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M&Aコンサルタントの目 事業承継の話・方針発表を社員へいつする?

2017/05/18

事業承継に関しては、何の気なしに発した一言が大きな問題になりかねません。不用意な発言の結果、従業員の士気が低下したり、優秀な社員から転職したりしてしまい、一つ間違えると大変なことになってしまいます。なかには廃業の危機にさらされてしまう会社もあるくらいで、非常にデリケートなものです。


中小企業庁・「事業承継マニュアル」なども活用しましょう

【感覚の違いを認識する】

・オーナー社長が、ある日突然「(経営者としての実績のない)息子に社長の座を譲り、俺は引退する。」と発表してしまう。
・有望な幹部社員に「将来、社長の座を与えてあげるから頑張れ。」と言って他の頑張っている社員のひんしゅくを買ってしまう。

事業承継をめぐっての安易な発言でぎくしゃくしたり、社員が不安になってやめたりしてしまったという会社の話を良く耳にします。そうしたオーナー経営者の話を伺うと、
「社員は皆、私の命令には素直に従ってくれるかと思っていた。」、
「こういえばやる気を出してくれるかと思った。」、
「そんなに大きな反応があるとは思わなかった。」
などと、口を揃えて言います。
しかし従業員にしてみれば、経営権や経営責任があるわけでもなく大株主でもないので、オーナー経営者と感覚が違って当然なのです。それを安易に考えてはいけないでしょう。

【具体的な計画を立ててからが基本】

では、どのタイミングで従業員にどうやって事業承継の話を切り出すのが良いのでしょうか?
成功の秘訣は、
(1)誰もが納得し支持する後継者候補を選び、
(2)事業承継計画を策定し、
(3)全てが整ってから発表する、ことです。
逆に言えば、後継者が未定で事業承継計画が作られていないのであれば、言うべきではありません。タラレバの話も厳禁です。

なぜ、そこまで事業承継に関する情報を秘密にしなければならないのか。社員のモチベーションの問題の他、風評被害を避けるために必要だからです。
例えば、後継者問題を抱えていて解決策がないことが噂となると、ライバル会社が「○○会社は後継者がなく廃業するのは時間の問題だから取引を当社に変えて」などと言って顧客を奪いに来るかもしれません。仕入・外注先からは支払条件が厳しくなったり仕入コストが高くなったりするかもしれません。
こうした風評リスクもふまえ、事業承継は具体的かつ明確な方針が定まるまで、外部に発信すべきではありません。

【いつ社員へ発表する?】

では、いつ発表すれば良いのでしょうか。
 (1)事業承継方法を徹底的に検証
 (2)後継者を確定させる
 (3)事業承継計画を後継者と共に策定する
 (4)株主と幹部社員の同意を得る
 (5)社員に発表と説明
 (6)社外へ発表する
という流れが必勝パターンです。どの工程も省いてはいけません。

事業承継を徹底的に検証すると言うことは、とても大切なことです。そもそも会社によっては取りうる選択肢が違います。
事業承継の選択肢は、1つは株式公開、2番目の選択肢として親族内承継、3番目の選択肢として社員承継、4番目の選択肢としてM&Aによる第三者承継の4つかなく、その中で実現可能性があるのはどれで、どれが最適なのかを検証して下さい。
いずれもできない場合は廃業しかありませんが、借入金が多いと円滑に廃業できない場合もあります。

【M&Aの場合は専門家がサポート】

M&Aの場合は、仲介する我々のような仲介会社が社員に対していつ、どこで、どのように発表するのかについてサポートするのが通常です。

幹部社員には最終契約締結(決済)の前、一般の従業員には最終契約締結直後に発表というのが通常パターンです。
発表内容も、社長(売り手)・買い手(後継者)と何度も打ち合わせをしてM&Aを前向きに受け取ってもらえるように工夫します。
発表する時間やシチュエーションにも細心の注意が必要で、念入りに準備していきます。
折角の良い事業承継M&Aであっても、関係者に理解してもらえなければ、承継後の経営で苦労が増えてしまいかねません。

以上、 事業承継と社員発表について私見を述べさせていただきました。
事業承継に関しては、何の気なしに発した一言が大きな問題になりかねないため、慎重になっていただきたいテーマです。

写真:本多 勇馬
日本M&Aセンター
事業法人部副部長
本多 勇馬

プロフィール

日本M&Aセンター 事業法人部副部長
本多 勇馬(ほんだ・ゆうま)

地域金融機関で法人コンサルティングや産学官連携支援事業、M&A業務等を多く手掛けた後、2007年に日本M&Aセンターに入社。前職から通算でのM&Aコンサルタント歴15年で、累計70件を超える多数のM&A実績を有する。大阪府立大学でベンチャービジネス論の外部講師も務める。