り扱う最新のM&A案件、当社仲介によりM&Aを実行された経営者様の事例、 各業界の動向やM&A(第三者承継)への理解を深めるセミナー情報などもご紹介します。
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⽬次
紙・パルプ・紙加工品製造業界の概要とM&A動向
紙・パルプ・紙加工品製造業界(製紙業界)は、広義において紙の製造・加工を行う業種です。具体的には、印刷紙や衛生用品などに使用される紙の製造をはじめ、その原料となるパルプや段ボール、紙袋といった紙加工品の製造事業が含まれます。この業界には、大手企業として王子ホールディングスや日本製紙が分類されます。
近年、製紙業界はデジタル化やペーパーレス化の影響により、紙の需要が2000年頃をピークに緩やかに低下しています。これは、人口減少や少子化、ICT化といった構造的な要因が背景にあります。これにより、特にグラフィック用紙(新聞用紙や印刷・情報用紙)の需要は低迷している一方、板紙、特に段ボール原紙は、加工食品や家電向けの安定した需要とEコマースの普及に支えられ、堅調に推移しています。
さらに、コロナ禍の状況が改善し人流が回復したものの、デジタル化の進展や在宅勤務の定着により、コピー用紙(PPC用紙)の需要は引き続き低迷しています。それとは対照的に、パッケージング用紙は食品関連の需要の高まりや、衛生用紙の業務用向け需要の増加によって前年を上回る結果となっています。特に衛生用紙は、コロナ禍における業務用需要の回復を受け、コロナ前の水準を超える成長を示しています。また、段ボール原紙はEC需要の高まりとともに、2年連続で過去最高の生産量を記録しました。
このような状況を踏まえ、製紙業に関わる企業は単なる用紙製造にとどまらず、事業の多様化を図っています。具体的には、パルプを新しい素材として活用したり、森林事業を展開することで環境保護にも力を入れています。
また、EC用段ボールの需要増加に対応するため、2020年以降、全国の段ボール製造企業を買収し、グループ内でのリサイクルを促進するなど、M&Aを通じて社会の変化に適応しようとする動きも活発化しています。
このように、紙・パルプ・紙加工品製造業界はデジタル化や環境問題に直面しつつも、需要のシフトに対応しながら成長を続けています。M&Aを通じて新たな事業機会を模索する姿勢は、今後の業界発展にとって重要です。
紙・パルプ・紙加工品製造業界における
M&A活用のメリット
紙・パルプ・紙加工品製造業界におけるM&A活用のメリットをご紹介します。
- 譲渡側のメリット
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- 規模の拡大による交渉力の向上、収益性の改善、多品種(規格の多様化や防水・防錆等の機能化)、ロットの少量化、納期の短縮等が期待できる
- 事業意欲旺盛な会社との協業により、相互に発展することが可能
- 適切な会社に譲渡すれば、社員の雇用は保証され、成長機会も増える
- 後継者問題を解決できる
- オーナー社長は個人保証や担保提供から解放され、ハッピーリタイアができ、必要に応じて、役員等として継続してかかわることも可能
- 譲受け側のメリット
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- 地域産業的な性格が強いため、買収により新しいエリアに進出できる
- 商品・サービスの拡充、商圏の開拓
- 売上規模・シェアの拡大が見込める
- 規模の拡大による交渉力の向上、収益性の改善が見込める
- 新たな流通経路を獲得することでクロスセルが見込める
- 事業多角化・新規事業への参入
- 人的リソースを獲得できる
- コストの削減・財務力強化(仕入れコスト、管理部門コスト、物流コスト等)
- 垂直統合により、製造から流通までを一括化できる
- バリューチェーンの補完・関連事業領域の拡大
- リスク分散ができる
紙・パルプ・紙加工品製造業界で
M&Aを実行する際のポイント
紙・パルプ・紙加工品製造業界でM&Aを実行する際に注意すべきポイントには、下記のようなものがあります。
- 在庫の評価(デッドストック)
- 売掛金・受取手形勘定の毀損
- 与信管理体制
- 元請提出用帳簿の存在
- 取引先等との関係性、一社偏重の度合い
- 人的リソース管理
- 財務問題
- 労働問題
- コンプライアンス、ガバナンス・管理体制
ここでは一般的なポイントをご紹介させていただいておりますが、実際には、個別事情を勘案すると大きく変わります。また、業界によっては独自の規制や商習慣が存在するため、M&Aの仲介を行ううえで、それぞれの業種・業界の特性を正しく理解していることが非常に大切です。日本M&Aセンターでは各業界に精通したコンサルタントが所属しているため、専門性の高いサービスを提供させていただくことが可能です。
当社では秘密保持を厳守のうえ、個別相談を無料でお受けしています。当社は全国に拠点を展開しております。気になることがありましたら、お気軽にお問い合わせください。
紙・パルプ・紙加工品製造業界における
M&Aの価格相場
