東証一部上場 証券コード 2127
No.2127

中堅・中小企業のM&A仲介実績No.1

future フューチャーVol.3 (2014.1発行)

成熟市場における成長戦略 自動車アフターマーケットの事例から

事例解説

イエローハットのM&Aを通じた成長戦略

日本M&Aセンター
企業戦略部 副部長 渡邊 大晃

株式会社イエローハットは、自社成長とM&Aをバランス良く組み合わせながら継続的に企業価値を高めている企業である。一昨年、同社が立て続けに実施したM&A株式会社モンテカルロ(当時業界第6位)買収、株式会社ドライバースタンド(当時業界第4位)買収、および出光興産との資本業務提携は、カー用品業界リーディングカンパニーとして躍進が著しい同社を大きく印象づけるものであった。ドライバースタンド買収案件のアドバイザーとしての目線で、同社のM&A事例を取り上げてみたい。

同社は、1961年、カー用品卸売業として創業、東証一部上場(1997年)を経て、カー用品業界のリーディングカンパニーへと飛躍発展した。しかし2000年以降は、個人消費の低迷や、若者の「クルマ離れ」などの影響で、同社業績も必ずしも順調ではなかった。
現代表取締役社長・堀江康生氏が就任した2008年10月当時は、業績不振を起因とする「信用不安」、「社内士気の低下」、そして同年の「リーマンショック」を引き金とした、「底の見えない不景気の始まり」という最悪の状況であった。2期連続赤字となり銀行管理下への瀬戸際であった同社を、堀江社長は就任からわずか半年後の本決算で黒字化に導いた。その後もカー用品市場の縮小傾向(2006~2011年の年平均成長率は△2.2% ※矢野経済研究所調べ)にもかかわらず、現在に至るまで、同社は売上高・利益の伸び率において他社に抜きんでている。
堀江社長新体制下では、経営と現場の距離を縮める「風通しの良い組織」への改革がなされ、加えて「本業の集中強化」という旗印のもとで、以下の諸施策が行われた。

  • 本社管理部門(システム)のスリム化及び現場部門への人材シフト
  • 非中核事業の整理・売却、遊休資産の売却整理
  • 本業であるカー用品販売に特化(物流機能を生かした卸売業の強化)
  • 小売の工賃収益拡大(消耗品販売、修理・整備・車検事業の強化)

「選択と集中」とM&A

「選択と集中」においては、短期的に効果の出るコストカットばかりが注目されがちだが、堀江社長は、社員の士気向上のため多少の無理も覚悟し、給料アップの早期実現及び広告宣伝費増を行った。特筆すべきは、事業の再構築時にありがちな、リストラを繰り返す「ダウンサイジングの罠」に陥らなかったことだ。むしろ、M&Aによる企業活力向上を目的とした積極的投資を継続して行なっている(図(1)参照)。まさに会社の隅から隅まで知り尽くした優れた実務家であり、数々の困難を乗り越える「経営」を見つめてきた堀江社長の真骨頂である。

図(1) イエローハットの売上高・純利益推移と主要なM&A
図(1)イエローハットの売上高・純利益推移と主要なM&A

以上の、堀江新体制下での同社の社内改革、M&Aを一体化した「成長戦略」は、株式市場においても信認を得ているといえる。アベノミクス始動以降の活況な株式市場においても、同社株価が、日経平均を大きくアウトパフォームしていることがその証しである(図(2)参照)。

図(2) イエローハットの株価推移(2008年10月を100%とする)
図(2) イエローハットの株価推移(2008年10月を100%とする)
無論、同社においても解決すべき課題は多い。若者の「クルマ離れ」、EVへの対応、メーカーのアフターサービス強化、あるいは機能向上する純正品との競合などである。これらの課題に対して、堀江社長がどのような解決策を用意し、率先していくか?どのようなスピードで、イエローハットグループ全社が、一丸となってこれに取り組んでいくか?
これからも同社の打ち出す「成長戦略」から目が離せない。

日本M&Aセンター 企業戦略部 副部長 渡邊 大晃
日本M&Aセンター
企業戦略部 副部長 渡邊 大晃

1975年生まれ。大手化学メーカーを経て、2004年日本M&Aセンター入社。英ノッティンガム大学MBA(2004年)、同大学MBO研究センターにて未公開化型MBO研究に従事。上場企業に対して多数のM&A支援を行う、海外M&A(米国・中国・香港・マレーシア・タイ・ベトナム・韓国他)に関しては10件を超える支援実績。得意分野:製造(関連)業。海外支援室発足にともない2016年4月より海外支援室副部長。

Future vol.3

成熟市場における成長戦略 ~自動車アフターマーケットの事例から~

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