コラム

イオンによるダイエーの子会社化

平山 巌

著者

平山巌

日本M&Aセンター取締役(常勤監査等委員)

M&A全般
更新日:

⽬次

[表示]

2013年3月27日に公表された本件は、すでにイオンがダイエーの筆頭株主であったこともあり(保有株比率19.9%)、既定路線との見方もありましたが、一方でスーパーマーケット業界のみならず、今後の組織小売業の本格的淘汰の予兆ともいわれています。
両社の明暗が大きく分かれたのは、バブル崩壊後の経済減速に対する脆弱性の差でしたが、1995年の阪神淡路大震災の影響も見逃せません。
ダイエーは、関西主要7店舗が被災、被害総額500億円と小売業界で最大となりました。一方のイオンは被害総額60億円、ダイエーの1/10程度にとどまりました。
ダイエーはその後、3度の「再生計画」を発表、1999年以降資産売却、店舗閉鎖、あるいは希望退職者募集などで自主再建を目指します。アラモアナセンター、ダイエーホークスなどの売却は、シンボリックなグループ企業・資産の処分でした。
自主再建を目指したダイエーでしたが、業績の悪化、資産の劣化を阻止できず、2004年ついに産業再生機構傘下での再建に切り替えざるをえませんでした。

ダイエー、イオン両社の歴史が交差したのは2007年、丸紅、イオン、ダイエー3社間での資本業務提携が合意された時です。丸紅、イオンによるダイエー再建支援のスタートでした。その後6年を経て、今回のイオンによるダイエー子会社化が発表されました。

イオンとダイエーの売上高推移

イオンとダイエーの売上高推移

広報誌「Future」 vol.1

Future vol.1

当記事は日本M&Aセンター広報誌「Future vol.1」に掲載されています。

広報誌「Future」バックナンバー

著者

平山 巌

平山ひらやま いわお

日本M&Aセンター取締役(常勤監査等委員)

2007年3月に日本M&Aセンターに企業開発部長として入社。企業戦略部長、社員教育室長を経て、2018年に株式会社日本PMIコンサルティング 代表取締役に就任。2020年6月に当社取締役(常勤監査等委員)に就任。

この記事に関連するタグ

「広報誌・ケーススタディ」に関連するコラム

アウトソーシング&共同エンジニアリングのケース

M&A全般
アウトソーシング&共同エンジニアリングのケース

M&Aを継続することによって、高ROEを維持株式会社アウトソーシングは、ここ6年で15件のM&Aを実施してきている(アウトソーシング社適時開示資料より)。茂手木専務のインタビューからも明らかなように、アウトソーシング社は多数のM&Aを継続することにより、選択眼を高め、PMIにおいては独自のノウハウを確立してきた。その結果、のれんの償却負担などにより短期的な低下はあるものの、ROEは中期的に向上して

新たな価値創造型M&A ~ジャパンシステムによるネットカムシステムズの株式譲受け

企業評価
新たな価値創造型M&A ~ジャパンシステムによるネットカムシステムズの株式譲受け

本件M&Aの背景長引く不況下で抑制されていた企業のIT投資が活発化し、SIer型ビジネスが今好調である。マイナンバー制度に代表される大型システム投資も今後目白押しである。それに伴い、IT技術者不足が深刻化している。その一方で、労働集約型ビジネスには限界が来ており、東京五輪後の市場は縮小傾向にあると見ている。今回譲受け側となったジャパンシステムにおいても、中長期的に経営陣はこの状況に危機感を持ってい

ASEAN地域におけるM&A事例紹介

海外M&A
ASEAN地域におけるM&A事例紹介

日本M&Aセンター海外支援室は、日本企業のアジア進出あるいは撤退の支援を第一段階として展開してきた。今や、第2段として、日本企業の現地資本企業(ローカル企業)の買収等、いわゆるIN-OUT案件を発掘、構築する段階に至っている。ここでは、第1段階の総括として、ASEAN2カ国で成約した案件、および第2段階の本格的IN-OUTの端緒となるであろう案件をご紹介する。CASE1インドネシア【背景】買手A社

プラットフォーム事業における多様なM&A

M&A全般
プラットフォーム事業における多様なM&A

卸売事業とは、商品、資金、情報をやり取りして取引を成立させる流通「プラットフォーム(事業)」と言える。一般にプラットフォーム事業は、絶対的な規模が競争上重要である。現在、各種卸売業界で起きている大手企業への集約化の動きは、この事業特性を前提としている。株式会社トーホーの戦略も、規模拡大のための正攻法の戦略といえる。ここでは、他社事例より、プラットフォーム事業における規模拡大の追求「以外」の3つの戦

業務用食品卸売業界のトップ企業として、「業界再編の核」へ

M&A全般
業務用食品卸売業界のトップ企業として、「業界再編の核」へ

株式会社トーホーは、創業67年を迎える業務用食品卸売最大手企業。「M&A戦略の更なる加速」を重点施策として掲げ、16件のM&Aにより、コア事業(業務用食品卸売、業務用食品現金卸売、食品スーパー)の拡大を図っている。業界の現状やM&Aを活用した戦略ついて、上野社長に語っていただいた。(聞き手:日本M&Aセンター執行役員平山巌)業務用食品卸売は小規模乱立再編は急速に進んでいくまず、貴社の属する「業務用

トーホーのM&Aによる成長戦略

M&A全般
トーホーのM&Aによる成長戦略

株式会社トーホー(以下、「トーホー」)は、外食事業者への食材卸売をコア事業とする「業務用」食品卸売業界の最大手である。1947年佐賀県にて食品卸売業者として創業した。『食を通して社会に貢献する』という経営理念のもと、現在は神戸市に本社を構え、主要事業は業務用食品卸売(ディストリビューター)、業務用食品現金卸売(キャッシュアンドキャリー)、食品スーパー(トーホーストア)事業の3事業となっている。グル

M&Aで失敗したくないなら、まずは日本M&Aセンターへ無料相談

コラム内検索

人気コラム

注目のタグ

最新のM&Aニュース