紙・パルプ・紙加工品製造業界のM&Aにおける価格や相場感について説明いたします。まず、中小企業のM&Aには明確な相場が存在せず、最終的な価格は売り手と買い手の交渉によって決まることが特徴です。M&Aの価格は、業種や企業の規模、人材の質、財務状況、ブランド力、将来性、市場環境など、多岐にわたる要素によって変動します。そのため、個別の状況を考慮しながら価格が算出されることになります。
M&Aの価格算定にはいくつかの評価方法がありますが、その中の一つに「取引事例法」があります。取引事例法は、過去のM&A事例の中から、事業内容や地域、財務指標が似ている企業の売買実績を基に価値を評価する方法です。取引事例法において重要なのは、類似の取引事例を参考にすることですが、類似条件を見つけるためには、相当数の事例を蓄積する必要があります。非上場企業のM&Aの多くが非公開情報であることから、他社の実績を参考にすることはハードルが高い方法でもあります。その点、日本M&Aセンターでは、M&Aにおいて成約実績10,000件超、M&A成約件数で世界No.1*のギネス世界記録™に5年連続で認定されるなど、豊富な実績があります。事業内容や地域、財務指標に基づく似た会社の売買事例を選定し、一定のルールに従って公正な価値評価を行うことが可能です。こちらから当社の株価算定シミュレーションを体験することができます。
※ギネス世界記録™:M&Aフィナンシャルアドバイザリー業務の最多取扱い企業 2020~2023年に続き、5年連続でギネス世界記録™に認定
次に、より高い評価を得て会社を高く譲渡売却するためには、よりシナジーのある買い手を見つけることが重要です。M&Aの最終価格は、売り手企業と買い手企業の交渉によって決まるため、買い手が「この会社が欲しい」と思う要素を増やしていく必要があります。例えば、現在、紙・パルプ・紙加工品製造業界の市場では人材不足が全体的な問題となっており、若くて優秀な人材を採用できる利点がある場合、買い手企業にとってM&Aの魅力が増します。
さらに、コンプライアンスやガバナンスに関する問題も重要な要素です。具体的には、顧客とのトラブルが存在しないか、社会保険への適切な加入状況が確認されることが求められます。これらの問題があると、潜在的な費用や負債として見なされ、価格交渉において不利な要因となり得ます。これらの要素が事前にクリアである場合、買い手企業も安心してM&Aを進めることができ、価格交渉もスムーズに進行しやすくなる傾向があります。
最後に、M&Aを成功させるためには、総合的に企業の魅力を高める努力が欠かせません。これは、価格評価への影響だけでなく、交渉の流れにも深く関わる要素であるといえるでしょう。
なお、実際には個別の業種や取引環境等によって価格相場は変動しますし、場所や経営状態によっても大きく左右されます。初期的なご相談や、簡易的な株価診断は無料にておこなっておりますので、よりくわしく評価や課題について聞きたい方は、弊社コンサルタントから詳細をご説明いたしますので、お気軽にご相談ください。
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株式会社日本M&Aセンター
業界別M&Aレポート編集部は、日本M&Aセンターの社員によって執筆・運営されています。各業界・業種のM&Aや事業承継に関する情報、トピックをお届けします。
紙・パルプ・紙加工品製造業界の
最新M&A事例を解説
製紙業×専門商社
日本紙パルプ商事、マスコー製紙の一部株式を取得
- 譲渡企業
- マスコー製紙株式会社(静岡県富士宮市)
- 譲受け企業
- 日本紙パルプ商事株式会社(8032)
スキーム:株式譲渡 実行時期:2025年3月11日
M&Aの概要
マスコー製紙株式会社の100%株主である株式会社エムエスケーは、日本紙パルプ商事株式会社と、マスコー製紙株式会社の一部株式を譲渡することで合意しました。
2025年3月11日、日本紙パルプ商事が、マスコー製紙の株式4,000株を株式譲渡にて引き受け、発行済み株式総数の20%を取得しています。これにより、マスコー製紙は、日本紙パルプ商事の関連会社となります。
なお、本件によるマスコー製紙の経営陣、意志決定プロセスや業務執行体制に変更はありません。
日本紙パルプ商事は、紙・板紙とその関連商品、古紙やパルプ等製紙原料を中心に、原材料、産業資材、生活関連商品を国内外の産業分野に供給する商社です。
マスコー製紙は、芯無しトイレットペーパー、ボックス及びピローティッシュ、キッチンペーパーなどの家庭紙を製造する企業です。
日本紙パルプ商事グループは、中期経営計画2026における製紙加工セグメントの方針の一つとして、家庭紙事業におけるブランド力向上と販売拡大を掲げています。アライアンスによる調達ネットワークの拡大を進めることを目指し、その方針のもと、今回の株式取得を実施しました。
本株式取得により、原料から製造・販売に至るサプライチェーンの拡充につなげ、日本紙パルプ商事グループの再生家庭紙国内大手のコアレックスグループとのネットワークを有機的に活用することで、再生家庭紙事業を始めとするグループの総合力・企業価値向上を図ります。
紙・パルプ・紙加工品製造業界の
M&Aニュース
紙・パルプ・紙加工品製造業界のM&Aニュースを表示します。
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2025.9.11
