事業承継ガイド

親族内承継

【親族内承継】とは

親族内承継のイメージ

親族内承継とは、現経営者の子供や孫、兄弟など親族に会社を引き継ぐ承継方法です。
第三者への承継方法が普及するまでは、代表的な承継方法として多くの中小企業に採用されてきました。

【親族内承継】のメリットと注意点

親族の間で代々受け継がれている場合、新たな後継者に対し、内外からの理解や協力が得られやすい特徴があります。
また、経営者としての意識づけや、経営に必要なスキル・経験を積ませる後継者教育の計画が早期から立てやすいなど、後継者本人や周囲にとって準備の時間が確保できることもメリットに挙げられます。

一方、注意点としては、親族だからと言って必ずしも本人に継ぐ意思がある、もしくは適性があるとは限らない点が挙げられます。早期の後継者候補の検討や意思確認など、身内だからこそ意識的にコミュニケーションを深めることが、大切なポイントになります。

親族内承継のメリット

関係者から心情的に受け入れられやすい
創業者、経営者の親族への承継が続いてきた場合、役員や従業員や取引先など内外の関係者からは既定路線の承継として納得しやすい形になります。
後継者教育を行う準備期間の確保が可能
後継者候補を親族内に絞込み、早期に決定することで社内での教育だけでなく、例えば社外での経験を積ませるなど、育成に向けて十分な準備が可能となります。

親族内承継の注意点・デメリット

適性のある親族がいるとは限らない
親族内に後継者候補がいることと、経営者としての資質の有無、本人の意欲の有無は別問題です。
親は、子が承継することを願っていたが、本人にその意思が無かった、ということや、親の会社に入社した後、自分が経営者に向いていないことに気づき、継承について後ろ向きになってしまうケースもあります。
後継者の決定・経営権の集中が難しい
相続人が複数いる場合、後継者以外の相続人への配慮が必要となるため、後継者の決定・経営権の集中が難しくなります。親族内で経営権をめぐる紛争を避けるために、誰が後継者となるかや、後継者ではない親族に対する財産分与面での方針などをあらかじめ親族会議で決めておく必要があります。

【親族内承継】の
主な流れ

親族内承継を円滑に進めるためには、いくつかの押さえておくべきポイントがあります。
それぞれについて見ていきましょう。

事業承継に
向けた準備

経営状況・経営課題などの把握

事業承継を円滑に進めるには、まず会社の経営状況や経営課題等を正確に把握・見える化し、今後に向けて方向性を見出すことが必要です。また、会社の状況のみだけでなく、事業承継に関しての課題も見える化しましょう。
これらの情報や思考を整理するために、関連ツールを用いたり、身近な専門家にアドバイスを求めることで効率的に取り組むことができます。

経営状況・経営課題などの把握

経営状況・経営課題などの把握のイメージ

【参考】:関連サイト(外部リンク)

ローカルベンチマーク(経済産業省)
企業の経営状況を把握・分析するためのツールです。

経営デザインシート(首相官邸 知的財産戦略本部)
企業の将来を構想するための思考補助ツールです。

事業承継に向けた経営改善

事業承継は、経営者交代を機に事業を大きく発展させる機会でもあります。
現経営者には、次世代にバトンを渡すまで、事業の維持・発展に努めると共に、経営改善によってより良い状態に磨き上げてから、後継者に事業を引き継ぐことが望まれます。

「磨き上げ」は、業績改善や経費削減にとどまらず、商品やブランドイメージ、優良な顧客、金融機関や株主との良好な関係、優秀な人材、知的財産権や営業上のノウハウ、法令遵守体制など多岐にわたります。
効率的に進めるために士業等専門家や金融機関等の助言を得ることも有益です。

事業承継に向けた経営改善

円滑な引継ぎ
に向けて

後継者候補の選定・意思確認

後継者候補は、候補者本人の適性や年齢、意向などをふまえ、慎重に検討することが大切です。そしてできるだけ早い段階で、候補者本人に継ぐ意思があるのかを確認し、双方の意向を合わせる必要があります。

後継者候補の選定・意思確認

後継者候補の選定・意思確認のイメージ

事業承継計画の策定

具体的に事業承継を進めていくにあたり「いつ、どのように、何を、誰に承継するのか」について、具体的な計画を立案しなければなりません。この計画が「事業承継計画」です。

事業承継計画は、後継者と共同で、取引先や従業員、取引金融機関等との関係を念頭に置いて策定します。
策定後は、関係者と共有しておけると、協力が得られやすく、信頼関係維持にもつながります。

規定のフォーマットはありませんが、中小企業庁が提供しているフォーマットを用いることで、効率的に作成が進められるでしょう。

事業承継計画の策定

【参考】:関連サイト(外部リンク)

事業承継計画の作成(中小企業庁)
事業承継計画の作成例と計画表フォーマットです。

関係者への周知

後継者が選定されたら、親族や従業員、取引先企業、金融機関等へ周知を行います。特に複数の親族が会社の株主となっている場合、後にトラブルに発展することもあります。そうしたトラブルを回避するためにも、あらかじめ周囲の理解を得ておくことが必要です。承継がスムーズに進められるよう、環境を整えておきましょう。

関係者への周知

関係者への周知のイメージ

事業承継計画の実施

事業承継計画に沿って資産の移転や経営権の移譲を実行していきます。実行段階においては、状況の変化等を踏まえて随時、事業承継計画を修正・ブラッシュアップすることも必要になります。

後継者の育成という点においては主に「社内教育」と「社外教育」の2つがあります。
社内での教育は、各部署をローテーションさせる、責任ある地位に就ける、現経営者による指導などが挙げられます。社外教育は、他社での勤務経験を積むことと、セミナー等で体系的な教育を受けることなどが挙げられます。時期に合わせて、社内教育と社外教育をうまく組み合わせ、計画的に行っていくことが求められます。

後継者の育成や関係者との調整を経て、実際に事業を後継者に承継する段階を迎えたら、経営の承継と、財産の承継を実行します。税負担や法的な手続が必要となってきますので、弁護士、税理士、公認会計士等の専門家に協力を求めることがおすすめです。

事業承継計画の実施

引継ぎ後

事業承継を契機とした成長・発展

環境の変化が早い昨今においては、先代が営んできた事業を守ることだけが正解とは限りません。

事業承継を機に、先代経営者が行ってきた既存の事業を活かしつつ、自社の知的資産や事業環境を踏まえ、新分野へ進出するなど、新しい成長を目指すことも求められます。
そこには、生産性向上のためのデジタル化の推進なども含まれます。

伝統を守ることと、新たなステージへと成長するための変化、両方が必要となってきます。

事業承継を契機とした成長・発展

事業承継を契機とした成長・発展のイメージ

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