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「今日からM&A担当です」と言われたら―!?知っておきたいM&Aに関する資格あれこれ

広報室だより
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M&Aについてはなんとなく知っている。むしろ少し興味はある。 けれど、 「今日からM&A担当としてよろしくね」 と言われたら―あなたならどうしますか? 7年前初めてM&A担当になり、お客様の様々な要望に応えるため、2014年にM&Aシニアエキスパート資格を取得した、株式会社東邦銀行 法人営業部 営業渉外課 主任調査役 佐藤智春さん。 「資格取得はゴールではなくスタート、今は資格をどう活かしていくかを考えています」と語る佐藤さんに、日本M&Aセンター 営業企画部 副部長 豊田利恵が、M&Aの資格についてや地方銀行にとってのM&Aについてなど、幅広くお伺いしました。

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株式会社東邦銀行 法人営業部 営業渉外課 主任調査役 佐藤智春さん(2014年 M&Aシニアエキスパート資格 取得)

ひとつとして“同じ”はないM&A、その成功体験を共有してもらえる

―今佐藤さんは“営業渉外課”という、東邦銀行の中でM&Aを担当する部署にいらっしゃると聞きました。この部署に配属されるまではM&Aについては全く経験がなかったんですよね? はい。配属前も、お客様と接していて、事業承継には問題意識を持っていました。「この会社、社長の次はどうなるんだろう」という漠然とした思いを抱えて面談していた時もありましたね。 ただ、当時は事業承継の解決策としてM&Aがあるという風には、頭の中で直結していませんでした。 もちろん、M&Aを行ったこともありません。 ただ、そんな私が、縁あって営業渉外課に異動して日本M&Aセンターに出向したのが、M&Aシニアエキスパート資格を取得したきっかけですね。 FP1級も取得していましたから、「資格を勉強することでお客様対応の幅が増えるといいな」と思っていました。 実際はそれ以上の知識を得ることができました。

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M&Aは、ひとつとして同じものはありません。 多数のM&A成約を経験した今でも、新しい案件と向き合うたびに学ぶことは多くあります。 M&Aシニアエキスパート養成スクールでは、M&Aの知識はもちろんのこと、実務者の経験談に基づいた講義があります。 これが、本当にありがたかったです。 受講した時、自分のM&A経験数はほぼ0に近かったですから、成功体験を聞けるということは大きな力になりました。 M&A自体、守秘義務があるので、なかなか知識の共有ができない側面も持っています。 独学では学びづらい本質や現場感を吸収できる時間で、その時学んだ全てが、お客様との初回面談からマッチング~クロージングに至るまで役立っています。 また、3日間みっちりM&Aを学ぶことで、頭の中で直結していなかった事業承継とM&Aがすんなり繋がりました。 それだけ自分の中でM&Aが腹落ちして、初めて、お客様にも提案ができていくのだと思います。

5年前は自分1人だった資格取得者が、今は1店舗に1人はいるように

―佐藤さんは東邦銀行としては初のM&Aシニアエキスパート取得者になったわけですが、今や行内には700名以上の事業承継エキスパート資格取得者がいるとか!銀行全体をあげての取組みですね。 そうですね、今や1店舗に1人以上はいる状態になりましたね。 事業承継エキスパート資格は通年試験を受けられるので、時間の都合がつかないと受験しづらいM&Aシニアエキスパート資格よりもハードルが低いんです。なので、当行はまずは事業承継エキスパート資格から始めています。 幅広い人材にM&Aや事業承継を学んでもらう機会が広がっているのを感じます。 資格取得者には毎年ブラッシュアップセミナーも企画し、参加してもらっています。 M&Aが行員にとってそれだけ身近になったということで、5年間で目まぐるしく状況は変わってきているのを感じます。 当行の法人関連手数料の推移をみても、M&Aは前期比149.2%と大きな伸びを見せています。 それだけ地方銀行にとってもM&Aがなくてはならない仕事になってきているのだと思っています。

バンクオブザイヤーを受賞

“ふるさとを豊かに、お客様の繁栄のために” M&Aはなくてはならない仕事になってきている

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第2回バンクオブザイヤー表彰式(2014年)にて

―東邦銀行様は2013年度バンクオブザイヤーを受賞、早い段階からM&Aに取り組んでいらっしゃいました。その最前線で7年間駆け抜けてきた佐藤さんだからこそ感じる、地方銀行にとってのM&Aとは何でしょう? 先ほども述べた通り、M&Aが手数料として伸びてきているので、今後地方銀行にとっての収益の柱になることは必須だと思います。 それは、なぜならM&Aが、地元貢献になり、雇用を創出するソリューションだからです。 当行は今長期ビジョンとして「ふるさとを豊かに・お客さまの繁栄のために・私たちの成長で~より大きく・より強く・よりたくましく~」と掲げていますが、M&Aはまさに地元を豊かにし繁栄に導きます。 現在、福島県の後継者不在率は64.0%となっています(帝国データバンク/全国「後継者不在企業」動向調査(2018年))。 事業承継ニーズは今後もっと加速していくでしょうし、力のある企業はより成長意欲を高めていきます。 そんな時代に我々地方銀行が提供できるソリューションとして、M&Aは欠かせないものになっていくでしょう。

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「『地方銀行にM&Aの相談をしていいんだ』と驚かれることがありますが、それが当たり前の時代にしたいですよね」と佐藤氏

ふるさとのために、お客様のために、コンサルティングの幅を広げる

―近年地方創生も声高に叫ばれています。今こそ、地域の企業のために地方銀行はどうあるべきか、柔軟に業務の幅を再考していく時代なのかもしれません。 IT化が進み、地元にいてもインターネットで商売ができる時代になりました。お客様が求めることは多様化しています。 我々銀行は、その多様化するニーズに応えられるよう、コンサルティングの幅を広げなければなりません。 しかし、単に“幅を広げる”といっても、経験もなければ知識もない。 だからこそ、M&Aシニアエキスパート資格のような“学べる場”は必要なのだと思います。
―ありがとうございます。それでは最後に、今後のビジョンについてお聞かせください。 資格取得を通じて自分はM&A担当者としてのスキルを学ぶことができ、実際にもたくさんのディールを行うことができました。 今は自分に続くM&A担当者を育成する方面でも日々邁進しています。 資格を取るのは、ゴールではありません。 資格をどう現場で活かしていくか?―それを今考えて試行錯誤しています。 日々お客様と接すると、本当にいろんな悩みをそれぞれ抱えていらっしゃいます。 『息子に会社を継がせたいんだ』という方へは、株価対策を提案しますし、 『会社は継がせられるけど個人的な相続はどうしよう』という方へは、相続対策を提案しますし、 そういった流れの中で、 『後継者がいなくて悩んでいる』という方へは、M&Aを提案する。 そんな風に、銀行業務の中でM&Aが当たり前になるというところまで持っていけたらいいなと、個人的に思っています。 ―ありがとうございました。 M&A担当者としての指名、未経験からの資格取得、そして行内にM&Aを推進していくまでを、着実に歩んでこられた佐藤さん。 「これからまたお客様と面談です!」と語る笑顔からは、ふるさと福島のためにいち銀行員として何ができるか?を常に考える情熱が溢れていました。

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(左)株式会社東邦銀行 法人営業部 営業渉外課 主任調査役 佐藤智春さんと
(右)日本M&Aセンター 営業企画部 副部長 豊田利恵

M&Aエキスパート認定制度についてもっと詳しく知りたい方はこちらから↓ 事業承継・M&Aエキスパート協会 『M&Aエキスパート』有資格者27,000名突破
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著者

M&A マガジン編集部

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