特種東海製紙、傘下のTTトレーディングを吸収合併
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2025.9.4
王子HD、オーストリアのバイオリファイナリー企業AustroCel社を買収
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2025.7.24
レンゴー、イタリアの段ボール製造スカート社を買収
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2025.6.13
王子HD、ブラジルの植林企業を買収へ
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2025.5.22
ダイナパック、ベトナムの段ボールケース製造販売のHoang Hai Vietnam Packagingを子会社化
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2025.4.30
レンゴー、包装資材の製造・販売の新光を買収
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2025.3.19
ニッコンHD、中央紙器工業へのTOBが成立
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2025.3.17
レンゴー、中東の重量物包装資材メーカーのプロンク・ドバイ社を買収
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2025.3.13
トーモク、子会社間の合併を発表
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2025.3.10
王子HD、インドの微結晶セルロース製造販売会社を買収
紙・パルプ・紙加工品製造業界の
M&A仲介実績
日本M&Aセンターが仲介・支援して成約した紙・パルプ・紙加工品製造業界のM&A案件をご紹介します。
※現在、2025年9月までの実績を掲載しています。次回の更新(2025年10月~12月分)は2026年1月30日以降の予定です。
| 譲渡・売却企業 | 譲受け・買収企業 | |
|---|---|---|
| 2025年9月 | 窯業・土石製品製造(甲信越) | 窯業・土石製品製造(九州・沖縄) |
| 2025年9月 | 樹脂部品加工(関東) | 不動産開発・売買(関東) |
| 2025年9月 | 製缶板金(東海・北陸) | 樹脂部品加工(東海・北陸) |
| 2025年9月 | 金型製造(北海道・東北) | 樹脂部品加工(関西) |
| 2025年9月 | 産業用機械製造(関東) | 樹脂部品加工(東海・北陸) |
| 2025年9月 | 生活雑貨小売(関西) | 日用雑貨製造・卸売(関東) |
| 2025年9月 | トラック運送(中国・四国) | 日用雑貨製造(関東) |
| 2025年8月 | 樹脂部品加工(関西) | セールスプロモーション(関西) |
| 2025年7月 | 家具・什器インテリア製造(関東) | 樹脂部品加工(東海・北陸) |
| 2025年6月 | 化粧品企画・製造(東海・北陸) | 化学品製造(中国・四国) |
製造業界の
最新のM&A事例インタビュー
当社の仲介によりM&A・事業承継された事例を、経営者様へのインタビュー形式でご紹介します。
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シェア7割のニッチトップ企業。会社の永続と人生設計を考え55歳で決断
譲渡:千葉県習志野市 食品用機械のゴムパッキン、靴底用ゴム等の工業用ゴム製品の製造販売
譲受け:大阪府堺市 工業用ゴム・樹脂製品の製造販売、金型販売創業70周年を迎える高木ゴム工業の3代目社長は、55歳を契機に譲渡を実施。現在も経営に携わる同社取締役社長と譲受け企業の社長にM&Aの経緯と今後について伺いました。
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後継者不在、制度不足、設備の老朽化…。空調用ダクト部材製作で道内一円を網羅している企業が、従業員の幸せを願い決断したM&A
譲渡:北海道札幌市 ダクト関連機器の製造
譲受け:岐阜県中津川市 住宅用基礎関連器材 製造・販売、下水道工事用土留器材 製造・販売・レンタルダクトの部品製造を手掛ける森鉄工業のオーナーは70歳を超え、後継者不在や会社の課題解決のために他県の会社に譲渡を行いました。
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M&Aから2年半。苦しいコロナ禍も2社で乗り越え今期最高益へ
譲渡:兵庫県赤穂市 プラント向け製缶板金
譲受け:滋賀県大津市 プラント配管設計・工事業吹田鉄工と坂海工業所は提携後、コロナ禍の影響で厳しい状況が続く中、共に実績を積み重ね、成長を遂げてきました。2年半経った現在、話を伺いました。
紙・パルプ・紙加工品製造業界の
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