コラム

買収と譲渡、並行して考える

瀬谷 祐介

株式会社日本M&Aセンター/業種特化1部 部長

M&A全般
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「IPOを目指しているが、M&Aによる譲渡も検討したい」 「買収を検討しているが、相手次第では譲渡も検討したい」 どちらも“会社を成長させるための手段”としてM&Aを視野に入れているからこその相談です。 このような経営者の方からの相談はここ数年で急激に増加しました。 以前は“M&Aで会社を譲渡する”というと“事業承継のため”や“企業再生の手段”が多かったのですが、今は大きく変わってきています。 IPOや買収と同様に、M&Aによる譲渡もまた、会社を成長させるための一手段として、多くの経営者の方が検討をされるようになってきたのです。

経営者は日々、会社の成長のために頭を悩ませていますよね

同時並行で“売る”か“買う”か考える

「買収と譲渡を並行して考えるなんて信じられない!M&AはIPOを諦めた経営者がするものでは?」 そのように思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、M&Aで譲渡をした企業の中には、「IPO実現を十分狙える中でのM&Aだった」ということが決して少なくないのです。 ・設立以来、増収増益が続く ・社内に優秀な後継者候補がいる そんな会社が、大手企業グループへ株式譲渡することも珍しくありません。

まだ伸びる企業が、譲渡を決断する理由

あるIT企業は、4期連続最高益を更新しながらも大手企業へ株式を譲渡しました。自分の会社が成長していくその真っ只中に会社を手放すという決断は、なかなかできるものではありません。 私はその大きな決断を下した社長に「なぜ今、譲渡を決断されたのか?」を改めてお伺いしました。 そのときの社長の答えは以下の通りです。 「買収して自社が単独で成長する道よりも、資金も人材も豊富な大手企業に入る方が成長する確率は高まる。会社の未来を冷静に考えると、M&Aで譲渡する道が成長の近道だ」 譲渡の時期についても 「M&A後に残る社員のためにも、最高益を更新している今、伸びしろが残されているタイミングで売った方が、引き受ける会社が大切にしてくれる」 と考えられたそうです。 会社が発展・成長し未来永劫残していきたいと考えたとき、個人で株を持ち続けるよりも大手企業へ譲渡したほうが、事業の成長や社員の活躍の場を広げることにも繋がると、M&Aによる譲渡を決断されたのです。

目的は何か?を考える

IPOも、企業買収も、目的は“会社の成長”です。 ・資金調達し、将来への積極投資を行う ・知名度、信用力を上げ、優秀な人材を確保する ・自社に足りない営業力や技術力を補完し、組織力を高める ・自社のサービスを強化し、シェア拡大を狙う 実はこれらは全て、会社を譲渡することによっても実現可能なのです。 買うのか、上場するのか、はたまた売るのか、オーナーの立場から見た違いはありますが、“会社が成長する”という視点において違いはありません。 では、どの道が近道になるか―経営者だったらそう考えますよね。会社の成長という目的達成のための手段として、M&Aは有効であるという認知が広がっています。

成長する未来のために

?“M&A=引退”というイメージが強いですが、最近は40代や50代で株式を譲渡した上で代表を続けられる方も多くいらっしゃいます。 譲渡後、買い手の上場企業の役員になられるケースも珍しくありません。会社を成長させるために、売り手・買い手が手を組み、一緒に経営をしていくのです。 一方、新しいアイディアを実現するために、今の会社を自分以外の優秀な経営者に任せ、ご自身は別の新しい道を歩むための新たなスタートとしてM&A譲渡をする経営者の方もいらっしゃいます。10年後を考えたとき、単独で成長し続けることができるかどうか―答えがNOなら、M&Aを是非検討して下さい。

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著者

瀬谷 祐介

瀬谷せや 祐介ゆうすけ

株式会社日本M&Aセンター/業種特化1部 部長

外資系金融機関を経て、日本M&Aセンターに入社。業界再編部の立ち上げメンバーであり、2012年から、調剤薬局業界・IT業界を中心に、中小零細企業から、上場企業まで数多くの友好的なM&A、事業承継を実現している。これまで主担当として70件以上を成約に導いており、国内有数のM&Aプレイヤーの1人である。顧客満足度評価は、日本M&Aセンターのコンサルタント約500名中1位。

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